ガイドコメント
ソロ名義での3rdアルバム。タイトルは2006年当時の年齢39に、誕生日で煩悩の数でもある108をプラスした数字からのもの。力強いロック・ナンバーはもちろん、THE YELLOW MONKEY時代には見られなかった、柔らかな愛を描いた楽曲も味わえる。
収録曲
[Disc 1]
01人それぞれのマイウェイ
どうでもいいことが大事なことなんだ、とつぶやくように歌うメランコリックなナンバー。淡々と刻む乾いたドラム、ソリッドなギター・リフは、英国ロックの香りが漂う。晴れた日よりも薄曇りの日が似合いそうな曲だ。
02LIVING TIME
ソリッドなカッティング・ギターや気だるいリヴァーブ・ギター、憂いのあるヴォーカルには、年齢を重ねた人にしか出せない風格が漂っている。あえて熱い言葉を選ばずに自分の方向を示そうとする詞には、大人の不敵な決意表明が込められている。
03LONELY
飾り気のないロック・ピアノを伴奏にした繊細な歌い出しに耳を引かれるミディアム・ナンバー。ドラムやヴァイオリンが徐々に加わり、パワフルなサウンドになっていく。さびしげな歌詞ながら、最後には少しの救いを見せてくれるのが吉井流だ。
04黄金バッド
半音階を刻むダークな雰囲気のギター・リフに、乾いた軽さを持ち合わせたドラムが絡む、オルタナティヴな個性が際立つ激しいロック・ナンバー。“顔の皮を剥いだら、骸骨は黄金”という皮肉めいた詞も彼らしく、聴きどころだ。
05ポジネガマン
ユーモラスなタイトルながら、あくまで内省的に己を見つめるスロー・ナンバー。アコースティック・ギターのバッキングはブリティッシュ・ロックの影響が濃いが、間奏のギターの音色には吉井の好むムード歌謡の趣もある。
06HOLD ME TIGHT
冒頭から激しくガレージ風のビートを刻む、ストレートなパンク・ナンバー。途中の変則的なリズムが一筋縄ではいかない彼の魅力を感じさせている。ライヴはもちろん、真夜中のロック・クラブでも映えそうな1曲だ。
07I WANT YOU I NEED YOU
「108つの欲望をつぶしてきたけど まだまだ消えない」と歌う、アルバム『39108』の核ともいえるミディアム・ナンバー。“I WANT YOU I NEED YOU”と繰り返される詞とエッジのきいたギターが、クールで不穏な香り漂わせるロックンロールだ。
08WEEKENDER
すべての働く人たちに送る週末讃歌。吉井の曲に多くみられる沈鬱なトーンは影を潜め、背中に羽根が生えたような、軽やかで明るいアップ・テンポなナンバーだ。やっと晴れた……そんな日の気分に似た爽やかさが感じられる。
09ALL BY LOVE
シンプルなアコースティック・ギターを中心に、吉井の語りかけるような歌が始まる。日本語詞でありながら英語の曲のようにも聴こえるのは、吉井の独特の歌唱法によるマジックか。後半の開放感いっぱいの展開が晴れやかなナンバー。
10BEAUTIFUL
2006年リリースの吉井和哉名義でのシングル第1弾。限りなく生音に近いアコースティック・ギターが、同じく「裸」の印象を与える吉井の歌にぴったりと寄り添っている。愛情があふれる世界を伝えるようなバンド・サウンドにも注目だ。
11恋の花
愛と生命の素晴らしさを、吉井の声と伴奏のアコースティック・ギターのみで伝えるシンプルな佳曲。どちらかというと洋楽からの影響を多く感じさせる吉井だが、この曲では日本風のメロディが美しく響きわたっている。
12BELIEVE
ピアノ・メインのバンドをバックに失恋のやるせなさを物憂げなトーンで綴るのは、吉井が得意とする楽曲。だが、サビでは、悲しみをたたえながらも希望を感じさせるメジャー調へ移行し、ひとつの物語を明るく締めくくっている。
[Disc 2]〈Documentary DVD〉レコーディング及びジャケット撮影時のドキュメンタリー〜BEAUTIFUL(PV)〜WEEKENDER(PV)〜メイキング映像