ミニ・レビュー
元サウンドガーデン&元レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの面々による4人組のサード。ファンキーでレイドバックしたサウンドはシブいけど、ちょっと普通過ぎるかも。ただし、ヘンなギター・ソロは健在。一番凄いのは、前作から1年余という順調さでは?
ガイドコメント
元レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのメンバーと、元サウンドガーデンのクリス・コーネルとで結成されたスーパー・バンドの3作目。ダイナミズムあふれるアメリカン・ロック・サウンドにさらに磨きがかかっている。
収録曲
01REVELATIONS
“天啓”について朗々とクリス・コーネルが歌い上げる、アルバム『レヴェレイションズ』の1曲目に相応しい確信に満ちたファンキー・チューン。トム・モレロがまるでクラヴィネットのような音色を、テクニカルなギター・プレイで奏でている。
02ONE AND THE SAME
粘りつくようなエレクトリック・ギターのカッティングが、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを想起させるヘヴィ・ロック・チューン。音圧の高いドラム・サウンドと地を這うようなベース・ラインが、躍動的なグルーヴを鼓舞している。
03SOUND OF A GUN
アメリカ社会における銃問題を告発したハード・ロック・ナンバー。アコースティック・ギターのアルペジオを挿入することによって、メロディ・ラインを際立たせている。ギター・ソロではトム・モレロお得意のスクラッチ奏法が炸裂!
04UNTIL WE FALL
翼を広げて2人で高みへと舞い上がろう……。そんな恥ずかしいほどロマンティックな想いを情感たっぷりに描き出した、哀愁漂うフォーク・ロック・ナンバー。クリス・コーネルの歌心が存分に発揮された一品だ。
05ORIGINAL FIRE
スタックス調の叩き込みのビートが特徴的なロックンロール・ナンバー。楽曲のタイトルそのままに、炎のように熱いバンド・アンサンブルが堪能できる。クリス・コーネルのヴォーカルも血管がブチ切れそうなほどハイテンションだ。
06BROKEN CITY
ブルージィなエレクトリック・ギターのリフレインを中心に構成された、土臭いファンク・ナンバー。ファルセットを織り交ぜたやわらかな歌声と抑制されたバンド・アンサンブルの絡みからは、しなやかな生命力があふれている。
07SOMEDAYS
苦しい日々があるかもしれないれど、それでも生きていくんだよ……。諦観とそれを乗り越えようとするまっすぐな想いを、クリス・コーネルが力強く歌い上げる。まさにアメリカン・ロックの王道といえるポジティヴなナンバーだ。
08SHAPE OF THINGS TO COME
かつてのサウンドガーデンのようなソウルフルなメロディが前面に押し出されている。ミクスチャー・ロック的なうねりのある演奏が絡みつくことによって、オーディオスレイヴ独自の響きが生まれたオルタナティヴ・ロック・ナンバーだ。
09JEWEL OF THE SUMMERTIME
夏の焼けつくような暑さを、R&B寄りのゆるいビートで表現したミディアム・チューン。クリス・コーネルの歌声はどこか重苦しく、トム・モレロがエレクトリック・ギターでシンセサイザーのような音色を奏でているのが印象的だ。
10WIDE AWAKE
ハリケーン“カトリーナ”によってあらわになった、ジョージ・W・ブッシュ政権の人種差別的な政策を糾弾した、社会性の強いメッセージ・ソング。怒りがそのままサウンドに直結したかのような、ヘヴィ極まりないサウンドだ。
11NOTHING LEFT TO SAY BUT GOODBYE
クリス・コーネルのソロ・アルバムに近い雰囲気を持った、エモーショナルかつメロディアスなロック・ナンバー。友との別れ際に永遠の友情を誓う姿を描いた詞には、大人の世界ならではの哀愁に満ちあふれている。
12MOTH
レッド・ツェッペリンを思わせるオリエンタルなメロディ・ラインを持つ、オールドスクールなハード・ロック・ナンバー。トム・モレロのギター・プレイもおなじみの特殊奏法を封印し、ひたすら音圧を上げることに専念している。
13SET IT OFF
1stアルバムの中核をなしていたヘヴィ・ロック・チューンの熱狂的なライヴ・テイク。録音地であるノルウェーにおける、オーディオスレイヴの高い人気ぶりがうかがえる。喉が焼けつきそうなほどに壮絶なクリス・コーネルのシャウトは、ライヴならではの迫力だ。
14DOESN'T REMIND ME
観客の手拍子に導かれてスタートする、2ndアルバムからの3rdシングルにもなった人気曲のライヴ・テイク。ライヴでも乱れることのないクリス・コーネルのハイトーン・ヴォイスは、まるでかつてのロバート・プラントのようだ。
15GASOLINE
音程など気にせずに突っ走って叫びまくるクリス・コーネルと、それに合わせるかのようにテンションを一気に上げていくバックの演奏陣との息もぴったりなライヴ・テイク。クリス・コーネルと観客のコール&レスポンスも楽しい。
16OUT OF EXILE
2ndアルバムのタイトル曲がライヴ演奏によってさらにパワー・アップ! 暴力的なまでの弾力性に満ちたリズム・セクションの上を、メタリックなギターが這い回るさまはまさに臨界状態そのもの。観客の大合唱も圧巻だ。