ミニ・レビュー
ソウル、ファンク、AORといった(高度な演奏技術を必要とする)音楽を独自のセンスで再構築しつつ、シンプルでタイトなバンド・サウンドを響かせることに成功したサード・アルバム。洗練されたアレンジメントとポップなメロディの融合がなんとも気持ちいい、傑作。
ガイドコメント
the band apartの3rdフル・アルバム。ロック・サウンドを軸にした軽快なグルーヴや80年代を思わせるレトロ・サウンドなど、多彩なアプローチが楽しめる。
収録曲
0172
ジャズ、ロックなどあらゆるジャンルの音楽を融合させ、独特の世界観を創り上げたアルバム『alfred and cavity』の極上のイントロダクション。流れるようなメロディと時に聴き手を驚かすような音の魔術に、あっという間に引き込まれてしまう。
02Still awake
しびれるようなギター・サウンドが、聴き手の期待感をいやがうえにも盛り上げるロック・チューン。グルーヴ感にあふれたメロディと荒井岳史の爽やかなヴォーカルが作り出す、魔法のような音楽に思わず身体も揺れるはずだ。
03SOMETIMES
ロックを基調にボサ・ノヴァやフュージョンを配色した、ジャンルをクロスオーヴァーしたグルーヴィなナンバー。随所に遊び心あふれる音を採り入れつつ、決してバランスを失うことのないサウンドには、彼らの実力の高さを感じずにはいられない。
04the same old song
まるでプログレッシヴ・ロックのような音の洪水で始まるポップなナンバー。疾走感にあふれるメロディが、歌詞のとおり“流れる景色”をイメージさせている。曲が終わってもその余韻にいつまでも浸れそうな気分にさせる1曲だ。
05headlight is destroyed
うねるギター・サウンドに一発でノック・アウトされる、力強いロック・ナンバー。荒井岳史の抑えめのヴォーカルが、力強いメロディにアクセントを与えている。彼らが持つ絶妙のバランス感覚が冴える楽曲だ。
06Circles and Lines
穏やかにうねるギター・サウンドが90年代UKギター・ポップを思わせる、爽やかなロック・チューン。青春時代に誰もが抱くような自由で甘酸っぱい歌詞に、センチメンタルな気持ちが呼び起こされるようだ。
07led
少し重々しい雰囲気で始まるナンバー。多彩に変化するポップなメロディ・ラインとは裏腹の、現代人の孤独や忙しい動く日常への憂いをほのめかす歌詞に考えさせれらる。ギター・アレンジにこだわった仕上がりだ。
08Stanley
淡々とした中にも秘めた強さが感じられる、シンプルでクールなロック ・ナンバー。等身大の彼らの姿をさらけ出すような、飾り気のないメロディとヴォーカルに、彼らの自信とそれに裏打ちされた高い実力が感じられる。
09stereo
静かな鈴の音とやわらかいギターの音色が混ざり合う、クールなサウンドが特色。落ち着いた雰囲気で始まり、ポスト・ロック風にギターがうねる中盤への展開が見事な、ロック・ナンバーだ。斬新なサウンドに酔いしれること間違いなし。
10beautiful vanity
ジャズもプログレもまとめて飲み込んだかのような、雑食性が垣間見られるサウンドが魅力。うねるギターのサウンドと荒井岳史のヴォーカルが醸し出すグルーヴ感に身をゆだねていたい、ポスト・ロック・チューンだ。
11Can't remember
ギターとヴォーカルだけの落ち着いたイントロからヒート・アップしていくサビへの展開が印象的なロック・チューン。かき鳴らされるギターの音に飲み込まれそうなダイナミックな演奏が出色で、アルバム『alfred and cavity』の最後に録った楽曲。
12KATANA
“ミュージシャンズ・ミュージシャン”と形容される彼らのテクニックが存分に注ぎ込まれた、ジャズ・ファンク風味のロック・チューン。メンバー4人が思い思いに演奏したかのような、“脱力感”と“熱気”が絶妙なバランスを保っている。