ミニ・レビュー
映画『北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』の主題歌(2)や名探偵コナンのエンディング・テーマ(3)を収録したファースト・アルバム。相性のいいエッジの利いたハード・ロックなサウンドと刹那的なメロディが、ゆるぎのない彼女の歌声をよりシンプルに強く心に響かせる。
ガイドコメント
2006年3月に「Communication Break」でデビューし、その後3ヵ月連続でシングルを発表して話題を呼んだ上木彩矢のメジャー1stアルバム。パンクやロック、ポップやバラードなどをパワフルなヴォーカルで聴かせてくれる。
収録曲
01Communication Break
02ピエロ
B'zのカヴァー・ヴァージョンで、アレンジはよりストレートなハード・ロックに仕上がっている。ヴォーカルは、哀しみを秘めながらひたすら疾走。映画『北斗の拳〜ラオウ伝殉愛の章』の主題歌。
03もう君だけを離したりはしない
名曲の多い『名探偵コナン』の25代目となるエンディング・テーマ。エッジの効いたギター・サウンドと、伸びのあるヴォーカルが紡ぎ出すロック・チューンだ。若く熱い恋愛模様は、劇中の主人公カップルの思いにも似て、印象深い。
04Secret Code
エモーショナルなギター・サウンドに包まれた、息もつかせぬパワフルなヴォーカルがハードに迫るロック・チューン。誰にも言えない恋の秘密を持った主人公の揺れる気持ちとエロティックなスリル感が、ストレートに伝わってくる。
05Bounce、Bounce、Bounce
軽快なバンド・サウンドが小気味よく響きわたる、疾走感あふれるポップ・ロック・ナンバー。力強さと爽快感が融け合ったフレキシブルなヴォーカルで、等身大の自身を描いたリリックを明け透けなほど開放的に歌いあげている。
06プライド オブ プレイス
重量感のあるヘヴィなサウンドと対峙するタフなヴォーカルに芯の強さが見てとれる、ダイナミズムあふれるロック・チューン。強い意志が感じられるリリックは、インディ時代に書かれたもの。アツく闘ってます。
07夏のある日
力強さを包括した穏やかなヴォーカルによって、生きることの意味や大切さを夏の情景に重ねたリアルな想いが綴られるミディアム・ロック・チューン。アメリカン・ロック・サウンドが、サビでより説得力を増すように響く。
08I Sing This Song For You
パンキッシュで明快なバンド・サウンドと男女の楽しいコーラスが織りなす、楽しさが魅力のポップ・ナンバー。ガーリーでハッピーな空気感が楽曲全体を包み込んで、恋する女の子のピュアな気持ちを描き出している。
09傷だらけでも抱きしめて
進行中の恋愛に対する思いを、耳あたりのよいメロディの中で歌ったロック・チューン。その作詞センスはもちろん、自身の演奏によるギターも冴えまくる。アーティストとしての上木彩矢の才能を再認識させられる曲だ。
10Believe in YOU
“寂しがりやさん”“お人形さん”など、従来のあまり使われてこなかった言葉をチョイスした、女性らしさを表現したリリックが新鮮。フェイクを採り入れたヴォーカルで幅を持たせた、切なさ全開のロック・ナンバー。
11Can't stop fallin' in LOVE
抑えきれない強い想いを歌いあげる訴えかけるようなヴォーカルが、哀愁を醸し出すロック・ナンバー。マイナーなメロディとハードなギター・サウンドが彼女のロマンティシズムを覆っていく。男性の視点で書いた、切なくてまっすぐな愛の歌。
12Changing The World
恵まれない国について報道したTV番組に触発されて書いたリリックを、存在感のあるヴォーカルで表現した異色のナンバー。ダークな雰囲気をまとった浮遊感のあるサウンドが、後半に向けてドラマティックに展開し、深く心をえぐっていく。
13フレンズ
ラップをフィーチャーした、すべての人への感謝の気持ちを歌い上げるミディアム・チューン。軽やかで優しいヴォーカルからは、彼女の温かい人間性と世界観がしっかりと伝わってくる、スケールの大きいナンバーだ。