ミニ・レビュー
「全曲シングル候補でした!」という本人の言葉にまったく偽りなしの、キャッチーでディープな名曲揃いのサード・アルバム。豪華な作家陣はもはや恒例だが、本作にはミト(クラムボン)や會田茂一、蔦屋好位置、BEAT CRUSADERS、亀田誠治らが参加。ほんと、名盤です。★
ガイドコメント
木村カエラの約1年ぶりとなる3rdアルバム。おなじみのアーティストに加え、国内外の注目コンポーザーとの新たなコラボレーションが実現している点に注目だ。ヒット・シングルも多数収録。
収録曲
01L.drunk
ジャガジャガと激しくかき鳴らされるギターと浮遊感のあるマリンバの音色が印象的に絡み合う、痛快なポップ・チューン。“愛して”という素直な心を伝える大切さを歌っている。NATSUMENのAxSxEがギターで参加。
02Magic Music
03Snowdome
04ワニと小鳥
05dolphin
静かなAメロに幕を開け、突如現れるノイズ・ギターが切なく胸に焼きつくメロディアス・ソング。イルカが語る童話的な詞を、幽玄な弦楽器の音で盛り上げている。椎名林檎のプロデュースで知られる亀田誠治の鋭い音感が息づく音世界だ。
06sweetie
失恋した女の子の泣き出しそうな気持ちを綴ったギター・ポップ。シンプルで緩やかなギターの演奏と木村の語り風の自然な歌声が、気持ち良く流れてくる。切なく繊細な詞からは、彼女の女性的な感性が見て取れる。
07きりんタン
會田茂一プロデュースの、元気で可愛らしいポップ・ソング。子供のように無邪気で意表をつく、愉快な詞の世界に引き込まれる。絵本が大好きな木村の個性的な表現力と弾けるように楽しげな歌い方に、スッと心が晴れわたるよう。
08Scratch
木村が弾く簡単なピアノの伴奏と柔らかなハミングがアクセントを生む、ヒーリング系のナンバー。Toeが森をイメージして作ったインタールード風の音の流れに添う、遊び心たっぷりの効果音が面白い。温かなピアノ音とモダンな音の対比が新鮮だ。
09SWINGING LONDON
60年代のUKカルチャーを描いた粋な詞が楽しいポップ・ソング。蔦谷好位置が担当した重厚なサビのコーラスが、曲全体に厚みを加えている。ちょっぴり悪ぶったり、ささやくように歌う木村の歌声が、とてもキュート。
10never land
歪んだノイジー・ギターが一気にあふれ出すギター・ロック。そこに木村が愛らしい声で、空想的な詞を重ねていくアンバランス感が楽しい。クラムボンのミトがプロデュースするコロコロと移り変わる音の変調が、不思議な空気感を作っている。
11TREE CLIMBERS
12JOEY BOY
根岸孝旨と組んだ、キュートでパンキッシュなロック風ナンバー。疾走感たっぷりの軽快な音楽に乗る、木村の陽気で楽しそうな歌声が可愛い。イタズラ好きの子供に手を焼くママを主人公とした幸せな親子愛を綴った詞に、ホッと心が温まる。
13Ground Control (Album Mix)
軽快なギターに始まり、“ヘイ! ヘイ!”と力強い掛け声が続く、元気いっぱいのパワー・ポップ。淡々と綴られる英詞を彩るような、勢いたっぷりのキーボードが熱い。シンコペーションを効かせたリズムも、胸を騒がすように響いてくる。