ミニ・レビュー
2年半ぶりとなったシングル(7)を含むakkoのソロ・プロジェクトとしてのマイラバのアルバムと、ファン投票により選曲されたベスト・アルバムの2枚組。コケティッシュでキュートな声色はまるで魔法(ひみつのアッコちゃんジャケット!)のようにカラフル!
ガイドコメント
2006年12月発表、My Little Loverの2枚組アルバム。DISC1は、AKKOのソロ・プロジェクトとして活動を再開させたエイベックス移籍後初のオリジナル盤。DISC2は、ファン・リクエストによるベスト盤だ。新旧のマイラバが堪能できる内容となっている。
収録曲
[Disc 1]
01チャンス
内に秘めた欲望がふとした瞬間にあふれ出し解放された時、新しい世界が広がる……。誰にでもそんなチャンスがあると歌う。爽やかながらも力強いサウンドは、朝に聴くと“今日もいいことありそう”とポジティヴな気持ちにさせてくれそうだ。
02recall
マイラバお得意の、ロックとテクノをミックスさせた独特のポップ・サウンドを展開。世知辛い世の中だけど、無限大に広がる夢を強く持って前向きに頑張っていれば、想いは必ず叶うはず……。そんなメッセージが込められたナンバーだ。
03traveling with nature
「けむしもじもじ ばったがはねる」というユニークなフレーズから始まる本作は、人間はもちろん、すべての生き物には生きる役割や意味があると綴ったもの。ゲーム音楽風のテクノ系サウンドが印象的で、akkoのフローティング・ヴォイスとマッチしている。
04予感
哀愁漂うミディアム・ナンバー。恋人の気持ちが離れていってから、すべての歯車が狂ってしまった。だが、その流れをもとに戻せるのは自分自身しかいない。そんなちょっぴり痛い現実的な内容がテーマ。泣きのギターとピアノの音が、詞世界をより切なくさせている。
05ショータイム
好きな人をただ目で追うだけで精一杯の恋を、妄想たっぷりに綴ったラブ・ソング。ショー=恋愛ではピエロにしかなれない自分をユーモラスに描いた切なさも感じられる。ミディアム・ロックに乗る、おもちゃ箱のおしゃべり人形のようなコミカルでファニーなヴォーカルが面白い。
06月とプラモデル
女=複雑、男=単純といった平行線上の性質だからこそ成り立つ恋愛模様を、マイラバ流に綴ったキュートなナンバー。乾いたドラムの音がカッコよく、サウンド全体を引き立てている。「どうか大目に見てやってください」のラスト・フレーズがコミカルだ。
07り・ぼん
移籍第1弾、通算17作目のシングルは、akkoの声の若さを存分に活かしたギター・ロック・チューン。デビュー11年にしてさらに若返った印象で、「り・ぼん」と「Re-born」が掛かっているのも納得の、ナチュラルなヴォーカルが映えている。
08迷い猫
ジャジィな雰囲気の一曲。塀の上の定位置でいつも日向ぼっこをしている猫の目線を通して、生き辛くなった都会の環境汚染の現実を切々と綴ったナンバー。アンニュイさが漂うakkoのヴォーカルも、切なさを誘う。
09バケット
人に何かを伝えるためには、大きなバケツに一滴一滴を大切に集め満たさねばならない。だが、言い続けていれば満たされるはず……。単純そうだが難しいことを素直に綴った詞を、乾いたロック・サウンドで展開しているナンバー。
10インスピレーション (album ver.)
仕事や恋愛などで逃げたい瞬間は多くあるが、結局自分自身が運命を切り開かねばならない。それならば、遊び心を持って自分らしくいこう! というメッセージが込められたポジティヴ・ソングだ。心地よい温かさをもたらすホーン・セクションが印象的だ。
11いとしい毎日
アコースティック・ギターの音色が耳に響く、美しいミディアム・バラード。笑ったり泣いたり花を見て感動したり……。たわいもない毎日や、繰り返される日々こそが実は一番幸せなひととき。そんな思いを愛情いっぱいに綴ったナンバー。
[Disc 2]
01YES〜free flower〜
ひとつの恋の終わりをとおして、「混沌とした時代で大事なことは、自分自身の想いである」と綴る。「いつの日もYES」と言い切れる強さ(強がり)も時には必要だと思わせてくれる、世知辛い今を生きる人に対する応援歌だ。
02ANIMAL LIFE
厚みのあるブリティッシュ・ロックを展開するバンド色の強いサウンドが特色。うねりの効いたカッコ良いギターや、意地悪さを小悪魔的に表現してしまう女性ならではの挑発的な詞が印象的だ。ミスマッチな雰囲気のakkoのふんわりヴォイスが、不思議とハマっている。
03Melody
アコースティック・ギターとピアノ、ストリングスが美しいサウンドを奏でるバラード・ナンバー。真っ直ぐに生きるのが難しい世の中だが、たどり着く先にあるのはありのままの自分であり君なんだという、優しさがあふれるラブ・ソングだ。
04ALICE
渋いバッキングを弾かせたら天下一品の、藤井謙二によるギターがノイジーでカッコイイ。どことなくマイケル・ジャクソンを連想させるフレーズではあるが、メロディがケタ違いに良いナンバー。
05DESTINY
AKKOのヴォーカルがグッと大人っぽくなり、バンドとしての幅を広げた悲痛なラヴ・ソング。ホンワカしたAメロとロッキンかつウェットなサビ。2つの異なる要素を見事に結んだ小林武史のアレンジ・センスに再敬礼。
06白いカイト
乾いたアメリカン・ロック・テイストのギターが、心地よく耳と心に届く。恋に限らずチャンスはたくさんあるのに、気づけば逃してしまっている自分。一歩ずつ自分らしくゆっくり進んでいこうという思いを綴ったポジティヴ・ソングだ。
07深呼吸の必要
小林武史が音楽を手掛けた映画『深呼吸の必要』の主題歌。映画の内容とリンクした清々しいバラードで、オーガニックなサウンドと、AKKOの透明感あふれる歌声がピッタリ。ジワジワと曲の良さがこみ上げてくる。
08evergreen
地球規模の大きな愛を“evergreen”(=常緑樹)を通して綴ったラブ・ソング。マイラバらしい爽やかなポップスの上で、自分の心境を四季折々の自然の異なる表情で綴った、心に優しい風を運んでくれる一曲。
09Man&Woman
デビュー曲にして、いきなりの大ヒットを記録したグループの(当時は2人組だったが)ファースト・ステップ。アコースティック・ギターのカッティングで、サビのキメ“Man&Woman”を弾くアイディアが秀逸。
1012月の天使達
賛美歌のような雰囲気が特色のミディアム・バラード。「幸せに永遠 無いと感じていた」というネガティヴなフレーズの裏には、永遠の愛を信じる心や情熱が隠されていて、切なさと温かさが交差した独特の世界観を綴っている。
11Hello、Again〜昔からある場所〜
95年にリリースされた1stアルバム『エヴァーグリーン』に収録された初期の傑作曲。藤井謙二が弾くイントロの名フレーズが流れ出すと同時に、まさにエヴァーグリーンな輝きに満たされること間違いなし。