ミニ・レビュー
大阪出身の女性アーティストのデビュー・アルバム。デビュー曲(5)をはじめ、既発シングルのタイトル曲はすべて収録。作詞はすべて彼女自身によるもので、シンガー・ソングライターとしての彼女を大切に育てるべく作曲は共作が多いが、伸びやかな歌声が魅力。
ガイドコメント
2006年11月発表の1stアルバム。デビュー曲「I believe」やヒット曲「三日月」など、4枚のシングル曲を中心に収録。パワー・ポップから極上バラードまで、存在感のあるヴォーカルが最大限引き立てられている。
収録曲
01Start to 0 (Love)
憧れの場所を夢見ていた、自分にとっての原点を歌いながら、それを見失わないように進んでいこうと誓う、1stアルバム『First Message』の冒頭を飾るにふさわしい曲。土臭さが漂うファンキーなリズムにパワフルなヴォーカルが乗り、絢香の力強いメッセージが伝わってくる。
02Real voice
フジテレビ系“月9”ドラマ『サプリ』主題歌となった2ndシングル。元気があふれる8ビートのアッパーなサマー・チューンで、自信がない自分を夢に現れた天使が勇気づけてくれる、というストーリーで展開する応援歌。
03Sha la la
アメリカ南部のジャズやR&Bを感じさせる曲調に乗せて、古傷や後悔を涙とともに流してしまおうと歌う。低音から裏声まで歯切れ良く歌っていくヴォーカルが涙を洗い流してくれそうな、人間臭い親しみやすさがあるナンバー。
04ブルーディズ
別れた恋人との永遠の誓いを想うフォーク調のバラード。ギター1本のみをバックに歌っており、デビュー1年目とは思えぬ、堂々とした歌いっぷりにただただ感心。作曲は彼女の歌の師匠でもある西尾芳彦が担当。
05I believe
現役女子高生シンガー絢香の、記念すべきデビュー・シングル。信じることの大切さを歌うスロウ・チューンは、万人を感動させる出来栄え。TBS系『輪舞曲(ロンド)』の主題歌に起用され、ドラマを盛り上げた。
06Stay with me
昔一緒に聴いた曲がキッカケとなって相手の気持ちに触れ、もう一度その人の元へと走り出していく心の動きを描いている。抑揚の効いたヴォーカルが、再び走り出していく気持ちを跳ねあげる、ファンキーさが香るR&B調のナンバー。
07melody
初ツアーの記念盤として、5万枚限定で緊急リリースされることになった2ndシングル。音楽によって辛い気持ちから救われたという彼女のリアルな想いを綴った、アップ・テンポのアコースティック・ナンバー。
08君のパワーと大人のフリ
雲を突き抜けていくようなスカッとしたギター・サウンドに乗せて、明るく爽快な歌を聴かせるポップ・ナンバー。“アイタイ”という言葉を飲み込みながらも、“直球の愛”をぶつけてくる。元気な歌声と弾けた演奏によって、気持ちが晴れわたっていくようだ。
09永遠の物語
ギターの弾き語りによる小曲。日が昇る瞬間にはじまり、日が沈む瞬間で終わっていくのが印象的。リラックスしたムードが漂う、夢と現実の間を行ったり来たりする感覚が、時間が止まってしまったかのような“永遠の物語”を感じさせる。
10時を戻して
相手が離れていってしまう不安や淋しさを歌った曲。ホーンが絡む大人っぽい演奏に物憂げなヴォーカルが重なり、“時を戻して”というフレーズが胸を締めつける。切ないメロディ・ラインから、もどかしい想いが伝わってくるようだ。
111・2・3・4
叩きつけるようなリズムに乗せて、“女神”に心をかき乱されるさまを描いていく。硬質なサウンドからタフな雰囲気が漂う中で、骨太なヴォーカルが破裂しそうな想いを歌い上げる。止められない気持ちと無情に過ぎていく時を重ねた表現が特徴的だ。
12Story
いつも遠くで見てた人と一緒に歩く“夢にまで見たStory”が現実になった喜びを、シンプルなメロディと等身大の歌詞で綴った曲。歯切れ良いアコギのカッティングをフィーチャーした音数の少ないアレンジが、日常的な幸せを感じさせる。
13ライラライ
小刻みにリズムを刻んでいくギター・サウンドが、“ライラライ……”という親しみやすいコーラスと相まって、吹き抜ける風のように軽快に響きわたる。間奏では、即興演奏のようにドラムとギターが掛け合い、“小さな幸せ”に胸が高鳴る気持ちが伝わってくる。
14三日月
KDDIの総合音楽サービス「LISMO」CFやNHK報道番組『つながるテレビ@ヒューマン』テーマ・ソングとなったバラード。デビューで故郷を離れることになった絢香が、そのとき抱いた寂しさと決意を込めて作った曲。サビの伸びやかなヴォーカルが涙腺を刺激する。
15message
1stアルバム『First Message』の最後に収められた、絢香からのメッセージ。街の雑踏の中から聴こえてくるシンプルなメッセージには、短いながらも、歌に対する彼女の想いが込められている。“歌いたい”というストレート過ぎるほどの言葉を、迷いのない歌声で披露している。