ミニ・レビュー
このバンドには、人ぞれぞれの音楽の好みを超越したところで聴き手の胸を打つ魅力が備わっていると思う。サード・アルバムである本作の、たとえば(3)を聴いてみればよい。歌を歌うということの意味をしっかりと噛みしめている男たちの鳴らす音楽がここにある。
ガイドコメント
ザ・マスミサイルのメジャー2枚目のアルバム。「今」「拝啓」などのシングル曲を収録。楽しくて泣ける熱いメッセージが、キッズの胸を打つこと間違いなし。
収録曲
01花道
疾走感あふれる会心のロック・チューン。「自分で決めた 踏み出した その大切な一歩が 僕らの春となる それが花道となる」というフレーズが印象に残る、人生を頑張って前向きに生きている人へ贈る応援歌だ。
02教科書 (アルバムミックス)
ストレートな歌詞とパワフルな巻き舌ヴォーカルで“人間らしく生きる”ことを歌い倒すナンバー。ライヴで演奏すると、必ず大合唱になるというザ・マスミサイルの定番曲で、インディーズ時代からの人気曲だ。
03拝啓
田舎のおやじとおふくろに向けて、普段は照れくさくてなかなか口に出せない感謝の言葉を、曲に託してストレートに歌い上げる。手紙や電話の代わりに、この曲の入ったCDを贈ってみるのも、いいかもしれない。
04ニャン×2
たとえば失恋したり、職場や学校の人間関係で悩んだりして、ちょっと人間が嫌いになることって誰にでもあること。それでも結局、人は独りでは生きていけないから前を向いて歩いていこう……と陽気に歌いかけるナンバー。
05なりふりかまわぬ恋
“なりふりかまわぬ恋”ができなかった後悔の念を、なりふりかまわず疾走するビートで表現したアップ・チューン。テンポが激しければ激しいほど、主人公の無念さも増幅して聴き手へと届くかのようだ。
06過去形にしない
ゆったりとした8ビートで始まる、ちょっぴりオシャレな雰囲気を持ったミディアム・チューン。「過去の自分が大切にしていた気持ちを否定しないで、今の自分を生きていこう」と歌い上げる、爽やかなナンバーだ。
07同窓会
久しぶりに再会する友だちや昔の彼女……。同窓会は、あの頃の青春時代へとタイムスリップさせてくれる不思議な時間だ。そんなときに感じる想いを切々と綴った、センチメンタルなバラード・チューン。
08特別じゃない
優等生じゃないけど劣等生でもない、幸せじゃないけど不幸でもない……。普通に生きることは、実は結構大変なこと。特別じゃないけど平凡でもいい……それが一番大事だと、熱く歌われているナンバーだ。
09最寄りの夢
アルバムのタイトル・ソング。“夢を捨てないことが、一番身近にある夢”と信じて毎日を頑張っていこうと歌う、ザ・マスミサイルらしい前向きなメッセージが印象的。聴くと自然に元気が湧いてくる曲だ。
10悲しみバター
レゲエ風のバック・ビートからスタートする、ザ・マスミサイルのメンバーがそれぞれの日常で思っていることなどを陽気に歌ったナンバー。ライヴではサビのフレーズで大合唱を呼ぶこと間違いなしの、高揚感にあふれた楽曲だ。
11今 (アルバムバージョン)
サッカー・シーズンにピッタリの熱い応援ソングとしてリリースされたシングルのアルバム・ヴァージョン。「栄光を掴むために、“今”のこの一瞬を頑張ろう」という力強いエールを胸いっぱい吸い込みたい、そんな元気をもらえる1曲だ。
12「またね」と僕「さよなら」と君
なんとも切ない別れのバラード。「またね」と言おうとした僕に、「さよなら」と先に告げた君……。悲しく辛い恋の終わりを、こんなにもストレートに描写した歌も珍しい。ザ・マスミサイルらしい、オリジナリティにあふれるナンバーだ。
13手紙
携帯電話やメールは便利な伝達手段だが、もし好きな人と別れてしまう時、その人の書いた文字を一度も見ないで「さよなら」するのはちょっと悲しい。飾らない文字や気持ちで綴った手紙が欲しいと願う男の心境を綴った詞が、切なく響くナンバー。
14すっぴんブギー (スタジオライブ)
アルバム『最寄りの夢』に“アンコール・トラック”として収録された、スタジオ・ライヴによるパフォーマンスが楽しめるナンバー。ライヴ・バンドとしてのザ・マスミサイルの魅力が詰まった会心のトラックといえる。
15悲しみのうた (スタジオライブ)
アルバム『最寄りの夢』のアンコール・トラックとして、前曲「すっぴんブギー」に引き続き演奏されるスタジオ・ライヴ・ヴァージョン。サビの「悲しみを知ってるあなたの瞳は どうしてそんなに輝いてんだろう」という1フレーズが、この曲のすべてを物語っているようだ。