ガイドコメント
2007年2月発表のオリジナル・アルバム。日本テレビ系アニメ『DEATH NOTE』のテーマ曲に起用された「the WORLD」「アルミナ」ほかを収録。優しさと激しさに加え、湧き上がるようなパワーが混在する、彼らの魅力あふれる作品だ。
収録曲
01BOYS BE SUSPICIOUS
エッジの効いたギター・サウンドで奏でられる世界はダーク。疾走するメロディの中で、人間の価値基準への不信や没個性への恐怖を歌う内省的ヴィジュアル・ロックだ。ブリッジ部分のつぶやきが、さらに奥の深い世界へトリップさせるよう。
02PHANTOM
パイプ・オルガンのイントロが、ゴシックな雰囲気たっぷりに流れてくる。しかし、荘厳な曲かと思えば、ハイテンポのドラムに乗って疾走を始め約1分半で駆け抜ける。まさにファントム(=亡霊)というような掴みどころのない曲だ。
03the WORLD
04Criminal baby
荒々しいギターを基調としたハードなロック・チューン。分厚いサウンドの中、ピアノの旋律が退廃的なムードを醸し出すのは、過去に開拓された組曲とハード・ロックの融合を正しく受け継いでいる証。彼らの世界観には欠かせない要素だ。
05Alice
変則的なドラムスや転調するBメロ、さらに裏打ちのリズムがはさまれるなど、一筋縄ではいかないアレンジに挑んだナンバー。アウトロでは、キャッチーなメロディとともにトランペットがスパイスとなって、楽曲を引き締めている。
06crevasse
別れた恋人のことが忘れられず、ひたすら苦悩し続ける心情を歌ったスロー・ナンバー。後悔をはらんだ詞に同調するように、曲調もまた陰鬱な雰囲気。色気のあるヴォーカルがサウンドとマッチして、悲しみを見事に表現している。
0718歳
大人たちの決めたルールに身動き取れないもどかしさと不安を歌った、ナイトメア流青春ソング。とげとげしいサウンドとは裏腹に、詞は前向きそのもの。自由に憧れ、どんな障害があっても乗り越えて、力強く夢を信じ続けようと背中を押してくれる。
08Black Sick Spider
凶暴なシャウトで幕を開ける攻撃的なナンバー。転調するサビのメロディは儚げで美しく、自在にうねるリード・ギターも魅力的。確かな演奏力が十二分に堪能できる、ドラマティックで技巧的な一曲だ。
09ジャイアニズム叱
裏打ちのリズムが特徴的なハイスピード・ロック。複雑・難解なこの曲をビシッとこなす演奏力は、さすがの一言。ユニークなタイトルどおり、自己のアイデンティティ確立を促して、“天上天下唯我独尊”を徹底的に推奨するオレ様ロック。
10the FOOL
トータル1分にも満たない、瞬間爆発型の高速ナンバー。英語で綴られた詞のすべてを楽曲の一箇所に集中させて歌うスタイルは、メッセージ性も抜群。まるで短歌や俳句のように、短い中にすべてを込める行為には美学さえ感じられる。ちなみに歌唱時間は10秒ほどだ。
11アルミナ
12Morpho
ゴシックでダークな世界を持つ彼らの、爽やかな一面を抽出したポップなナンバー。正統派のメロディだが、アレンジには一癖もふた癖もある。テンポ・ダウンしてさらにゆったりと流れるブリッジ部分では、眠りに落ちそうな安らぎの時間に。
13縷々〜lulu〜
美しいピアノのループにバンド・サウンドが合流するイントロは、鳥肌が立つほどの整合感。この一瞬で曲世界に引きずり込まれ、延々と流れ続けるピアノのループを追いかけて最後まで聴き入ること間違いなしだ。