ミニ・レビュー
福耳としてリリースされた全シングル曲5曲に、オフィス・オーガスタ所属アーティスト同士のコラボレーション曲を7曲加えた編集盤。トータルなムードを感じさせつつも、1曲ごとにくっきりと色合いが変化するのが楽しい。ビートリーな音作りも楽しい(12)がベスト曲。★
ガイドコメント
2006年9月リリースの企画ベスト盤。既発シングル全5曲に、元ちとせやスキマスイッチといったオーガスタ所属アーティスト同士のコラボ曲をコンパイル。“オーガスタ・キャンプ”に行けないファンには嬉しい1枚。
収録曲
〈福耳Session〉
01星のかけらを探しに行こう Again
0210 Years After
スガシカオによるファンキーなギター・リフが印象的なナンバー。ラテン系の情熱的なサウンドとハスキーでセクシーな杏子のヴォーカルが見事にハマっている。祭りをテーマとした遊び心に富んだ歌詞も、聴いていて楽しい。
03SUMMER of LOVE
雲ひとつない夏の青空をイメージさせるような、突き抜けるようなギター・サウンドが心地よいポップ・ロック・チューン。イントロとエンディングで用いられるシタールのメロディが、良いアクセントとなっている。
04ALL OVER AGAIN
哲学的な歌詞とストリングスによる壮大なイメージのサウンドが特徴的なバラード。コーラスとしての参加にも関わらず、リード・ヴォーカルを喰わんばかりの圧倒的な存在感を放つ、元ちとせの歌声にも注目だ。
05惑星タイマー
TBS系ドラマ『誰よりもママを愛す』の主題歌で、スキマスイッチ作詞作曲によるミディアム・バラード。ストリングスをフィーチャーしてドラマティックに展開していき、幻想的な歌詞を盛り上げている。
06イジメテミタイ (DrugOn Mix) (杏子 collaboration with スガシカオ)
SMをイメージさせる過激でエロティックな歌詞がインパクト大のファンキー・ロック・ナンバー。杏子とスガシカオのハスキー・ヴォイスによるパワフルなツイン・ヴォーカルが、詞の世界観と見事にマッチしている。
07はじめての気持ち (スガシカオ collaboration with 岡本定義 from COIL)
陰鬱とした雰囲気のAメロ・Bメロと、サビのポップさのギャップが印象的なナンバー。ワウを多用したエレキ・ギターを強調したサウンドがカッコイイ。片想いの女の子へ向けた、不気味なまでに一途な気持ちを歌った詞にも注目だ。
08カルテ (山崎まさよし collaboration with 杏子)
自分は病気なのか、ただの思いすごしなのか、それとも、こんなことを考えること自体が病気なのか……。サビの「ねえ、僕らはうまくいってるよね」とささやく歌詞が、病的な男の痛々しさを見事に描写している。
09カウンセリング&メンテナンス (COIL collaboration with あらきゆうこ)
ディストーションを効かせた軽快なギター・リフがかっこいい、ロック・ナンバー。「入手困難マザーリトルヘルパー」や「中古良品のパラシュートねーちゃん」といった意味不明な歌詞と、シンプルなギター・サウンドとのギャップが楽しい。
10桜夜風 (スキマスイッチ collaboration with 山崎まさよし)
ピアノとアコースティック・ギターによる、シンプルで温かみのあるサウンドと美しく優しいメロディが心地よいバラード曲。「桜夜風」「弓張り月の向こう側へ」など、幻想的かつ郷愁的な詞世界にも注目だ。
11名前のない鳥 (元ちとせ collaboration with 山崎まさよし)
ほとんどア・カペラに近いくらいにシンプルな構成により、元ちとせの声の魅力が存分に堪能できるナンバー。歌詞に登場する「陽炎」「幻」「名もない鳥」といった言葉が、元ちとせの歌声と重なりあい、たとえようもない幻想的な雰囲気を醸し出している。
12永遠という場所 (杏子 collaboration with 山崎まさよし、COIL、スガシカオ)
忘れられない過去を乗り越えて、未来に向かって歩き出す決意を歌ったポジティヴなロック・チューン。杏子の繊細かつパワフルなヴォーカルが、主人公が抱く明日への不安とそれを克服するたくましさを感じさせる。