ミニ・レビュー
ノイズで展開される(1)をはじめとするギター・プレイから、作詞・作曲・プロデュースまで自身で手がけた異色作。ロックやジャズに傾倒しながらも、ジャンルを超越する多彩な要素を感じさせ、かなり硬派な仕上がりといえる。音とグルーヴを堪能したい。
ガイドコメント
人気俳優オダギリジョー初のアルバム(ヴォーカル盤)。歌だけでなく、ギター、作詞・作曲も手がけるというマルチな才能を披露。ドコモの携帯電話のCMでオンエアされている「i don't know」など収録する。
収録曲
01Amuse
エレクトリック・ギターのフィードバック音をエフェクターで加工して作り上げた、実験的なインストゥルメンタル・ナンバー。アート・リンゼイなどのニューヨークのアヴァンギャルド音楽シーンからの影響が色濃く反映されている。
02i don't know
豪快に鳴り響くヘヴィなエレクトリック・ギターと極太のベース・ラインが、まるでストゥージズのようなガレージ・ロック・チューン。オダギリジョーは海外在住経験者だけあって英語詞の発音も非常に流暢で、楽曲に無理なく溶け込んでいるのもイイ。
03雨音
ウッド・ベースとヴァイオリンがフィーチャーされた、ジャジィなスウィング・ロック。パンクとジャズが融合したかのような、自由奔放かつ攻撃的な鋭さを持ったサウンドだ。オダギリジョーのウィスパー・ヴォイスがセクシー。
04Inst.H.
インプロヴィゼーションを重視した楽曲の構成から、オダギリジョーのフリー・ジャズへの傾倒が垣間見られるインストゥルメンタル・ナンバー。オダギリジョーを含む3人のギタリストによるギター合戦は、ノーウェイヴ風だ。
05t.
キャッチーなメロディを持つジャズ・ロック・ナンバー。オダギリジョーのハーフ・スポークン・ヴォーカルは、彼の歌い手としての実力の高さを証明するもの。中音域を強調したアナログ・レコード風の柔らかい音像がノスタルジックに響く。
06雨音 (2001 demo version)
2001年に録音された「雨音」のデモ・ヴァージョン。ほとんどジャジィなスウィング・ロックのインストゥルメンタル・ナンバーとして仕上げられていた公式ヴァージョンと違って、こちらはあくまでも“歌もの”として仕上げられていたものだ。