ガイドコメント
オフコースのすべての時代を網羅した、メンバー公認のオールタイム・ベスト・アルバム。ファンの人気投票上位曲を反映した選曲により、彼らの歴史をじっくり紐解くことができる。
収録曲
[Disc 1]
01愛を止めないで
ブレイクのきっかけとなった1979年発表の大ヒット・シングル。静寂に満ちたAメロから、サビへ向かって徐々に熱気を帯びていく流れはオフコースの黄金パターン。ドラマティックなギター・ソロも素晴らしい。
02Yes-No
80年発表のシングルで、オリコン8位のヒットを記録。前のめりに疾走するメロディは、小田和正のソロ作「ラブ・ストーリーは突然に」を彷彿とさせる。30歳超の小田が綴ったピュアすぎる歌詞にも注目。
03言葉にできない
オフコース解散騒動の81年にリリースされたアルバム『over』に収録され、小田和正のオフコースへの惜別の想いと、言葉にできないほどの気持ちが純粋なラヴ・ソングへと昇華した名バラード。
04秋の気配
アルバム『JUNKTION』の先行シングル。横浜の港の見える丘公園を舞台にしたといわれ、別れの言葉を探す、戸惑いの風景描写がドラマティックなラヴ・ソング。多々あるオフコースの名曲の中でも根強い人気がある。
05さよなら
オフコースのロック・バンド宣言ともいえるアルバム『Three and Two』リリース後の最初のシングル。ダイナミックなロック・サウンドと“さよなら”というサビのリフレインが印象的な、彼ら最大のヒット曲。
06めぐる季節
恋愛に情熱を注いでいた若かりし日の自分を振り返ったポップ・チューン。のちに第2期オフコースのメンバーとなる松尾一彦がハーモニカで参加。効果的に配されたフルートは、小田和正が演奏している。
07水曜日の午後
1973年の記念すべきデビュー・アルバム『僕の贈りもの』に収録。誇りと自信を失って傷ついても希望を持って前へ歩んでいこうとする姿勢を、アコースティックな響きに乗せてやさしく語りかけるナンバーだ。
08僕の贈りもの
1stアルバムの一曲目を飾る、美しいコーラス・ワークのイントロが印象的な、オフコースの原点とも言える初期の名曲。ですます調の歌詞がフォーク・ソング全盛だった時代を感じさせる。
09別れの情景 (2)〜もう歌は作れない
1974年にシングルとしてリリースされた作品。70年代初期のウエストコースト風なサウンドと美しいメロディに乗せて、「今だからあなたのやさしさがわかる」と、かつての愛にあふれた日々を追想している。
10愛の唄
シンガー・ソングライター然としたAメロのアレンジと、複雑なコーラス・ワークを展開するサビとのギャップが印象的なミディアム・ナンバー。間奏で導入されるチェンバロの響きが、楽曲に彩りを添えている。
11眠れぬ夜
初期オフコースを代表する名曲のひとつ。効果的に配されたシンセサイザーなど、その後のオフコース・サウンドの方向性を示した重要な作品といえる。西城秀樹によるカヴァー・ヴァージョンも注目を集めた。
12夏の終り
オフコースらしい重層的なコーラス・ワークが楽しめるバラード。“あきらめないで うたうことだけは 誰にでも朝は訪れるから”という歌詞の一節は、大ブレイク前夜の彼らの心情を表わしているかのようだ。
13風に吹かれて
小田・鈴木デュオに新メンバーが加入し、しなやかなバンドへの発展をみせた1979年のシングル。AOR風のタイトなサウンドで、恋することへのとまどいやもどかしさを表現したナンバーだ。
14思いのままに
新生オフコースによる1st『Three and Two』のオープニング・ナンバー。新章の幕開けを宣言するような楽曲で、“誰にも ぼくのゆく道を止められない”という歌詞からも、その勢いが伝わってくる。
15私の願い
80年のアルバム『We are』に収録。小田和正が「君が好きだからいつもそばにいて」とストレートに愛情を綴った、ピアノがメインのしっとりとしたバラード。メンバーの息の合ったコーラスもさわやかに響きわたっている。
16心はなれて
解散説が飛び交った81年のアルバム『over』のエンディング曲。二人で築き上げてきた愛の日々だけどもこの先は一人だねといった感傷的な詞が、メランコリックに歌われている。澄んだピアノと弦の響きも歌に彩りを添えている。
[Disc 2]
01僕等の時代
フラワー・ジェネレーション的なタイトルが象徴するように、70年代へのレクイエムともとれる歌詞が綴られたミディアム・バラード。オフコース作品のなかでは珍しく、メッセージ性の強いナンバー。
02YES-YES-YES
5人のオフコースでレコーディングされた最後のシングル曲。シンプルなイントロから徐々に盛り上っていくアレンジも秀逸で、エンディングの小田和正のシャウトも印象的なオフコース後期の人気曲。
03時に愛は
オフコースの最高傑作との呼び声も高い8thアルバム『We are』のオープニング・ナンバー。静かなAメロから複雑なコーラスが絡むサビへと展開していく、オフコースの王道スタイルが楽しめる。
04愛の中へ
静かなAメロで始まり、コーラスが加わったサビで一気に躍動する、オフコース王道スタイルを踏襲したミディアム・ナンバー。好きな女性への抑えきれぬ想いを表現したような、情熱的なギター・ソロにも注目だ。
05哀しいくらい
81年のアルバム『over』収録曲。スティーリー・ダンやTOTOを思わせる、都会的でシャープなAORサウンドを聴かせている。愛しい人を哀しいくらい好きだと思っていても、すれ違う心の片隅に別れの予感が漂っている切ないラブ・ソング。
06せつなくて
ミディアム・テンポに乗せて、愛しい人へ募る想いを切なく歌ったラブ・ソング。メイン・ヴォーカルと作曲はギターの松尾一彦、作詞は松尾とドラムの大間仁世が担当しており、小田や鈴木の作風とは異なったみずみずしい魅力を放つポップ・チューンだ。
07一億の夜を越えて
作詞はオフコースと交流があったシンガー・ソングライター安部光俊、作曲は鈴木康博。「突っ走るだけ一億の夜を越えて信じるがまま心叫ぶまま」と我が道を行く決意を表明する硬派な詞が、ハードなサウンドで彩られたロック・ナンバーだ。
08いくつもの星の下で
鈴木康博が詞・曲を手掛けたバラードは、挫折を繰り返してきた男が愛しい人の前で切ない胸の思いを告白する愛の歌。ピアノとアコースティック・ギターのイントロから徐々にバンド演奏やストリングスも加わり、鈴木の歌声を盛り立てている。
09Christmas Day
幼ない子どもも恋人たちも素敵な夜を望みなさいと歌うクリスマス・ナンバー。小田和正と鈴木康博の共作でヴォーカルも二人によるもの。鐘や鈴の音が優しく響きわたり、雪が舞うサイレント・ナイトを静かに包みこんでくれる。
10I LOVE YOU
演奏も歌詞も非常にシンプルなバラードだが、その反面、コーラス・ワークの凝りように驚かされる1曲。幾重にも重ねられた歌声が、賛美歌のように荘厳に響く。子供たちのコーラスが加わるエンディングも感動的だ。
11君が、嘘を、ついた
鈴木康博が脱退し、4人メンバーとなった84年に発表。ハードなギター・リフや低音を強調したシンセなどを用いた、重厚なサウンド・メイクが施されている。愛する人のことが信じられなくなってしまい気弱になっている状況を歌ったナンバー。
12夏の日
コンピュータやシンセなどを多用したテクノ・ポップ風のカラフルなサウンドが響く曲。愛が始まった夏の日から時が過ぎ、揺れる二人の心を確かめようと「とどけ心 明日まで せめて秋が終わるまで」とメロディアスに歌われている。
13緑の日々
哀しい日々を乗り越えた末、大切な人と前向きに生きていこうとする決意を歌った84年のシングル曲。まばゆいばかりのコーラス・ワークや間奏のプログレ風のシンセ・ソロも聴きもの。作者の小田和正が、のちのソロ活動においてセルフ・カヴァーしている。
14君の倖せを祈れない
詞を小田和正、曲とメイン・ヴォーカルをギターの松尾一彦が担当した84年のシングル。かつて愛しあった人が別の誰かと新しい愛を育むのを祝福できない“嫉妬心と弱い心”を描写したナンバーで、重々しいリズムに激しいギターが響きわたる。
15君住む街へ
88年のラスト・アルバム『Still a long way to go』に収録。清涼なサウンドをバックに「あの日の勇気を忘れないで君住む街まで飛んでゆくよ」と、挫折感を抱えた人を優しく励ましている。この歌に救われた人も多いのでは?
16生まれ来る子供たちのために
日本の未来を憂いたバラード・ナンバー。ラブ・ソングが大半を占めるオフコース・ナンバーのなかでは異彩を放つものだが、それだけに本作の投げかけたメッセージは重い。小田和正のポエトリー・リーディングも聴ける
[Disc 3]〈DVD〉TRACE THE HISTORY OF Off Course 1969-1989