ミニ・レビュー
名古屋初のヒップポップ・アーティストのセカンド・アルバム。「マタアイマショウ」「ルパン・ザ・ファイヤー」は、シングルでのヒット・チューン。言葉の連射のみならず、メロディもキャッチー。耳に残るフレーズがちりばめられている。
ガイドコメント
前作から約1年ぶりとなる2ndアルバム。ロングセラー「マタアイマショウ」をはじめ、アゲアゲのパーティ・チューンから切ないラブ・ソングまで、愛と笑いと涙と男気がたっぷりのSEAMOワールドが全開だ。
収録曲
01What's Your Name?
ソウルフルなギター・カッティングでスタートする、アルバム『ライヴ・ゴーズ・オン』のオープニング。超アッパーなヴァイブをたたえたトラックとぶっちぎりのテンションから生み出される“自己紹介的”なフロウががっちりと融合。思わず身体が動き出すリード・トラックだ。
02ルパン・ザ・ファイヤー
人気TVアニメ『ルパン三世』主題歌を、ラップをフィーチャーしてカヴァー。大ファンの『ルパン三世』をリスペクトしたリリックが満載のキラー・チューン。オリジナルのフロウを盛り込みながら、峰不二子や銭形警部をサンプリングで出演させている。
03海の家
Nao'ymtによるソウルフルなグルーヴが心地良く響くミディアム・チューン。シーズン・オフを迎えた「海の家」を舞台に、ノスタルジックでちょっぴり哀しい恋愛感情が波のように行ったり来たりする心境を綴った詞を、切なさを誘うR&B調トラックで描いている。
04Mr.Girl Hunter
ハード・ロック・テイストのギター・リフを軸にしたトラックが展開する、ハード・エッジなヒップホップ・チューン。80年代を代表するコミック『シティーハンター』を想わせる、“すべての女を射落とすぜ!”的なリリックが炸裂。
05ANTI HERO (featuring KURO (from HOME MADE 家族))
KURO(HOME MADE 家族)をフィーチャーした、前のめりするほどの攻撃的なサウンドのなかで“俺たちは反逆児で行くぜ!”という宣言をぶちかます。シーモが手掛けた、アグレッシヴで真摯な、どこまでも男っぽいリリックにやられてしまうはずだ。
06心の声 (featuring AZU (from R))
Yuki(BENNIE K)と共作し、AZUをフィーチャーしたミディアム・バラード風ヒップホップ・チューン。“心の声を聞かせて”と問うAZUの温かいヴォーカルに対する“あなたが好きだ”と真っ直ぐに伝えようとするシーモのヴォーカルに、思わずグッとくるはず。
07アナウンス (Interlude)
“ぺぺぺヤング! どうもフランシスコ・ザビエルです”と冒頭から弾けまくる「意味なきワードの数珠つなぎ」をテーマにした、アナウンス風インタールード。意味不明な言葉を投げつけながらも、何だかわからない間にテンションを上げてしまうシーモの力量に感服。
08Rhyme Jet Coaster
タイトル通り、まるでジェットコースターに乗っているようにラップのスピードが加速していくヒップホップ“アトラクション”チューン。BPMが増していくトラックのなかで、正確かつ疾走感あふれるライムをぶちかますシーモのテクニックに注目!
09怒りの鉄槌 (featuring 長州小力)
プロレスラー・長州力の入場テーマ「パワーホール」をネタ使いしたトラックに、長州小力による長州の発するフレーズを組み込ませたナンバー。一見おふざけなコラボだが、リリックは政治と大衆を一刀両断にしたいつになくシリアスな内容で、その攻撃スタイルは反則スレスレだ。
10Champion Road
フットボールの醍醐味とみんなの思いを背負う選手たちへのエールをテーマにした、シーモ流日本代表応援ソング。艶やかなサックスの音色をセンスよく配したアレンジと“Winning Eleven Yeah”というコーラス・ワークの絡みが秀逸。
11Twilight Gemini
シーモの大きな武器である“切ない思いがビッシリつまった”ラブ・ソング。愛した女性の思い出に浸りつつ幸せを願う、という失恋経験のある男なら誰もが共感できる詞に、胸が詰まるはず。スタイリスティックス「YOU ARE EVERYTHING」風のトラック・メイクが涙を誘う、ミディアム・ヒップホップ。
12Golden Time (featuring カルテット&手裏剣ジェット)
シーモの出身地・名古屋の仲間、カルテット&手裏剣ジェットと一緒にぶちかまされる“味噌煮込みの沸騰セッション”。単なる仲間ではなく、切磋琢磨を繰り返してきた同志だからこそ体現できる、自然体で真剣かつハッピーなヒップホップ・チューン。
13マタアイマショウ
ヒップホップと呼ぶにはあまりにもエモーショナル&メロディアスな別れの歌。苦しいほどに美しい主旋律とがっちり実のあるフレーズが甘酸っぱい季節の葛藤を描き、ヤング・ジェネレーションの新たな軌跡となる一曲。
14オヤスMidnight
アルバム『ライヴ・ゴーズ・オン』本編ラストを飾る、愛らしくてシンプルなラブリー・ソング。シーモがそっとつぶやくように歌う“おやすみしちゃいなよ”というフレーズがたまらない。彼の持つ新しくて意外な1面が見える1曲といえるだろう。
15ルパン・ザ・ファイヤー (Big Band Version)
早稲田大学のハイソサエティ・オーケストラによるビッグ・バンド・ヴァージョン。“ルパン三世のテーマ”という大ネタをフィーチャーした出世作が、オーセンティックなジャズ・サウンドで楽しめる、というなんとも贅沢なテイクだ。
16マタアイマショウ (Orchestral Version)
シーモの名前を日本中に響かせたヒット曲「マタアイマショウ」の豪華なオーケストラ・ヴァージョン。悲しくても前へ向かおうとするラブ・ソングが、美しく壮大なストリングスによって、シーモのリリックきわだたせ、カラフルに仕上げている。