ミニ・レビュー
前作から約1年ぶりとなるフル・アルバムは、17曲を収録した充実の一枚。日本語、英語、そして歌詞を“音”ととらえためちゃくちゃ語が何食わぬ顔で同居した彼らのスタイルは変わらず健在だ。テレビ東京『ブログの女王』オープニング・テーマの(4)は新たな代表曲となるだろう。
ガイドコメント
2006年8月発表のオリジナル・アルバム。「ちょ」や「平和島」を感じさせる「コントレイル」、元ザ・ハイロウズの白井幹夫がピアノで参加した「なんでやねん」など、ロック、パンク、ポップに日本語、英語、めちゃくちゃ語が入り乱れた17曲。
収録曲
01ペ様
「ペ様」といえばあの“ペ様”なんだろうなあ。ユーモラスなタイトルとは裏腹に、サウンドはハードなディストーション・ギターが炸裂する、疾走感たっぷりのロック・ナンバー。歌詞はといえば……彼ら特有の語感を重視した、意味のない言葉の連なりで聴かせる1曲。
02オジえもん
「オジえもん」の由来はやっぱりあの国民的なマンガ……まぁ、やめておきます。ディストーション・ギターのハードなリフを基調としたヘヴィなハード・ロック・サウンドに、一切意味のない単語の連なりを歌詞にして聴かせる、彼らならではの楽曲。ドライヴ感たっぷりだ。
03SPEED UP
英語と日本語とめちゃくちゃ語、あらゆる言葉がごった煮になって繰り広げられる世界観は、まさに彼らならでは。エレキ・ギターの歪んでいながらもシンプルなサウンドが、まっすぐに心に突き刺さってくる。J-ロックの王道を行くナンバーだ。
04コントレイル
80年代のバンド・ブーム・サウンドを彷彿とさせる、まっすぐかつシンプルなロック・ナンバー。青春まっさかりの年代が体験する恋を、奇をてらわず一直線に歌詞に乗せて歌い上げる。8ビートとエレキ・ギターそして青臭いながらも真剣な歌詞……力強い1曲だ。
05なんでやねん
リフの勢いと音だけを重視した歌詞がベスト・マッチング! 妙な説得力と疾走感を醸し出している、シンプルでまっすぐなハード・ロック・ナンバー。力強いギターとメロディアスなベース・ライン、男臭いドラムのビートが相まって、どっしりとした男の世界を作り上げている。
06酒
オクターブ奏法で表現豊かに聴かせる力強いギター・リフや、オープン・ハイハットを力強く打ちつける、にぎやかなドラム・ビートが魅力的。ユニゾンから突如ハモり出しまたユニゾンへ……と変幻自在に聴かせるヴォーカルが、なんとも楽しいロック・ナンバー。
07風
ディストーションの歪みも最大! ドラムのスピードも最速! ヴォーカルの切なさも最強! と、三拍子揃った男臭さ満点のヘヴィなロック・ナンバー。未知の世界へと飛び込んでいく、あらゆる世代への応援歌といえる詞がなんとも力強い。
08MISSILE
“ビッサぱいら味噌”“パイポーウィッサネっさ”これらの言葉に(恐らく)意味などこれっぽっちもないはずだが、彼らの情感たっぷりのギター・サウンドをバックにまっすぐな歌声で歌われると、何かしらの説得力が生まれるから不思議。ドライヴ感たっぷりのロック・ナンバーだ。
09HUMMER TIME
“SUMMER TIME”ではなくあくまでも「HUMMER TIME」。青春期にある出典不明の不可思議なパワーと焦り、エネルギーとフラストレーションをギュッと1曲にまとめたかのような、元気いっぱいのロック・ナンバーだ。
10ワタパチ君
ディストーションで歪ませたギターと8ビートのシンプルなロック・ビート、そして汗もたっぷりに熱く歌い上げるヴォーカルのみで聴かせる、ホットなロック・ナンバー。歌っている詞は彼らならではの“めちゃくちゃ語”。これがメロディにぴったりとフィットしていて気持ちいい。
11LOVE&PEACE ISLAND
夏の日差しをたっぷり感じさせてくれるレゲエ・サウンド。ギターの乾いたカッティングとベースのメロディアスなラインが印象的だ。軽く、あくまで軽く刻まれるドラムのビートが、爽やかな雰囲気を醸し出している。
12ハイドワイター
男臭さ満点の叫び声がこだまする、ヘヴィなハード・ロック・ナンバー。「ワイドハイター」ならぬ「ハイドワイター」なるタイトルをはじめ、“理科なサッフォーイ”“ぴっぽサニ系”など、彼らにしか書けない独特の歌詞ももちろん炸裂! B-DASH節が全開だ。
13流れ星
ディストーションを目一杯効かせた骨太のギター・サウンドが、男臭さを最大限に際立たせるハードなナンバー。愛しい相手に向かって優しく語りかけるような穏やかな歌詞が、サウンドとの対比をくっきり際立たせていて、疾走感たっぷりの1曲となっている。
14坊主
日本語でもない、もちろん英語でもない、どこの国にもない独自の言葉を発信し続けるB-DASHならではの、ハードで力強い1曲。“ぜっせぎらい”“あーシェイナモ”……これらの不可思議な言葉が、メロディと合わさると独特の雰囲気を醸し出すからなんとも不思議だ。
15太陽
“太陽”をテーマにした、老若男女あらゆる世代に送る力強い応援歌。不安な人も、落ち込んでいる人も、迷っている人も、脅えている人も、これを聴けば元気いっぱいになること請け合いの、シンプルでまっすぐなロックンロール・ナンバー。
16最後のホー
1本筋の通った芯のあるギター・サウンドとシンプルなロック・ビートが印象的なロック・ナンバー。GONGONによる彼らオンリーの詞世界は、何とも奇妙摩訶不思議。それでもしっくりと楽しめるのは、確かな演奏力があるからこそだ。
17アイポーワイポー
低音を強調したヘヴィなディストーション・サウンドと男の匂いたっぷりの雄叫びが、野太いパッションを感じさせるハードなナンバー。滅茶苦茶な歌詞とは裏腹に、緻密に組み立てられたギター・リフとアレンジで、高い音楽性を感じさせる1曲だ。