ミニ・レビュー
大ヒットした前作から1年半ぶりにリリースされたELLEGARDENの5枚目のアルバム。メロディック・パンクを母体にしながら、エモ的な部分と爽快感が巧く融合した音楽性はさらなる磨きがかかっており、ヴォーカル・メロディも秀逸だ。
ガイドコメント
ヒット・シングル「Space Sonic」「Salamander」を含む、ELLEGARDENの5thアルバム。彼ららしいエモーショナルな美メロはそのままに、サウンドはよりヘヴィに、詞はよりパーソナルなものへと深化。ライヴで盛り上がること必至の内容だ。
収録曲
01Opening
「ELEVEN FIRE CRACKERS(11個の火薬)」というタイトルどおり、地響きのようなギターの轟音が聴く者を震撼させるオープニング・ナンバー。アルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』では、シームレスに2曲目の「Fire Cracker」へと繋がる構成だ。
02Fire Cracker
ELLEGARDENと言えば、エモーショナルな美メロとヘビィなサウンド。アルバム・タイトルが冠せられたこのナンバーは、そんなエルレ・エッセンスが余すことなく詰め込まれたメロディック・チューンだ。
03Space Sonic
2005年12月にリリースされた5thシングル。しばしば洋楽アーティストと間違われるサウンド、そしてネイティヴな英語詞はさらに進化。ハードでかっこいいドラムスに、どこか切ないギターのメロディが胸を打つ。
04Acropolis
激しくも優しさをたたえたギター・リフは、ELLEGARDENのオハコ的展開。サビのカッコよさも折り紙つきの一曲だ。ちなみに「Acropolis」とは、古代ギリシアのポリス(=都市国家)にあった小高い場所のこと。
05Winter
イントロの「ダ・ダ・ダ・ダ……」という躍動的なドラム・セクションが印象的なミドル・テンポ・チューン。幻想的なほどに美しいメロディ、そしてそれを支えるエモーショナルなサウンドが渾然一体となって、リスナーの胸を打つ。
06Gunpowder Valentine
アルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』屈指の“激”ハード・ロック・ナンバー。体中を揺さぶられるかのようなダイナミズム、突き抜けた疾走感は、日本人離れしている。これぞ正真正銘のメロコア・サウンド、黙してただ圧倒されるべし!!
07アッシュ
己の情動をそのままぶつけたかのごとく、激しくかき鳴らされるギター。ヘヴィなサウンドがフルスロットルで駆け抜ける。すべてのロックンロール・ファンを熱狂させるであろう、普遍的な魅力を備えたナンバー。
08Salamander
イントロのギターからしびれる。サウンドも歌詞もヘヴィだが、細美の高めのヴォーカルと絶妙にマッチし、耳馴染みの良いサビは思わず口ずさんでしまう。聴けば聴くほど深みが増す、シンプルで重厚なロック・チューン。
09高架線
浮き沈みのある人生を高架線になぞらえた、日本語詞で書かれたナンバー。エモーショナルな情動がサウンドの隙間からこぼれるメッセージ・ソングに仕上がっている。エルレ・ファンからの人気が特に高い1曲だ。
10Alternative Plans
11Marie
サザンがエリーなら、エルレはマリー! アルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』の最後を飾るのは、ヘヴィネスとクールネス、狂騒と静謐、相反するファクターが矛盾なく同居している、ドラマティックなナンバー。彼らが奏でる美メロに酔いしれよう。