ミニ・レビュー
すべての楽曲に“そら”を想起させるフレーズを含ませたコンセプト・アルバム。PUFFYの楽曲を手がけたアンディ・スターマー、イタリアのオペラ、クラシックを代表するレスピーギなど、世界6ヵ国の作曲家による、深くて暖かいメロディを表情ゆたかに歌い上げる。
ガイドコメント
平原綾香の通算5枚目となるアルバム。原点に戻り、歌にこだわって大切に作り上げられた作品。初回限定盤のボーナス曲「Come on a my house」の後には、隠しトラックとして「そら」のウクレレ・バージョンが収録されている。
収録曲
01Voyagers
02Wall
スウェーデンのプロデュース・チーム、HITVISIONが作・編曲を手がけた、清々しくもエモーショナルなバラード。“壁”の内側に潜むのをやめ、どんなに苦しくても外の世界に出て行こう。そんなメッセージを伝える詞は、松井五郎の手によるもの。
03感謝
素朴な手触り、ノスタルジックな空気を感じさせるメロディ、そして、限られた命を十分に自覚しながら、大切な人に会えたことに“感謝”するリリックがゆったりと溶け合う。作曲は韓国シンガー/ソングライター、ユ・ヘジュンが担当。
04Everyday
PUFFYへの楽曲提供で知られるアンディ・スターマー(元ジェリーフィッシュ)の作曲によるミディアム・ポップ・チューン。洗練されたメロディと情感に満ちたストリングスが融合し、何気ない日々の素晴らしさや美しさを豊かな音像によって映し出している。
05しあわせ
映画音楽やバレエ音楽からポップスまで、幅広い分野で多大な功績を残すカナダ人作曲家、アンドレ・ギャニオンが作曲を手がけたクラシカルなバラード。平原綾香のふくよかな低音、ひとつひとつのフレーズに生き生きとした感情を与える表現力を楽しんで欲しい。
06夢暦
武部聡志のプロデュースによる、日本的な情緒をほのかに漂わせるナンバー。遠く離れた場所にいる“君”に対する思いが切なく浮かび上がってくるこの曲を手がけたのは、中島美嘉などへの楽曲提供でも知られるシンガー・ソングライター、川江美奈子。
07Gradation
ピアノとアコースティック・ギターを軸にしたオーガニックなサウンドが気持ちいい、繊細で軽やかなミディアム・バラード。淡々としたイメージのメロディに奥深い生命力を与えるヴォーカルが素晴らしい。作曲はアンディ・スターマー。
08CHRISTMAS LIST
通算12作目のシングルは、ナタリー・コールの楽曲の日本語カヴァー。平和祈念の歌を上質のJ-POPに還元したナンバーで、平原の親しみやすく崇高な歌唱力を再認識させる。シックでムーディなアレンジはYANAGIMANによるもの。
09シチリアーナ
20世紀のはじめに活躍したイタリア人作曲家、レスピーギのクラシック曲「シチリアーナ」に日本語の歌詞をつけた、シックでダイナミックなナンバー。“あなたがほしい”というフレーズに象徴される、情熱的なヴァイブレーションがまっすぐに伝わってくる。
10そら
ウクレレ、アコースティック・ギターなどの弦楽器を巧みに重ねた、何気なくも豊潤なアレンジが印象的。“世界は空でつながっている”というアルバム・コンセプトをシンプルに体現した、素朴にしてオーガニックなナンバーだ。
11Come on a my house
ローズマリー・クルーニーが歌い、江利チエミによる日本語カヴァーのヒット曲でも知られるスタンダード・ナンバーを、ジャズ〜ブルースの要素をたっぷりたたえたアコースティックなアレンジでカヴァー。ライヴ録音による生々しいグルーヴ、ヴォーカルが魅力的だ。