ミニ・レビュー
近年は映画俳優としての人気も高い、元B2Kのリード・シンガー、オマリオンのソロ2作目。ティンバランドやネプチューンズのビート主体の曲もエリック・ハドスンやアンダードッグスのメロディ主体の曲も、自然な唱法で伸びやかに感じよく歌いこなす。
ガイドコメント
米音楽シーンのスーパー・グループ、B2Kのフロントマン、オマリオン。本作は、全米アルバム・チャート初登場1位獲得の快挙を成し遂げたソロ・デビュー・アルバムに続く、2ndソロ・アルバム。
収録曲
01ENTOURAGE
アルバム『トゥエンティワン』からの1stシングル。マイケル・ジャクソンをリスペクトするオマリオンらしい80'sフレイヴァー満載のアップで、「君はサイコーにステキ」と口説く直球の歌詞、爽快かつドラマティックな展開に胸が高鳴ること間違いなし!
02ICE BOX
時計の秒針の音がリズムを刻み、ピアノが思わせぶりな旋律を奏でるファンタジックな世界を、テクノ調のシンセが唐突に突き破るクールなミディアム・ナンバー。プロデュースはフューチャリスティックR&Bの立役者として知られるティンバランドとその一派。
03ELECTRIC
シンセやハンドクラップに生演奏っぽいベースやギターをフィーチャーしたアッパー・チューン。プリンスらのミネアポリス一派にも通じる80年代前半の打ち込み導入期のファンクを再構築したような、懐かしくも新しいサウンドとヴォーカルが情熱的だ。
04MADE FOR TV
ラブ・バラードの形をとりつつ、“テレビ用に作られた=メディアによるでっち上げを信じずにいて欲しい”とファンにメッセージを送る、ちょっとおセンチなミディアム・ナンバー。清純派な曲のコンセプトはアイドル的な人気の高いオマリオンならでは。
05JUST CAN'T LET YOU GO
マーチにも似たリズム・パターンでドタバタとにぎやかに叩かれるドラムがサウンドの要となり、幻想的なキーボード・アレンジとともに曲を引っ張っている。ベースはサビから極めて控えめに入るのみという実験的な曲だが、曲はしっかりキャッチー。
06OBSESSION
無機的なのに有機的という、プロデューサーのネプチューンズらしさがダイレクトに反映されたフューチャー志向のR&B。完成されたサウンドの世界観もさることながら、コーラスに飛び出すファルセットの美しさも特筆すべきもの。
07MIDNIGHT
「真夜中に不思議な魔力に取り憑かれてイケナイことをしてしまった」というスーパーナチュラルな題材を、鐘の音などを効果的に使ったトラックで巧みに演出。サビ部分ではテクノ調のシンセを導入してスリリングに盛り上げている。
08JUST THAT SEXY
大人になったオマリオンがベッドでの営みをストレートに歌に込めたまさしくR&Bらしい曲。けれども、アンダードックス一派によるサウンドはあくまで爽やか路線で、決してねちっこくはならない。若さみなぎる青春エロ・ソングだ。
09BEG FOR IT
ネバネバと耳にまとわりつくがごときシンセ音や、ムチ打つようなビート音からしてイヤラしいムード全開のティンバランド一派によるプロデュース曲。オマリオンは「アレをお願いって言え!」と傍若無人に振る舞い、きっと女性ファンを悦ばせているはず?
10DO IT
以前どこかで出会ったことがある女性を、少しずつ思い出しながら口説くというシチュエーションを、ベース・ラインとシンセが醸し出す不思議な緊張感で表現。ロマンティックであり、ミステリアスでもある独特の味わいが秀逸だ。
11BEEN WITH A STAR
「前にスターと付き合ったことある?」「スターの僕と付き合ってみたい?」と、スターであるオマリオンが等身大で歌うファン・サービス・ソング。プロデュースはシングル「Entourage」を手がけて注目を集めたエリック・ハドソンによるもの。
12WHAT ARE WE DOING
アルバム『トゥエンティワン』の最後を飾るミッド・チューン。歌われているテーマは浮気だが、1stアルバム収録の「I Wish」のフレーズを盛り込みつつ、ゴスペル・タッチのエレピ・アレンジに彩られたやわらかい曲調が、耳に体に心地いい。
13THE MAKING OF YOU
アルバム『トゥエンティワン』中、唯一の王道スロー・バラード。美麗なストリングスに続いて語りが飛び出し、エレピがやさしく先導する古き良きスタイルは聴き手を癒してくれる。日本リリース時のボーナス・トラックのうちの1曲。
14THE TRUTH
『トゥエンティワン』日本盤アルバム・リリース時のボーナス曲2曲のうちの1つ。エレピやギターなどによる70年代調のオーガニックなアレンジを基調とし、フルートの音色も清々しいそよ風のようなミディアム・グルーヴ・ナンバーに仕上がっている。