ミニ・レビュー
クラブ・シーンの最前線で活躍するユニットの2枚組。ディスク1はMonday満ちるをフィーチャーしたキラー・トラックを含む新録6曲、ディスク2はパーティの空気を生々しく再現した豪華ミックスCD。低価格で高品質のハウス・チューンが堪能できるのが嬉しい。
ガイドコメント
野崎良太が率いる特定のメンバーを持たない自由なミュージック・プロジェクト、Jazztronikのレーベル移籍第1弾作品。新曲に加え、メジャー・デビュー曲「アオイアサガオ」の未発表ヴァージョンなども楽しめる2枚組だ。
収録曲
[Disc 1]〈Love Tribe〉
01Love Tribe (Main Mix) (feat.Miss Vehna from Soul Trip!!)
Jazztronikのイベント名をタイトルに冠した王道ハウス・チューン。ソウルフルな女性ヴォーカルによる日本語詞や大編成のストリングス・アレンジが印象的。アッパー感とロマンティックをあわせ持った“これぞジャズトロ”な一曲。
02The King of Dance
パーカッションの音色が軽快に跳ね回るハウス・インスト。涼しげな女性ヴォーカルのスキャットとフリーキーなサックスが、全編にセクシーな表情を添えている。9分弱の長尺ながら、耳当たりの優しさから最後まで爽快感が失われることはない。
03Life Syncopetion
ビートを排したトラック上に電子音の粒がカラフルに瞬くインスト・ナンバー。切なく響くピアノのリフが、聴く者の感情を静かに揺さぶる。浮遊感と清涼感に一抹の切なさが加えられた、チルアウトに最適な楽曲といえる。
04Festalica!! (Clap Ya Hands!!)
クインシー・ジョーンズを彷彿とさせる、陽気なボッサ・トラック。リムショットを多用した軽快なリズムや情熱的なメロディ・ラインのコーラス・ワーク、奔放なフルートの音色など、ラテン・フレイヴァーがふんだんに盛り込まれた楽曲に仕上がっている。
05Tiger Eyes (English Ver.) (feat.Monday Michiru)
フロアの大定番チューンのセルフ・カヴァー・ヴァージョン。ドラマティックなピアノのフレーズと新たに構築され直したビートが、原曲にはないクールな表情を生み出している。全編英詞のヴォーカルをとるのはクラブ・ジャズの第一人者、マンデイ満ちる。
06Dust to Dust (feat.Robert Gallagher&cro-magnon)
ロック・テイストが前面に押し出された、Jazztronikの新機軸。ヴォーカルにロバート・ギャラガーをフィーチャーし、ドラム、キーボード、シンセ、ベースにディスコ・バンドのクロマニヨンが参戦。生音が多用された肉体的なダンス・トラックとなっている。
[Disc 2]〈Jazztronica!! Annex〉
01One (Jocelyn Brown)
ジョセリン・ブラウンのクラブ・ヒット・ナンバー。ファンキーにうねるベースとソウルフルなヴォーカルをオーソドックスなハウス・ビートでまとめ上げる技からは、貫禄さえ感じられる。緩急のある展開も含め、「踊るための音楽」として見事な強度を誇っている。
02Love Tribe (Jazz Drive Mix) (Jazztronik)
シンプルなハウス・ビートに合わせて表情を変える曲調が印象的。気だるいコーラス・ワーク、疾走するギター、陽気で軽快なホーンのフレーズが交互に姿を現しては消えていき、最後に「Love Tribe」英詞ヴァージョンが登場するという展開も見事。
03Morning Sun (Dim's Disco Classic Re-Blend) (Incognito)
インコグニートによるアッパーなファンキー・ハウス。力強いヴォーカル・ワークと派手に跳ね回るベース・ラインが腰を踊らせる。ストリングスとホーンを大胆に起用し、メロディは常にポップ。まるで宝石のように美しく煌びやかなナンバーだ。
04Hate Won't Change Me (Quentin Harris feat.Byron Stingily)
クエンティン・ハリスによるスペーシーなハウス・トラック。テクノさながらの機械的なビートに合わせ、不穏なメロディのコーラス・ワークが展開される。肉体的な開放感ではなく、メンタルな内向性に作用するダンス・トラックといえる。
05Amor (AmigoSamba Mix) (Los Amigos)
ロス・アミーゴス・インヴィジブルズによる、ダーク・トーンのサンバ・ハウス。サンバのリズムの中で存在感を放つ、気だるく切ないメロディ・ライン。夕日が目の前に浮かんできそうな情熱的な曲調が、パーティの佳境を想起させる。
06アオイアサガオ (12 Inch Ver.) (Jazztronik)
ジャズトロニックのメジャー・デビュー曲「アオイアサガオ」の12インチ・ヴァージョン。サンバをベースにしたハウス・ビートに、軽快なピアノの音色が盛り込まれている。伸びやかな日本語詞のヴォーカルは、いつ聴いても色褪せない。
07EOL Intro (Clap Your Hands) (Luisito Quintero)
サンバ・ベースのハウス・ビートに合わせ、前半はエレクトリックなアコーディオン、中盤からはフリーキーなピアノ、後半部ではサックスの音色がそれぞれ登場する。シンプルなボトムながら、上モノが入れ替わることで表情豊かな楽曲となっている。
08The Principles of Love (Incognito)
ラテンの雰囲気が漂うパーカッシヴなトラック上を、情熱的なヴォーカルが縦横無尽に疾走する。かすれたフルートやスライド・ギターといった音のギミックも細かく盛り込まれ、リミックスのラストにふさわしい、色彩に富んだトラックとなっている。