ガイドコメント
3人組のブリティッシュ・バンド、リトル・バーリーの2ndアルバム。ギタリストのバーリー・カドガンを中心にヴィンテージ楽器を採り入れた温かなサウンドは、曲の力強さとグルーヴが際立っている。
収録曲
01BAILING OUT
無駄を省いたタイトなドラムのリズムの間を埋めるように鳴るギターが、ストイックなブルース・ロックを生み出していく。女性かと思うほど線が細いバーリーの高音ヴォイスが、黒いグルーヴに一輪の花のような彩りを添えていて美しい。
02LOVE YOU
疾走感のあるロカビリー・スタイルは、まさにストレイ・キャッツの再来ともいうべき荒々しさ。リヴァイヴァルという形を取りながらも、原始的なロックンロールへと回帰することで、人間の根源的な衝動へと訴えかけている印象だ。
03PIN THAT BADGE
ルーズなビートとブルース直系のギターのフレーズが中心となり、土臭いサウンドを放つ一曲。骨太でありながらしなやかなグルーヴにハンドクラップをインサートするなど、肩の力が抜けたゆえの気楽さがハッピー感を盛り上げる。
04YEAH WE KNOW YOU
ジャジィなセッションが生み出す甘いメロディがゆらりゆらりと漂うセンチメンタルなナンバー。気まぐれに爪弾かれているかのようなアルペジオの旋律が、少年のようなイノセンスを醸し出し、胸に迫ってくる。
05GREEN EYED FOOL
ブルージィなギターが疾走する低速ロックンロール・ナンバー。50年代のアーリー・ロックをプライマル・スクリームがカヴァーしたかのような本能剥き出しのサウンドが、野生の獣のような獰猛さで襲いかかってくる。
06PRETTY PICTURES
メロウなAメロから一気に畳み掛けてくる怒濤のロカビリー・ナンバー。かと思いきやCメロでは突然3連リズムに変化するなど、メンバーの鉄壁のセッションを存分に味わうことができる。パーティを意識したかのような、大いに踊れるダンサブルなナンバーだ。
07CASH IN
重々しいグルーヴとバーリーの高音ヴォーカルがマーブルのように渦巻き、骨太なブルースを奏でる「男のロックンロール」とも言うべきナンバー。アシッドなリズム・パターンとバーリーのハイなヴォーカルにプライマル・スクリームの面影がチラつく。
08JUST WANNA PLAY
ローファイで甘いメロディをブルースというフォーマットで再構築したようなナンバー。ドラム、ベース、ギター、ヴォーカルが隙間を埋めるように絡み合っていくセッションには、バンドのスキルをまざまざと見せつけられた感じだ。
09WHY DON'T YOU DO IT
ねちっこいギターがこれでもかと炸裂する本格的なブルース・ナンバー。時には激情し、時にはすすり泣く感情豊かなギターの音色はまさに第2の歌声。バーリーのヴォーカルとの情熱的な掛け合いに愛を感じずにはいられない。
10PAY TO JOIN
プライマル・スクリーム直系のブリティッシュなメロディをカントリー、ブルースで表現した英米混合亜種な一曲。突き抜けたポップネスと土着的なセッションが生み出す独特のサウンドは、あるようでなかった新鮮さだ。
11IF I DON'T HAVE TO ANSWER
シンプルな曲構成とバック・ヴォーカルも含めたサビのリフレインが生み出す高揚感が心地良い一曲。決して多くはない音数の中で、最大限のロックンロールを生み出すセッションは、3ピースだからこその醍醐味を存分に発揮しているといえるだろう。