アコースティック・ギター、ピアノ、ストリングスを機軸にしたオーガニックなサウンドのなかで、徳永の歌声がしっとりと響きわたる。温かみのあるロマンティシズムがじんわりと伝わってくるカヴァーだ。オリジナルは中島美嘉による名バラード。

ハスキーな渋みとゆったりと流れるグルーヴを併せ持つヴォーカルによって、楽曲が持つ美しくも切ない郷愁感を見事に描き出している。江口信夫による、まるで歌っているようなドラムが素晴らしい。谷村新司が詞曲を手掛け、山口百恵の名唱で知られるバラードのカヴァー。

奥深いノスタルジーをたたえたピアノに導かれ、“泣きながら……”の最初のフレーズが聴こえてきた瞬間、全身に震えが走るほどの快楽が生まれてくる。徳永の声の魅力がクローズアップされた名テイク。荒井由実の佳曲のカヴァー。

“女の情念そのもの”といっても過言ではない痛々しくも悲しい失恋歌を、決して大げさにはせず、メロディの美しさをしっかりと汲み取りながら歌い上げるカヴァー曲。作詞・作曲は中島みゆきで、研ナオコが歌って大ヒットを記録したナンバーだ。

ギター、ピアノ、ベース、ドラムというアコースティックなサウンドによって、“もどかしい恋”をシックに表現。ひとつひとつの言葉に奥深い情感を込めていくヴォーカリゼーションも、きわめて高品質だ。原曲は中森明菜で知られるナンバー。

フィリー・ソウル的アプローチを感じさせる弦一徹のストリングス、洗練されたソウルネスをたたえたビートをフィーチャーしたカヴァー曲。ヴォーカルを軸に据えながら、大人のダンス・チューンというべき音像を描いている。オリジナルは竹内まりや。

小坂明子による日本の歌謡史に残る名バラードを、アコースティック・ジャズ・サウンドでカヴァー。決して声を張りすぎない、さりげない表情だが、楽曲の“強さ”はしっかりと伝えるヴォーカルが心地よく響くナンバー。

震えるような心情を伝えるストリングスのなかで、きわめて自然に、フッと立ち上がってくるヴォーカルが魅力。それが楽曲が進むにつれて、恋人との別れに直面した女性の切り裂かれるような心情を生々しく伝えている。原曲は五輪真弓のヒット曲。

ピアノとギターの繊細かつ映像的なアンサンブルが、リスナーをナチュラルに楽曲の世界へと引き込んでいく。恋人をやさしく見つめるようなヴォーカル・アレンジも秀逸。作詞曲は伊勢正三、イルカが歌って大ヒットを記録した曲のカヴァー。

プリンセス・プリンセスのロッカ・バラードのカヴァー。厚みのあるコーラス・ワークを採用することで、メロディの良さを力強く引き立てるアレンジが印象的だ。どこか少女的な空気を持った徳永のハイトーン・ヴォイスも強く心に残る。

作詞・松本隆、作曲・呉田軽穂（松任谷由実）による松田聖子の代表曲を、しっとりとしたアコースティック・アレンジでカヴァー。楽曲が進むにつれて大らかに開放されていくメロディの魅力を、渋みあるヴォーカルでより深く伝えることに成功しているナンバーだ。

あなたのすべてがほしい、私を奪って……という熱い求愛を描き出したラブ・ソングを、あえて感情を抑えながら歌うことで新しい魅力を引き出している。クラシカルなストリングスも絶品。高橋真梨子の名唱で知られるバラードのカヴァー。