ミニ・レビュー
(4)のPVで披露したジャイヴ調のダンスがなにしろ楽しかった彼らの1年ぶりのアルバム。個々の活動も順調とあって、メンバーの歌声に余裕が感じられるのはなにより。KAT-TUNのようなヤバい勢いにはとぼしいものの、ジャニーズの中核らしい安定した作り。聴いてほっとする。
ガイドコメント
シングル2曲を含む、前作から約1年ぶりとなるアルバム。メンバーそれぞれが多方面の活動で磨きあげた個性が、十分に花開いている。ダンス、ロック、バラードと多彩な音楽性で、“攻める嵐”の勢いを感じさせる好盤。
収録曲
01WISH
アルバム『ARASHIC』のオープニング・チューンは、シャッフルのリズムをもったポップでハッピーなナンバー。元The東南西北の久保田洋司によるセンチメンタルな歌詞をポップに歌っている。
02ランナウェイ・トレイン
ヘヴィでオーヴァードライヴしたギターのリフから始まるミディアム・ロック・ナンバー。バックの激しさとは裏腹に、ARASHIのヴォーカルはポップでマイルド。前向きに生きていきたい気持ちを描いたポジティヴな歌詞も魅力的。
03Raise Your Hands
16ビート・タイプのディスコ・ナンバーで、マイナー・コードを活かした曲調ながら、ARASHIの元気いっぱいのヴォーカルで暗さはあまり感じない。歌詞の通り、踊りだしたくなるパーティ・チューンに仕上がっている。
04きっと大丈夫
「C1000×嵐」キャンペーン・ソング。5人の魅力がフルに全開、キラキラの木漏れ日を感じさせるようなフレッシュなポップスに、小粋なホーン・アレンジが大人びた雰囲気を醸し出す。櫻井作詞のラップも堂に入っている。
05Ready To Fly
オルガンとギターのユニゾンからスタートする、斬新なイントロを持ったファンク・ナンバー。ARASHIのヴォーカルは決して黒っぽくはないが、ファンク・マナーに沿った演奏で上質のファンクに仕上げている。
06キャラメル・ソング
打ち込みをベースにしながらもアコースティックなサウンドを持ったジェントリーなバラード。感情が込められた丁寧なヴォーカルで、アルバム『ARASHIC』のハイライトとなる名曲に仕上がっている。
07COOL&SOUL
歌詞には「ヒップホップ」が出てくるが、雰囲気はジャズ・ファンクのスタイルを持ったディスコ・ナンバー。まるで楽器の一部のようなアプローチのラップは、ARASHIとバック・ミュージシャンのセッションのよう。
08旅立ちの朝
アコースティック・ピアノを活かしたジェントリーなバラード・チューン。別れをテーマにしながらも、未来を見据えたポジティヴな歌詞を感情たっぷりに歌いあげている。シンプルなメロディがいっそう心に響く。
09I Want Somebody
8ビートのナンバーながら、全体に流れるグルーヴはブラック・ミュージックの雰囲気。ギターもドラムもベースもファンキーながら、ヴォーカルがシンプルに8ビートのノリで歌っているのがユニーク。
10Secret Eyes
アース・ウインド&ファイアーや後期ビー・ジーズのようなファルセットをフィーチャーした、16ビートのファンク・ナンバー。アルバム『ARASHIC』の中で、ARASHIのヴォーカルも最も黒っぽい。中盤にはラップもフィーチャーされている。
11超2ありがとう
やけにタイトなリズムは、レコード・コレクターなら知らない人はいないグルーヴ・マスターことバーナード“プリディー”パーティとウィル・リーのコンビ。世界の最高峰のリズム隊をバックに、いきいきと歌っている。
12CARNIVAL NIGHT part2
大切な人と別れたあとの切ない気持ちを見事に描いている歌詞を、ファンク・サウンドにのせてポップに歌っている。演奏陣に反してARASHIのヴォーカルはそれほどファンキーではないが、黒っぽくなりすぎないところが逆に新鮮な魅力となっている。
13シルバーリング
中西康晴のアコースティック・ピアノとストリングスを活かした、ジェントリーなバラード。お金はないけれど愛情だけは誰にも負けないという、世界で一番大切な人への燃え上がった思いを、感情たっぷりに歌っている。
14LOVE PARADE
アルバム『ARASHIC』のクロージング・チューンは、オールド・タイムな雰囲気をもったスウィング・ナンバー。元カシオペアの神保彰やウッド・ベースの納浩一など、日本のトップ・ジャズ・ミュージシャンがサポートするなか、のびのびと楽しげなヴォーカルを披露しているのが印象的。