ミニ・レビュー
TVドラマ『医龍』の主題歌/大ヒット曲(9)と新シングル(4)を収録する、14ヵ月ぶりのアルバム(4作目)。彼女と敏腕サウンド・クリエイターたちとのコラボの絶好調ぶりも明らかな前作を優る曲/音たち、そして姐御のかっこよさと心からのメッセージが詰まっている。
ガイドコメント
AIの4thアルバム。TVドラマ『医龍』の主題歌である「Believe」、CMソングに起用された「No Way」と「Beautiful」のリミックス・ヴァージョンなど、抜群の歌唱力とR&Bシンガーとしての魅力を詰め込んだ作品に仕上がっている。
収録曲
01Intro
音楽は自分の魂を向上させてくれるもの、そう、音楽は生活であり、人生そのもの……。そんな熱いメッセージをたたえた、アルバム『What's goin' on A.I.』イントロダクション。AIの音楽に対する深い思いがはっきりと、力強く伝わってくる。
02MUSIC
オーセンティックなソウル・ミュージックやゴスペルの要素を採り入れた、スピリチュアルな雰囲気のミディアム・ナンバー。音楽の力で私は強くなった、諦めず、ここまでがんばってきた……という彼女のメッセージがグッと胸に迫ってくる。
03What's goin' on pt.1
世界中の報道アナウンスをつなぎながら、“今、世界では何が起こってるの?! 私たちはどうすればいい?”というシリアスな空気を生み出す、アルバム『What's goin' on A.I.』のインタールード。アルバムのテーマとも深くリンクしたトラックだ。
04I Wanna Know
「Believe」に続く2006年のシングル第2弾は、アッパーなダンス・チューン。リズムを強調したピアノを軸に据えたサウンド・プロダクツは、DJ WATARAI、JiNによるもの。緊張感あふれる音像のなかで“いま必要なのは、お互いを思いやること”という真摯なメッセージを乗せたリリックが舞う。
05go find your way
アーシー&ブルージィなギターのフレーズが心地よいノスタルジーを誘うミディアム・チューン。何かを求め、どこかへ行ってしまった“キミ”を思い出しながら、いつまでも待ってると歌い上げるAIの声が切なく響く。彼女の妹をモチーフにした曲。
06We gonna
ファットなベース・ラインとダイナミックなコーラス・ワークを軸にしたヒップホップ・ソウル・ナンバー。ドープ&ディープなグルーヴ感と“どこまでも自分の道を突き進もう”という、力強い意志を同居させたライミングが素晴らしい。
07What's goin' on pt.2
電話の着信音、世界中の人々をつないでいく会話。そこには深い悩みを持っている人もいれば、“help”を求めている人もいる。「pt.1」と同じように、コンセプトをしっかりと反映した、アルバム『What's goin' on A.I.』のインタールード。
08No Way
ストリングスを効果的に配色したトラックが心地いいR&B系ダンス・チューンだが、リリックの内容はきわめてシリアス。現実から逃げないで、自分と向き合うしか道はない、という感情を突きつけるようなヴォーカルに強く揺り動かされる。
09Believe
ジャズ〜ブルースのエッセンスを色濃く感じさせるピアノから始まるバラード。不安と孤独に苛まれていた自分を救い出してくれた“アナタ”への愛を、大らかなメロディに乗せて力強く歌い上げている。CX系ドラマ『医龍 Team Medical Dragon』の主題歌。
10ooh
切なさと軽やかさが同居したリズム・アンサンブル、ソウルフルなストリングス、フロウとメロディのバランスを整えるヴォーカル。これらがナチュラルに融合した、サウンド・メイクの良さを証明する佳曲。カニエ・ウェスト風のヴォーカル・サンプリングも効果的。
11Beautiful (Remix) (feat.Trey Songz)
オーセンティックなゴスペル、ヒップホップをルーツにしながら現代的なストリート感覚を身に着けた、トレイ・ソングスをフィーチャー。肉体的なセクシャリティと洗練されたグルーヴを同時に体感させてくれる、ダンサブルなヒップホップ・チューン。
12Too Much (Remix) (feat.Rain)
シンプルにしてドープなヴァイブスを伝えるトラックのなかで、AIとRainのフロウが美しく、力強く融合するヒップホップ・テイストのダンス・チューン。“I like to rock baby”でスタートするフックの心地よさは、フロアでもしっかりと機能しそうだ。
13Famous (feat.Shaggy and Yalin)
2000年代を代表するレゲエ・アーティスト、ShaggyとトルコNO.1といわれるYalinをフィーチャーしたダンスホール・ナンバー。ジャマイカ、トルコ、日本を1本の線でつないだエキゾティックなサウンド・メイクや“AI(エーアイ)”の掛け声が、強烈な印象を残す。
14未来
凛とした空気をもたらすピアノのフレーズを機軸にしたミディアム・ダンス・チューン。自分の人生は自分で決めたい、というまっすぐな意志を宿したリリックが、十分に洗練されたメロディによって美しく広がっていく。
15Love is...
いろいろあったけど、ふたりならどんなことも乗り越えられる。これからも一緒に歩いていってね……という、(おそらく)結婚する友達に向けたピアノ・バラード。魂のこもったヴォーカルはまさに鳥肌モノの、アルバム『What's goin' on A.I.』のラスト・ナンバー。