ミニ・レビュー
母親違いの兄弟たち(84〜86年の生まれ)が思うまま重なる、マイアミをベースとする歌もラップもこなす4人組。2作目となる本作は、ミュージック・ロイヤルという専属バックアップ・チームがついてのもの。強さや色気が無理なくアピールされている。
ガイドコメント
歌って踊れてラップもこなす、マイアミの人気4人組兄弟R&Bグループの2ndアルバム。抜群のコーラス・ワークと南部系ラップがドッキングしたスタイルで、大ヒットを記録した前作を踏襲するサウンドが楽しめる。
収録曲
01LATE NIGHT SPECIAL
プリティ・リッキーの出世作「グラインド・ウィズ・ミー」の流れをくむ、2ndアルバムのタイトル・チューン。TLCのメロウ・バラード「レッド・ライト・スペシャル」に負けないぐらい、彼らの「レイト・ナイト・スペシャル」も官能的だ。
02ON THE HOTLINE
プリティ・リッキーをヒット・チャートの常連として世に認識させた3rdヒット。ソルト・ン・ペパのヒット曲「レッツ・トーク・アバウト・セックス」からの借用クレジットはあるが、彼らのオリジナリティにあふれたスムーズなR&Bだ。
03LOVE LIKE HONEY
R.ケリーやキース・スウェットの得意技をプリティ・リッキーが絶妙に料理した、粘質なR&B。女子をなで回すようなラップが「ならでは」の曲だ。「君の愛はアイスクリームみたい」は日本人には分かりづらいが、この曲を聴いて感性を磨こう。
04PUSH IT BABY
この曲の正しい楽しみ方は“艶を楽しむ”こと。プリティ・リッキーは音だけで“エロティシズム”を表現できる稀有なアーティストだ。ダンスホール風でもある汗ばんだサウンドから、彼らの出身地マイアミの香りが漂ってくる。
05LEAVE IT ALL UP TO YOU
プリティ・リッキーのソング・ライティングの力に敬服してしまう曲。「ing」で踏むライミングには説得力があり、これだけキャッチーなメロディにのって「一晩中セックスしよう」と誘えば、お世辞にもハンサムとはいえない4人組にも福音があるはずだ。
06STAY
ヴォーカル・パートを一人で担当するプレジャーの、歌のうまさが存分に発揮される曲。コーラス・アレンジの素晴らしさには同じく兄弟グループのデバージを思い出す。デバージ「ステイ・ウィズ・ミー」に負けず劣らずだ。
07SO CONFUSED
R.ケリーを彷彿とさせるリッチなヴォーカル・チューンは、女性コーラス・グループ、バター・クリームとプリティ・リッキーの丁々発止が聴きどころ。両者入り乱れてのぶ厚いコーラスは、新時代の洗練されたゴスペル・ソングといった趣きだ。
08PERSONAL TRAINER
プリティ・リッキーと同じくマイアミ発のトリーナ、クリスティーナ・ミリアンを引き合いに出す下世話な曲。エロ・ソングのランキングがあったら間違いなく上位にランクされる内容は、「パーソナル・トレーナー」の激しいエクササイズについてだ。
09UP AND DOWN
シンプルなバラードだが、湿っぽくならずに底抜けの明るさを感じさせてくれるのがマイアミ流。リズムに綿密な工夫が施され、さまざまな音色の声が咲き乱れて飽きがこない優秀なサウンドは、1曲だけでお腹いっぱいになるパワーを放っている。
10PEER PRESSURE
「プリティ・リッキーであるということはキャッチーであること」を強く感じさせる曲だ。このクセのないさわやかサウンドなら、ヒップホップやR&Bに縁遠い方も食わず嫌いが治るはず。「君のために満塁ホームラン」の歌詞も純真無垢で良い。
11MAKE IT LIKE IT WAS
ボーイズIIメンも真っ青の美しいコーラス・チューン。サウンドはベイビー・フェイスが得意としたスローなブラック・コンテンポラリーだが、時代を少し先取りするプリティ・リッキーが、複雑なコーラス・ワークで新しいスパイスを加えている。
12MAKIN' MUSIC
フィラデルフィア・ソウルの香り漂うストリングス・ループが心地よい、ポップなR&B。「君のボディで音楽を奏でるんだ」といった卑猥な歌詞だが、美しいコーラスのせいか下世話に聴こえず、何故かロマンティックだ。
13ON THE ROCKS
コモドアーズ「セイル・オン」のエンディングで登場するキャッチーなリフをループ・フレーズに流用した、さわやかなR&B。原曲ではもったいない使われ方をしているだけに、こんな素晴らしいフレーズを見つけだしてくれて感謝! という気持ちにもなる。
14GRIND WITH ME
新しいR&Bバラードの誕生を感じさせる、プリティ・リッキーの記念すべき出世作。1ヴォーカル+3ラッパーという編成の彼らだが、3人のラッパーがまったく違うスタイルを持っているのが強力な武器。そのメリハリが輝きを放っている。
15YOUR BODY
冒頭の世界一キャッチーな「イエッサー!!」で誰もが「この曲、売れる!!」と予感すること必至の2ndヒット。「メイク・ラヴする必要はないけど、お望みならマイ・ボディ、ユア・ボディ」といったエロだけじゃない、文学的センスにも触れられる優秀な曲。