ミニ・レビュー
97年に結成された3DJ+1SINGERの4人組が放つ5枚目のアルバム。JUNGLE ROOTS、MIGHTY JAM ROCK、RHYMESTERをフィーチャーしながら、クリアなサウンドのレゲエ・チューンを繰り出していく。開放感のある野外にもホールにも似合う一枚だ。
ガイドコメント
4人組レゲエ・クルーの5thアルバム。現場向きのノリノリなナンバーからミディアム・テンポのメッセージ曲まで、バラエティに富んだ仕上がり。コア・ファンも納得のハイ・クオリティな1枚。
収録曲
01INTRO (w/JUNGLE ROOTS)
ブラックかつメロウなベース・ライン、ジャジィなギター・カッティングに導かれて淡々とメッセージを語り上げる、アダルトな雰囲気の小品。モダン・ジャズを意識したアレンジはなんともムーディだ。
02MORNING (w/JUNGLE ROOTS)
爽やかな16ビートのハイハットに、清らかに響くストリングス。ファルセットのコーラスに、豊かな和音が気持ちいいエレクトリック・ピアノ。まさに“清らかな朝”を表現する要素が揃ったミディアム・テンポのポップ・ソング。
03FIRE WAY〜待たせたな〜
三味線にも似た効果音と完全打ち込みのデジタル・トラックという不思議な組み合わせが魅力的。新旧の音楽性を融合させたうえに、勢いたっぷりのラップ&ライムが強烈に炸裂! 聴いているだけで踊り出したくなること請け合いのナンバー。
04KOOMINA
ユーモラスなメロディと男臭さ一直線のライムの対比が楽しい、ハイ・テンポなヒップホップ・ナンバー。金属的なノイズや大太鼓など、種々のサウンドをリズミックに組み合わせたバック・トラックも聴きものだ。
05DEEP REDD (w/JUMBO MAATCH、TAKAFIN、BOXER KID from MIGHTY JAM ROCK)
エスニックな中近東風メロディが印象的なナンバー。80年代の“ピコピコ・サウンド”をバックでふんだんに使用する一方で、複雑に入り組んだリズム・トラックは最先端のデジタル・サウンド。21世紀の温故知新ミュージックがここにある。
06ROOTS (w/JUNGLE ROOTS)
お手本のようなレゲエ・サウンドに真正面から取り組んだ、メロディアスなミディアム・ナンバー。バック・ミュージシャンの確かな演奏技術が、彼らの奔放なヴォーカルを引き立てている。爽やかでシャープな曲調が魅力的なナンバーだ。
07STEP (w/JUNGLE ROOTS)
リラックスする気持ちの大切さを、優しく囁くように温かく歌い上げたレゲエ・ナンバー。メロウでメロディアスなベース・ラインに体は自然と横に揺れ、彼らの美しいコーラスに心が激しく打たれること間違いなしの名曲。
08STAMINA PAPA
「働け」「勉強せい」「まずは基礎」というフレーズが、21世紀初頭の日本を悩ませる数十万人のニートへの応援歌にも聴こえる、デジタル全開のヒップホップ・ナンバー。洗練されたサウンド・メイクとユーモラスな歌詞の対比が聴きどころ。
09カンフー・ファイター (w/JUNGLE ROOTS)
女の子の「助けて?! カンフーファイター!」という叫び声に導かれて颯爽と登場するは、タイトル通りの「カンフー・ファイター」。軽快なレゲエ・サウンドに乗せて、ボコスカ戦う彼の活躍をユーモラスに聴かせる。
10HEAT ISLAND (DANCEHALL REMIX) (w/RHYMESTER)
“DANCEHALL REMIX”というだけあって、低音のベース・ラインとヘヴィなリズム・トラックを強調。メロディを極力削ることでシャープで鋭いヒップホップ・サウンドを体現し、骨太のメッセージを聴かせている。
11CODE Z (DON CORLEONE MIX)
ハンド・クラップとシンセの効果音、緻密に計算されたパーカッション類などのリズムで聴かせるヒップホップ・ナンバー。なんとなく聴いていると英語に聴こえてくる、日本語詞の紡ぎ方がなんともお見事だ。
12サウンドシステムマン
夏の夕暮れを思い出させるような、ゆったりと熱いレゲエ・ナンバー。大らかで美しいメロディと純粋素朴、力強いヴォーカルがベスト・マッチ! アコースティックな演奏とシンセのデジタル・サウンドのバランスも絶妙だ。
13FOOTSTEPS
オルガンを前面にフィーチャーし、ヘヴィなベース・ラインが絡まってくる。夏を想起させるような熱いレゲエ・サウンドとは一線を画した、どこか暗くてアダルトな雰囲気を持ったレゲエ・ミュージックが楽しめる。
14MASTA BLASTER
アルバム『SOUNDS OF REVOLUTION』収録曲の「REVOLUTION」へとつなげる、わずか14秒のイントロダクション・ナンバー。ラジオ番組のオープニングを模したDJのような言葉の応酬で、次の曲へと橋を架ける。
15REVOLUTION
アルバムのタイトル・チューンにもなった、骨太で男臭いリズミックなヒップホップ・ナンバー。腹から絞り出すような雄叫びが束となって熱いコーラスを形成し、迫力満点のサウンドを作り出している。
16BIRDMAN (STEVEN STANLEY MIX)
オルガンの伸びやかなメロディとギターが軽やかに刻む、2、4拍のレゲエ・ビート。そのうえを縦横無尽に爽やかなヴォーカルが駆け抜ける、ポップなレゲエ・ナンバー。楽しくて踊り出したくなる一方で、夏の終わりを思わせてちょっと寂しくもなる雰囲気の漂う1曲。