ミニ・レビュー
2006年のそれぞれのソロ活動後にリリースされた9枚目のアルバム。プロデュースも彼ら自身。シングル曲以外もキャッチーでありながら新しいサウンド追求という姿勢が貫かれており、ソングライターのチョイスのセンスもよさも含めて意欲的だ。
ガイドコメント
KinKi Kidsの7thアルバム。琉球楽器のやわらかい音色が印象的なミディアム曲「夏模様」やマシコタツロウが手がける冬のバラード「Harmony of December」などのシングル曲などを含む、ヴァラエティ豊かな1枚に仕上がっている。
収録曲
01真冬のパンセ
物悲しい真冬の情景に現れては消えるメランコリックな思いを、ドラマティックな映画のように美しく描き出したウィンター・ソング。ところどころに配されたギターやストリングス、またソロ・パート、ユニゾンの配置も曲を盛り上げるのに効果的で、表情豊かなものとなっている。
02藍色の夜風
フォーキーで幻想的なジプシー風アレンジが魅力のミディアム・ナンバー。東京の夜空の下で広がる“おとぎ話”のような突然の恋に、心奪われていくさまを描いたリリックが想像力をかきたてる。“藍色の東京ラブ・ストーリー”の行く末やいかに。
03SNOW! SNOW! SNOW!
04iD-the World of Gimmicks-
デジタル化された世の中を憂い、その“Gimmick(からくり)”を説いた、社会風刺的なエレクトリック・ディスコ・チューン。デジタル用語をふんだんに使った歌詞にロボットを想像させるエフェクト・ヴォイス、打ち込みの電子音が、たまらなく21世紀らしくスタイリッシュだ。
05Love is the mirage...
堂本剛のソロ。70〜80年代頃のテクノを思わせるクラフトワーク風のサウンドを、レトロ感を残しつつ現代風にアレンジ。テクノ調サウンドに乗せて、退廃的な恋愛詞を螺旋のように絡みつく歌声で披露している。独特の幻想的な世界観が新鮮で意表をつかれる。
06futari
作詞を堂本光一が、作曲を堂本剛が担当したナンバー。二人で過ごした色褪せない想い出が、逢えない二人にいつか花を開かせてくれるという、花に恋心を託すという詞が驚くほど繊細だ。二人のヴォーカル特色を活かす、どこか哀愁漂うメロディをフルートやストリングスで上品に彩っている。
07Get it on
堂本光一のソロ。トリッキーな音階に耳をひかれる、妖艶な香りが漂うダンス・チューン。ファルセットやフェイクを駆使しながらも、癖のないヴォーカルが心地よい。洋楽テイストのナンバーも歌いこなす、彼の歌手としての幅を感じさせる一曲だ。
08Black Joke
友情が恋愛に変わっていく繊細な感情の変化を、アップ・テンポなメロディに乗せて歌ったラブ・ソング。曲のほとんどをループで構成しスクラッチ音をプラスするなど、ヒップホップの要素をプラス。表情鮮やかなリレー・ヴォーカルがリスナーを飽きさせないナンバーだ。
09夏模様
三線の音やエイサー太鼓、指笛、掛け声など、沖縄のエイサー風のアレンジが独特で、タイトル通り夏の匂いを漂わせた曲だ。夕暮れを水彩画にたとえるなど、夏休みを思わせるノスタルジックな雰囲気が胸に迫り、感傷的な気持ちを呼び起こす。
10Parental Advisory Explicit Content
60年代のエレキ・ブームを彷彿とさせる、歌謡曲風のテクニカルなギター・サウンドが懐しい。タイトルどおり“卑猥”な意味が込められた詞の、ギリギリのチラリズムが魅力。作曲はSMAPの「青いイナズマ」などを手掛けた林田健司が担当。
11Night+Flight
“夜間飛行”のタイトルよろしく、恋愛中で飛び立つかのような爽快な気持ちを歌ったナンバー。ディスコ・ビートに合わせたドライヴ感あふれるアレンジや歪んだようなギター音が、ファンキーな夜をいっそう演出してくれそうだ。
12Harmony of December
13Love is...〜いつもそこに君がいたから〜
追いかけっこする2本のアコギが奏でるサウンドが、優しくうららかなスロー・ナンバー。バラードにふさわしい普遍的な愛の形を歌う、二人のハーモニーも美しい。アルバム『I album-iD-』通常盤にボーナス・トラックとして収録。