ガイドコメント
デビュー・アルバム『フォールン』が世界で1500万枚ものセールスを記録した、ロック・ディーヴァ、エイミー・リー率いるモンスター・ロック・バンド、エヴァネッセンスの2ndアルバム。本作も手ごたえ抜群の仕上がりになっている。
収録曲
01SWEET SACRIFICE
断続的に繰り返されるヘヴィなギター・リフが、重い扉をじわじわとこじ開けていくかのようだ。随所で東洋的なメロディ・ラインを聴かせながら、宣誓するように、心の中に存する恐怖を乗り越えていくことを歌っている。
02CALL ME WHEN YOU'RE SOBER
力強いヴォーカルとストレートな歌詞で、恋人に“泣きつかないで”と別れを告げる、はっきりとした意思表示が潔い。心を決めるようにピアノとともに歌い出して、パワフルに展開していくナンバーだ。最後の不敵な笑い声が印象的。
03WEIGHT OF THE WORLD
ファンと向き合う上でのプレッシャーを歌った曲。ハードなロック・サウンドに乗せて、時に叫ぶように、時に祈るように歌い上げるエイミー・リーのヴォーカルから、プレッシャーと戦う心象風景が見えてくるようだ。
04LITHIUM
叙情的なストリングスとダークなバンド・サウンドが重なり、荘厳な雰囲気を作り出す。闇の中に堕ちていくように深い悲しみを歌いながらも、そこから羽ばたこうとする葛藤を描く。感情をなぞるようなピアノが美しい。
05CLOUD NINE
祈りにも呪文にも聴こえる、ファルセットによるコーラスが印象的なナンバー。低音から高音までさまざまな声を聴かせるヴォーカルが、激情的かつハード・エッジなバンド演奏によって、オペラのようにドラマティックに響きわたっていく。
06SNOW WHITE QUEEN
プロトゥールズによる地を這うようなデジタル・ビートに、不穏なメロディが絡んでいく。エイミー・リー自身のストーカー体験がモチーフになっている曲で、支配的で歪んだ想いを、迫りくるヴォーカルで歌い上げている。
07LACRYMOSA
モーツァルトのレクイエムニ短調「ラクリモサ」をサンプリングした、クラシックとロックが融合した曲。仰々しいミュージカルを思わせる分厚いコーラスをバックに、行き詰った恋愛関係に鎮魂歌を捧げるように歌っている。
08LIKE YOU
亡くなった妹について歌ったバラード・ナンバー。冷たく美しいピアノの旋律に導かれ、スピリチュアルに歌い上げている。流麗なストリングスが厳かな雰囲気を描き出し、時折、何かを心に刻み込むようにギターが鳴り響いていく。
09LOSE CONTROL
不気味なコーラスとともに静かにはじまり、ヘヴィかつパンキッシュに爆発。静と動を行き交うアレンジ、誘惑するような歌声と甘美なメロディが、自制心を失っていくスリルと快感を思わせる。危険な香りが漂うナンバーだ。
10THE ONLY ONE
硬質なバンド・サウンドが重々しくリズムを刻むなかで、人生をテーマにした歌詞を深々と歌い上げる。ヘヴィなアレンジに流されずに、淡々と繊細さを保ち続けるピアノの音色が美しい。ミステリアスな雰囲気が漂う曲。
11YOUR STAR
悲しげなピアノのイントロから、悲痛な叫びを祈りに変えていくような歌唱を聴かせる。叩きつけるバンド・サウンドがドラマティックに展開するナンバーで、聖歌隊を思わせるコーラスが神聖な響きを持って迫ってくる。
12ALL THAT I'M LIVING FOR
強力なギター・リフとともに叫ぶように歌われるコーラスがキャッチー。なだらかでメロディアスな演奏からパワフルなコーラスへと展開していく、メリハリのあるアレンジが印象的な、エネルギッシュなナンバー。
13GOOD ENOUGH
ピアノとストリングスによるシンプルな演奏に乗せて、満たされた心をしっとりと歌い上げるバラード。穏やかな歌声から安らげる場所を見つけた、という安堵感が感じられる。そっと心を落ち着かせてくれるナンバーだ。
14CALL ME WHEN YOU'RE SOBER
ピアノとストリングスのみに削ぎ落とされた演奏が、恋人に別れを告げる歌詞と力強いヴォーカルをより生々しく引き立てている。ブレスまで聴こえてくるエイミー・リーの歌声が堪能できる、歌に込められた感情が迫ってくるナンバーだ。