ミニ・レビュー
カントリーやフォーク、70'sロックなどの懐かしいムードを軽やかに身にまとい、デビューと同時に個性派シンガーとしてシーンに定着。このファースト・ミニ・アルバムでは、ノン・ジャンルの上質なロック/ポップスを独特のクールなスウィート・ヴォイスで歌ってます。★
ガイドコメント
資生堂「マキアージュ」のCMソング「My Brand New Eden」でデビューした、山田タマルの1stミニ・アルバム。ビジュアル面をCMクリエイターの森本千絵、サウンド面を多数のCM音楽を手がける山田勝也がプロデュースした、ポップでキャッチーな好盤だ。
収録曲
01My Brand New Eden
02IRONY
ノイジーなギターをフィーチャーしたロック・サウンド。そこに山田タマルのクリアなヴォーカルが溶け込み、ゴツゴツしたバンド演奏ながら親しみやすく聴かせている。心がウキウキしてくるようなメロディを、気だるく歌い上げているのが特徴的だ。
03各駅停車の恋
ピュアな響きを持った軽やかなピアノに導かれるようにして、流れるように歌い出す。気持ちを列車に喩え、“ある日停まらなくなった”“違うレールを走ってくのを見た”とすれ違いを表現しているのが切ない。ストリングスが涙を誘うナンバー。
04ハイヒールの丘
アコギとエレキによる風通しの良いギター・サウンドが、“新しい風”を運んでくるような爽快な曲。ハイヒールを履いてみた主人公を通して、フワフワとしたコーラスやソプラノ・サックスの音色とともに、新鮮な気持ちが込み上げてくる。
05手
キラキラしていながらもクールな質感が漂うサウンドに乗せて、太陽が沈んでから昇るまでを歌ったポップ・ナンバー。そっと自分に言い聞かせるような淡々としたヴォーカルから、静かに目覚めていく心象風景が浮かんでくる。
06さよならドミノ
当たり前の日々を繰り返していくうちに大切なものを忘れがちになってしまう日常を、“ドミノみたいな毎日”と綴った歌詞がユニーク。スカのリズムがゆったりと時を刻むなか、のどかな笛の音色がほのかに幻想的な雰囲気を醸し出している。
07秘密の静寂
ハイトーン・ヴォイスで繰り返される“秘密の静寂を走る”というフックが印象的な2ndシングル。かき鳴らされるイントロのギターや意表をつくような軽快なコーラスもじつにキャッチーで、彼女の魅力的な要素がふんだんに込められているポップ・ナンバー。