ミニ・レビュー
3ピース・ロック・バンドのアルバム。吉田拓郎風の字余り歌詞が印象的な2曲目、シンプルな曲調を演奏のグルーヴで盛り上げてゆく3曲目、ポップな5曲目−−と、曲ごとに異なった味わいを聴かせてくれる曲作りとアレンジのセンスはかなりのものだ。サイケな9曲目がベスト曲。★
ガイドコメント
MO'SOME TONEBENDERの約1年2ヵ月ぶりとなるアルバム。シングル「Tiger」や「You are Rock'n Roll」に加え、フェスやツアーで好評を博したナンバーなどを収録。ロック色全開の快作だ。
収録曲
01TIGER
けたたましいサイレン音から始まり、すべてを叩き壊すかのような轟音サウンドで畳みかけるハードなナンバー。メンバー全員の掛け合いによるヴォーカルのハイテンションぶりも凄まじい。アルバム『SUPER NICE』からの先行シングル。
02JACK THE TRIPPER
「お花のまわりをくるくる回って〜」など、ファンシーな歌詞が印象的なミディアム・ナンバー。重厚ながらも軽快に聴かせるサウンドは心地良く、どこか切なさを含んだメロディアスな曲の展開にジワジワと胸を打たれる。
03マカロニ
鳴りの良いハイ・ハットで刻む16ビートと爽やかなメロディ・ラインに体が揺れるポップ・チューン。ラジオから聴こえる「SWEET R&R MUSIC」が人それぞれの人生を投影するといった歌詞から、ヴォーカル百々の優しさが伝わってくる。
04You are Rock'n Roll
アルバム『SUPER NICE』からの先行シングル曲。尖ったギター・リフと攻撃的なリズムの上でシャウトする、百々のセリフ口調のヴォーカルが強烈なインパクトを放つ。一度聴いたら忘れられない独創的なナンバーだ。
05秘密にしようよ
攻撃的なモーサムのイメージを覆す、ロマンティックなラヴ・ソング。広大な景色を眺めているような壮観なサウンドは感動的。そのどこまでも広がっていきそうな世界観に、彼らの新たな一面がうかがえる。
06オバケ
デモのまま収録された、弾き語りのアコースティック・ナンバー。「体を貸してくれ」と頼む白くて小さいオバケのことを歌ったなんともかわいらしい詞と中盤のカズーの音色が、独特なハートフルな味わいを醸し出している。
07慈・善・事・業
ソリッドなギター・サウンドと叩き割るような迫力のドラム・プレイで、アップ・テンポに畳みかけるガレージ・ナンバー。モーサムの魅力であるぶっ飛んだハイテンションをこれでもかと堪能できる、押せ押せの一曲だ。
08SUMMERスカ?
轟音ロックにスカを組み合わせた画期的なナンバー。へヴィさと軽快さのバランスは刺激的かつノリやすく、ところどころで挿まれるベース武井の「オイサ!」という日本的な掛け声が、楽曲をいっそう愉快なものにしている。
09STOP THE MUSIC
怪しげなコーラス〜ガレージ〜ミディアム・ロックと、さまざまなテイストの曲調が混ざり合い転調を繰り返す組曲風のナンバー。詞に登場する彼らの「革命的なビジョン」がサウンドで表現された、聴きごたえ十分の楽曲。
10ロジョー
ドラマーの藤田が作詞・作曲、そしてヴォーカルも務めた、やさしく包み込むようなスロー・ナンバー。アコースティックな序盤から徐々に盛り上がっていく感動的な曲構成は、叙情的な歌詞も相まって美しく胸に響く。
11We are Lucky Friends
4つ打ちのダンス・ビートにキーボードという、彼らには珍しいテクノ・サウンドを取り入れたナンバー。ポップな曲調はすんなりと体になじみ、「1.2.3.4 !」のカウントに身体を動かさずにはいられない!