ミニ・レビュー
ブランキー・ジェット・シティを解散後もさまざまなバンド活動を続けてきた浅井の初のソロ・アルバム。とはいっても、7曲がSHERBETSとのセッション、5曲に元ブランキーの照井利幸が参加と、これまでのキャリア総決算的な陣容。魅惑のロックンロールを聴かせてくれる。
ガイドコメント
浅井健一のソロ・プロジェクトの全貌が明らかになる、全ロック・ファンに捧ぐ1stアルバム。自らの表現欲求を追及するために、ただひたすらに衝動を具現化。まさに浅井健一のすべてが詰まった作品といえる。
収録曲
01Super Tonga Party
02WAY
03原爆とミルクシェイク
茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ)によるマッシヴなドラミングで華々しく幕を開けるハード・ロック・ナンバー。「ホワイトハウスを黒く塗りつぶせ!」という、ベンジーらしいアイロニカルな歌詞にも注目だ。
04Pola Rola
とろけるように甘くもあり、鋭利なナイフのようにソリッドでもある浅井健一のヴォーカリゼーションが、リスナーのハートにしっかりと痕跡を残す。やわらかなキーボードの音色が心地よい、憂いに満ちたミディアム・ロック・チューン。
05RUSH
音の隅々からすさまじいテンションがほとばしる、問答無用のロックンロール・ナンバー。これぞ、ロック・シーンをまっすぐに突き進むことの(RUSH)所信表明! アタックの効いたチョッパー・ベースが爽快感を残している。
06Hello
ジミ・ヘンドリックスの代表曲でもある「Purple Haze」というフレーズをベンジーが絶叫するだけで、ロック・ファンなら心が騒ぐはず。メロディックでラウドなギター・プレイが、深遠なる世界への扉をこじ開ける。
07空港
虚ろなコード進行、幻想的なリリック。盟友・照井利幸のベース・プレイが、ダウナーなサウンドにさらに深みを与えている。それはまるでレディオヘッドのトム・ヨークの手にかかったかのごとく、ただただ狂おしい。
08ROMERO
メキシコ砂漠の小さな街を舞台にしたロードームービー的世界観が、たとえようもなくクール。ソリッドに研ぎ澄まされた音の隙間から、熱いエモーションがこぼれ落ちる。アルバム『Johnny Hell』収録曲のなかでも屈指のメロウなトラック。
09Johnny Hell
ベンジーが「世界」「戦争」「未来」について直裁に歌った、壮大なロック・アンセム。この世の矛盾と混沌を全身に浴びながら「Hey、Johnny」と絶叫する彼の姿には、ルー・リードのごとき孤高さを見るようだ。
10哲学
メランコリックなヴァイオリンの調べがディープな感情を際立たせ、リスナーのイマジネーションを激しく揺さぶる……。英詞をいっさい排したリリックに、彼らしいストイックな音楽“哲学”が感じられる1曲。
11危険すぎる
12Green Jelly
ロカビリーなギター・リフ、跳ねるようなリズム。男気あふれるラウド&パンクな音楽スタイルは、まさにベンジーの独壇場。ただひたすらに己の衝動を具現化したかのような、官能的なメロディ・ラインが印象的だ。
13人はなぜ
余分なファクターをすべて削ぎ落とし、メッセージ・ソングとして極限までに昇華させた至高のバラッド。浅井健一のアーティストとしてのさらなる深化がうかがえる1曲。約2分間にも及ぶ怒涛のアウトロは、圧巻の一言。