ミニ・レビュー
これが4枚目のアルバム。全曲自らの作詞・作曲。自らと同世代の人々の日々と、その日々に思うこと、思うであろうことが、率直に歌い込まれている。恋愛について、人生について、そして社会に対して思うこと……。日常的であるということは、リアルだということ。
ガイドコメント
河口恭吾の4thオリジナル・アルバム。バラエティ番組『ウチくる!?』のエンディング・テーマに起用された「ホントは幸せ」のアルバム・ヴァージョンや「会社をやめて旅に出よう」などを収録。今までのバラードのイメージを覆す、ポップでカラフルな作品に仕上げている。
収録曲
01会社をやめて旅に出よう
日本テレビ系『スッキリ!!』エンディング・テーマの通算11作目のシングル。タイトル通りの意志を、軽快なメロディと元気なホーン部隊が後押ししてくれるかのよう。ラストの伸びやかな高音も爽快。
02孤独のキャラバン
ギターとピアノの演奏による、ほのぼのとしたミディアム・ポップ・チューン。月の砂漠を白いラクダに乗って旅する“俺”を想像し描いている。飾り気のないシンプルなメロディを背景に、愛しい女性を星にたとえた幻想的な詞が美しい。
03少し疲れてるだけさ
河口の日常生活が見えてくるポップ・ソング。“たまの休日は午後まで寝て、公園に出かける。未来に不安はあるけど大丈夫、今日は少し疲れてるだけ”……。そんな日記のような素朴な詞の世界に、聴く者の心も癒されるはずだ。
04ホントは幸せ (album version)
ハモンド・オルガンの伴奏に、優しい歌声が重なるミディアム・ポップ・チューン。“本当は君とるだけで幸せなんだ”という素直な詞が胸に染み入る、日常の小さな“幸せ”に気付き、感謝することの大切さを教えてくれる1曲。
05蒼い時計
別れの瞬間を綴ったバラード。ケンカ別れではなく相手の黙っている姿から別れを切り出すという、優しさのにじみ出た歌詞がいかにも河口らしい。中心にあるピアノとヴァイオリンの音が、情景を静かに見届けているようだ。
06答え
夕焼けを連想させる物悲しいメロディが美しいバラード。“二人で一緒に歩いていこう”と恋人と永遠を誓う詞を、エレキ・ギターの泣きのフレーズが情感的に盛り上げる。愛に満たされた幸せな雰囲気がじんわりと伝わってくる。
07地球兄弟
シンプルなキーボードの旋律とズンズンと体内に響くドラムのリズムが印象的なスロー・ナンバー。“音楽は国境や宗教を超えて、人と人が仲良くなれる手段”と考えた河口が、世界的な文化交流を目指して制作した楽曲。
08ワタシ no ツバサ
“平凡じゃ終わりたくない、死ぬほど人を愛してみたい”と、悶々と考えるOLの日常生活を歌ったポップ・ソング。教訓を述べるのではなく、欲求や不満を素直に綴った詞がとても自然で、心地良い爽快感を与えてくれる。
09雨
優しいアコースティック・ギターの音色にいやされるスロー・バラード。別れた恋人を思い出し、窓を叩く雨を寂しく眺める女性を歌っている。雨音を随所に織り込んだ演出が、失恋の悲しさと雨の潤いを聴く者に伝えるようだ。
10普通に生きてゆく事は意外と難しい
30代になった河口が、生きることについて考えたバラード。ギターを爪弾きながら、繊細な感情をとつとつと語っていくさまが新鮮。“一度きりの今日を噛みしめて”というポジティヴな詞から、等身大の彼が感じられる。
11逃げるが勝ち
“逃げるが勝ちさ”という大胆な詞を何度も繰り返す陽気なナンバー。“くだらないこと多すぎるから、何だかんだと金がかかるから”とぼやき、スタスタと逃げ出すコミカルな河口の姿が頭に浮かぶ。彼には珍しいアップ・テンポなナンバー。