ミニ・レビュー
R&Bやヒップホップの女性シンガーは数いれど、彼女はありがちな本場の模倣ではなく、高い技術に日本人ならではのポップさを兼ねそなえている。ゆったりとした雰囲気と攻撃的な姿勢がほどよい感じで混じっており、器の大きさを感じるファースト・アルバムだ。
ガイドコメント
デビュー前からm-floやDef Techの作品に参加して注目されていた実力派女性シンガー、JAMOSAの初となるフル・アルバム。本格的ヒップホップ・ソウルで、DABOなどの豪華ゲストが華を添えている。
収録曲
01DREAM
デビュー曲となる軽快なヒップホップ・ソウル調ミッド。DJ HIRAKATSUのスクラッチがスムースに流し込まれるキャッチーなトラックだが、対照的に詞はシリアス。傷つけられた体験を経て、生きる価値や夢は自分の力でつかむものと高らかに歌いあげている。
02BE WITH U
ボロボロの人生を焦らずゆっくりと一緒に立て直し、不器用で不完全な自身を受け止めてくれる寛大な恋人へ永遠の愛を誓うスロー・バラード。包容力と温もりを感じさせる電子ピアノや優しく爪弾かれるギター・サウンドの上をたゆたうヴォーカルに、心酔できるはず。
03U&ME
渋めのギター・サウンドやゴスペル風のオルガンがブルージィな雰囲気を漂わせるミディアム・スロー・ソウル。“母から貰った命を大切に、諦めず生きよう”と歌うのは、彼女が東洋人のハーフという出自により苦難を受けた実体験からだと思われる。
04FLY AWAY (FEAT.JAY'ED)
JAY'EDの沁み込むような甘いヴォーカルが切なさいっそう輪をかけるミディアム・メロウ・チューン。アコギのカッティングやEn TARAJのバック・コーラスに寄り添うJAMOSAの優しいヴォーカルが、しっとりとしたムードを創りあげている。
05SO ADDICTED 247365
ノリのよいカット・ビートの上で伸びやかな歌唱を披露する2ndシングル。世界中が反対しても愛する男のためなら戦い続けると歌うが、実は彼女の元へは戻さないという意志を示した略奪愛ソング。恍惚感あるブリッジからタイトなコーラスへの展開に女の強気がチラリ。
06手紙 (FEAT.DABO)
人は戦い続け愛する人を平気で失わせるのはなぜか応えて欲しい……と神へ訴えかけるシリアスなヒップホップ・ソウル。慌ただしいまでに畳み掛ける早急なビート・トラックのループに、DABOの渋くクールなラップと不安と切なさを抱いたヴォーカルが重なる。
07BANG BANG
ローラーコースターのように激しく繰り返す同じ男との恋愛を歌ったミディアム・スロー。嘘の上塗りを幾度も重ねた過去を振り返り、そろそろ大人になろうと諭すさまを、“BANG BANG”というスムースなコーラスで表現しているラブ・ソング。
08BECAUSE OF U
ありのままの自分として生きる悦びを教えてくれた愛する人へ綴るミディアム・ソウル。シンプルなビートとコーラスに添うハスキーでハートウォームなヴォーカルは、大きく心の羽を広げられるような幸せの充足感に満ちている。
09言えないよ (FEAT.CORN HEAD)
男気あふれる汗臭いCORN HEADのラップをフィーチャーしたミディアム・ラブ・ソング。幼なじみに募る想いを言い出せないもどかしさをピースフルに描いている。サウンドに温かさと安定感をもたらすアレンジは、YANAGIMANによるもの。
10SO ADDICTED (ENGLISH VERSION)
2ndシングルの英語ヴァージョン。タイトルに“247365”がないのは、原曲にあるそのフレーズが本曲にはないからか。歌詞以外アレンジなどにも違いはないが、高品質なのは変わらず、この曲がいかにハイレヴェルであるかが改めて認識できる。