ミニ・レビュー
歌うウクレレ少女だった頃の初々しさはそのままに、安定感を感じさせるミニ・アルバム。こんな時代だけに、彼女の柔らかな肯定のパワーが人々を癒すのでしょう。ストレートでないがゆえに強烈なエロスを感じさせる(4)を聴いていると、やはり凄い人なのだなと思います。
ガイドコメント
ベスト・アルバム『つじベスト』でひとつの区切りを迎えたつじあやの。続くこのアルバムでは、彼女が本来持っている癒しの部分をフィーチャーしている。ココロが元気になるリラックス・ミュージックが満載だ。
収録曲
01Fly High
“Fly High”という言葉を、「もっと遠くへ、もっと高くへ」という焦りや願望ではなく、「あなたとなら自然とどこへでも行けてしまいそう」という可能性を感じさせる言葉として解釈したナンバー。軽やかなピアノの音色と軽快なドラムが、浮遊感を見事に表現している。
02はじまりの時
サックスとトランペット、ウッド・ベースらが織りなす、軽快で温かみのあるナンバー。伸びやかで透明感のあるヴォーカルが心地よく、生きている喜びを全身で感じているような詞世界も、温かさにあふれている。
03チキンハートをけとばして
レゲエのリズムとホーンの音色が心地よく響く、ポップ・チューン。「きっとある、あの島には宝物」「世界で1、2を争う美しい瞳が待ってる」などの、タイトル通りの爽快感にあふれたポジティヴな歌詞が素晴らしい。
04Bathroom
冒頭の「体があなたをもとめている」という、つじあやのらしからぬ歌詞にドキッとさせられる。トレード・マークのウクレレを使用せず、普段より低いキーで大人っぽくしっとりと歌うなど、彼女の新たな魅力に触れることができるナンバーだ。
05忘れないで
チェロとビオラによる、幻想的でどことなく懐かしいようなサウンドが印象的なスロー・ナンバー。ささやくような繊細なヴォーカルが心地よく、「遠い記憶となってもずっとそばにいる」というぬくもりがあふれる詞に、涙腺が緩みそう。
06アイムハッピー
ウクレレをケースから出してチューニングする音から始まる、生々しさにあふれるナンバー。「アイムハッピー」というタイトルには、ウクレレ1本で歌うことへの自信と歓びがうかがえる。自然体で奏でることができる幸せを歌う、彼女の原点に触れられる作品だ。