ミニ・レビュー
80〜90年代初期の日本の女性ロック系シンガーのヒット曲を11曲歌い上げたカヴァー集。もともとメロディックでポップな曲が多いだけに、スウェーデン録音による北欧メタル風なアレンジのハマリ具合は最高で、この音ならオリジナルのリメイクも売れそう。
ガイドコメント
エイベックス移籍第1弾のカヴァー企画アルバム。80〜90年代の女性ロック・ナンバーから“閣下”自身が厳選に厳選を重ねた楽曲を収録。評判の相撲解説に続き、活躍の場を広げている。
収録曲
01六本木心中
84年のアン・ルイスの大ヒット曲をカヴァー。哀愁を帯びたストリングスとアコギのイントロに始まり、エッジの効いたメタル・ギターとハイトーン・ヴォーカルがベスト・マッチ。アルバム『GIRLS' ROCK』のオープニングを飾るにふさわしいナンバー。
02Return to Myself
ヘヴィ・メタル・クイーンこと浜田麻里のオリジナルよりはさすがにキーを下げているが、ライト&ソフトなヴォーカルでLAメタル風の爽快感を演出。ジャキジャキとしたハードなギターも、原曲が発表された89年当時に通じる懐かしさがある。
03My Revolution
18歳の渡辺美里が歌った小室哲哉作曲のナンバーを、閣下流ハード・ロック・ポップスへ華麗に衣替え。8分連打のキーボードでオリジナルの空気を継承しつつ、サビのコードを一部マイナー・キーにしてサタニックなイメージに。オリジナルは86年発表。
04RASPBERRY DREAM
ミッド・ダンス・チューンだった原曲をハード・ロック・バラードに解釈し、ミュージカルのようなドラマティックな展開に。センチメンタルなピアノとシンセ・ストリングスが閣下の歌唱力を引き立てる、86年発表のレベッカのヒット曲のカヴァー。
05SEVEN YEARS AFTER
プリンセス・プリンセスのオリジナルが持つエネルギーが、閣下のハイ・アンド・クリアーなヴォーカルで増幅。ガールズ・ポップの胸キュン・メロディにメタリックなギターを乗せて、プリプリ・ミーツ・ジャーニー的なポップ・ロックに仕上げている。
06翼の折れた天使
切ないティーンエイジャーの恋物語が力強い応援ソングに聴こえるのは、中村あゆみのハスキー・ヴォイスとは対極にある閣下のハイトーン・ヴォーカルの魔力か。原曲にはない“broken wing angels”という英詞コーラスが印象的だ。
07永遠の一秒
閣下の伸びやかなヴォーカルとミッド・バラードは最良の組み合わせ。ア・カペラ、シンセ・オーケストラの豪華絢爛なイントロ、引きの効いたギターのバッキングと、目まぐるしい展開で盛り上げていく。田村直美のオリジナルは94年発表。
08TATTOO
88年にリリースされた中森明菜のセクシー・チューンが、クールでダンサブルなハード・ロック・ナンバーに。アルバム『GIRLS' ROCK』中、最も意外かつ大成功の選曲と言えるかもしれない。ジャズ風のサウンド・アプローチと巧みなヴォイス・アレンジもスリリング。
09DISTANCIA〜この胸の約束〜
一途な女心を歌ったオリエンタルなメロディの楽曲が、イントロからトップギアで駆け抜ける。スピード感あふれるリズム・ギターとシンセ・アルペジオで、これぞ北欧メタル的な1曲に。杏子の歌うオリジナルは92年発表で、作曲は玉置浩二、作詞は杏子本人。
10City Hunter〜愛よ消えないで〜
控えめなAメロからキャッチーなサビへの展開で、閣下のヴォーカルの表現力を見せつける一曲。ファルセットが炸裂するリフレインのブレイクが肝だ。小比類巻かほるのオリジナルは、TVアニメ『シティーハンター』の主題歌として87年にリリース。
11限界LOVERS
SHOW-YAの原曲が持つスピード感をそのままに、スウェディッシュ・メタルのぶ厚いバッキングによって男気あふれるメタル・チューンが誕生。閣下のハイトーン・シャウトが思う存分堪能できる、アルバム『GIRLS' ROCK』の締めとしても、どハマりのナンバー。