ミニ・レビュー
醒めた猫撫で声にして、聴き手の何かにまとわりつくような歌声がこの人の最大の魅力だろう。それは妙な現代感覚も持つものだし。デビューしてすぐにスターダムに乗った21歳R&B歌手の第2作。ネプチューンズ他の現代サウンドのもと、その個性的な声は花開く。
ガイドコメント
デビュー作『グッディーズ』から約2年ぶりとなる、R&Bポップ・アイコン=シアラの2ndアルバム。前作を上回る超強力ダンス・チューンからバラードまで、幅広いタイプの楽曲を収録した充実の1枚だ。
収録曲
01THAT'S RIGHT
シアラの名を世界中に轟かせたデビュー曲「グッディーズ」を手掛けたリル・ジョンをフィーチャーした、2ndアルバム『シアラ:エヴォリューション』のオープニング・ナンバー。激しいダンス・チューンにいきなり圧倒されるに違いない。
02LIKE A BOY
オーケストラを使った重厚感あふれるサウンドとシアラの流れるようなヴォーカルが、見事に調和したラップ/ヒップホップ・チューン。アクの強さを感じさせないサウンドが、1stアルバムからの成長を感じさせる。
03THE EVOLUTION OF MUSIC
シアラが自身の音楽観やアルバム『シアラ:エヴォリューション』への想いをのぞかせる、たった10秒のインタールード。若さにまかせた勢いだけでなく、ブレることのない強い軸を持った音楽への想いと揺るぎない自信が感じられる。
04PROMISE
シアラ自身がその影響を受けたと公言している、ジャネット・ジャクソンを思わせるセクシーなウィスパー・ヴォイスを聴かせてくれるR&Bナンバー。身体ごと溶けてしまいそうな甘い歌声に、聴き手は酔いしれるはずだ。
05I PROCEED
お得意のウィスパー・ヴォイスをたっぷりと聴かせてくれる、極上のラップ/ヒップホップ・チューン。練りに練られたメロディ・ラインに乗せた力強いヴォーカルは、“クランク&B”の女王と呼ぶにふさわしい風格すら感じさせる。
06CAN'T LEAVE 'EM ALONE
50セントをフィーチャーした“クランク&B”チューン。いかにもサウス・ヒップホップというべき音作りや芯の強いヴォーカルは1stアルバムと同路線だが、ルックスやダンスに注目が集まったそれよりも遥かに大きなスケールを感じさせる。
07C.R.U.S.H.
リル・ジョンの手による、サウス・ビートに明るくキャッチーなメロディを組み合わせた、いかにもシアラらしいラップ/ヒップホップ・チューン。キュートな魅力と若さが詰まった、彼女の等身大の姿を見せてくれる。
08MY LOVE
大人っぽい歌声を聴かせてくれる、しっとりとしたバラード。キュートなだけでなく高い実力を感じさせるその歌声からは、今は亡きアリーヤの影すら感じさせる。メアリー・J.ブライジを思わせるトラックをも歌いこなし、シアラの高い実力が証明される一曲だ。
09THE EVOLUTION OF DANCE
バラードからダンス・チューンへと変化するアルバム『エヴォリューション』の流れをスムースに繋ぐインタールード。「自分がダンサーとして進化しているのを感じる」というセリフには、シアラ自身のここまでの成功に裏打ちされた揺るぎない自信がにじんでいる。
10MAKE IT LAST FOREVER
ブランディーらを手掛けてきた敏腕プロデューサー、ロドニー“ダークチャイルド”ジャーキンスによる爽快なR&Bチューン。ダンサブルでキャッチーなメロディ・ラインが耳について離れない、フロア必須の一曲だ。
11BANG IT UP
ファーギー「ロンドン・ブリッジ」、プッシーキャット・ドールズ「ボタン」を手掛けるプロデューサー、ポロウ・ダドンの手による“クランク&B”ナンバー。アクの強さを残しつつキャッチーな曲調に仕上げたダドンの手腕が光っている。
12GET UP
サントラ『ステップ・アップ』に提供され、R&BチャートでNo.1を獲得したラップ/ヒップホップ・チューン。ラッパーのカミリオネアをフィーチャーした明るくキャッチーなメロディに、思わず身体も揺れる。
13THE EVOLUTION OF FASHION
アルバム『シアラ:エヴォリューション』のテーマをダンスからファッションへと切り替えるために挿入されるインタールード。「他の人とは違うことをしてみなさい」という彼女の言葉は、若い女子の心に強く響くだろう。
14GET IN, FIT IN
もはや説明不要、ブラックアイド・ピーズのウィル・アイ・アムが手掛けた思い切りキャッチーなR&B/ポップ・チューン。途中で日本語の“イチ、ニイ、サン”という掛け声が挿入されるなど、遊び心が詰まった曲に思わず笑みがこぼれる。
15THE EVOLUTION OF C
アルバム『エヴォリューション』のラストへの流れを作るインタールード。自身の進化をテーマにしたアルバムのテーマをそのままセリフにしたかのような“経験のすべてが今の私を作ったのだから”という言葉から、揺るぎない自信が感じられる。
16SO HARD
切ない恋心を歌った、しっとりとしたバラード・ナンバー。ブライアン・マイケル・コックスの手による極上のメロディ・ラインとそれに負けない存在感を放つシアラのヴォーカルが融合。アルバム『エヴォリューション』の中でも特別に美しい曲に仕上がっている。
17I'M JUST ME
スーパープロデューサー、ネプチューンズの手による、美しいピアノの旋律が特徴的なR&Bチューン。自分は自分でしかないという曲に込められたテーマが、日々の競争に疲れた私たちの心をゆっくりと癒してくれるはずだ。
18I FOUND MYSELF
ジャネット・ジャクソンやTLCらの楽曲を手掛けてきたプロデューサー、ダラス・オースティンの手による美しいバラード・チューン。ゆったりとした、広がりのある歌声からは、1stアルバム『グッディーズ』からの確実な進化の跡が感じられる。
19LOVE YOU BETTER
アルバム『エヴォリューション』日本国内盤のボーナス・トラックとして収録された、アッパーな“クランク&B”チューン。スムースで洗練されたメロディ・ラインは、シングル・カット曲に遜色ない高いクオリティで、リスナーの心を掴むこと間違いなしだ。