ミニ・レビュー
シングルのカップリングや、未発表曲などによる裏ベスト。とはいうものの、強烈なエモーションと、メランコリックなナイーヴさの交錯する楽曲には裏表など関係なく、琴線を激しくかき鳴らすのみ。そして、ライヴ・テイク(12)〜(16)でアジカン・イズムはさらに加速する。
ガイドコメント
シングルのカップリング・トラック、アルバムに収録されなかった未発表曲、さらには選りすぐりのライヴ・トラックを収録した初の編集盤。裏ベストともいえるアルバムだ。
収録曲
01エントランス
02ロケットNo.4
ベースの“ブゥーン”という刺激的な音で幕を開けるパワー・ポップ。歪んだギター音の上でゴッチの太い声と男臭いコーラスが炸裂し、アジカンらしいシュールな音が生きている。最後に思い切り叩かれるドラの音が新鮮。
03絵画教室
疾走感と轟音がエネルギッシュに迫り来るギター・ロック。胸を締めつけるようなギター・リフを全面に出しつつ、持ち味のエモーショナルなメロディは健在。後藤正文の吼えるような歌声が、熱くセクシーに響いてくる。
04サイレン
世界の終わりに向かってゆっくりと堕ちていく一組の男女。1曲目が男性の視点、2曲目が女性の視点から描かれるという独創的な発想でつくられたシングルの、こちらは「女性視点ヴァージョン」。別名「裏サイレン」。
05夕暮れの紅
誰しもが不安にかられながら、毎日を送っている。未来なき世界にあって、それでもほんの少しの希望を手がかりにいまを生きている。ささやかに人生を肯定する、孤高のアンセム・ソング。泣きのギターも聴きどころ。
06Hold me tight
インディ時代の楽曲を音源化した、疾走感たっぷりの英詞ロック・チューン。ライヴの定番曲にふさわしい、熱く激しいメロディと高揚感をはらんで進行するギターに興奮を覚える。後半の英詞にかぶせる日本語のセンスが彼ららしい。
07ロードムービー
北は北海道、南は九州まで約3ヵ月間にわたって敢行されたライヴ・ツアー「Tour 2005 Re:Re」。そのツアー中、即興で作った曲を披露するという「ご当地ソングコーナー」から発展して完成した一曲。
08飛べない魚
「羽ばたく」という憧れと、「羽ばたけない」という現実の蹉跌。希望と絶望が揺らぎながら緩やかに錯綜する、これぞロックの王道ナンバー。これを聴いてハートがうずかない奴はオトコじゃないぞ!!
09堂々巡りの夜
切れ味の良いイントロが印象的なロック・ポップ・チューン。遊び心が生きる音の進行にうねるベースが差し込まれ、ギターとドラムが鋭い掛け合いを魅せる。“無駄ならやめれば良い”というストレートな詞も、グッと心に迫ってくる。
10嘘とワンダーランド
現代に生きる詩人が綴った、ロックのビートに乗せた“若者たちの青春讃歌”……というのは誇張しすぎかも知れないが、それくらい人生に迷った若者たちが心の支えにしたくなる歌である。まさに魂の寄り添い歌だ。
11永遠に
クリア・トーンのギター・サウンドから一転、歪んだ轟音が一気に異世界へと誘っていく。とても大きなグルーヴで、聴き手の心をどんどんマイ・ワールドへと引きずり込んでいく彼ら。歪んだ気持ちさえ高揚させてくれる歌。
12自閉探索 (2004 SHIBUYA-AX)
タイトルからして何だかものすごいが、実際に聴いてもものすごい。「叩き割った」「壊してよ」といった強烈な言葉のその向こうに、痛切な叫びが聴こえてくる。後藤の絶叫ヴォーカルに打ちひしがれるべし。
13フラッシュバック (2004 国営ひたち海浜公園)
14アンダースタンド (2004 国営ひたち海浜公園)
朝焼けのなか、不安にかられて涙を流す……。一度聴いたら確実にひっかかりを残すであろう情緒的なメロディと、ソリッドなカッティング・ギターが、リスナーの頭のなかをゆらゆらと反芻する、アルバム『君繋ファイブエム』きってのマスターピース。
15N.G.S (2005 SHIBUYA-AX)
16Re:Re: (2006 横浜アリーナ)
録音
(12)2004.2 (13)(14)2004.8 (15)2005.5 (16)2006.7