ミニ・レビュー
現役女子高生シンガー・加藤ミリヤの約1年半ぶりのセカンド・アルバム。R&B、ヒップホップをベースにした音作りながら、AORやディスコなどのスパイスを盛り込んだ通好みのサウンド・プロダクトはYANAGIMANや3rd Productionsによるもので、センスの良さを感じる。
ガイドコメント
加藤ミリヤの2ndアルバム。「ソツギョウ」「Eyes on you」などのシングル曲を収録。タイアップ曲も多数収録されたカラフルな作品だ。ティーンのハートに響くナンバーが満載。
収録曲
01Diamond
アルバム『Diamond Princess』のイントロダクション的なジェフ宮原制作によるトラック。高揚感あるホーンの音色をバックに、ファンに対して“早く聴かせたい”と高まる気持ちを伝えながら、“リアルしかやれない”という決意表明を綴っている。
02Eyes on you
快楽的なグルーヴ感を生み出すギター・カッティング、爽やかなリズム・アレンジ、どこまでも気持ちよく大らかに伸びていくヴォーカル・ライン。“あなたから目が離せない!”というヴィジョンを持ったリリックを含め、爽快度100%のソウル・ポップ・チューンだ。
03Last Summer
女の子同士の友情をテーマにした等身大の歌詞を、ハスキーだが透明感のあるヴォーカルで、キュートかつソウルフルに歌い上げている。J-ヒップホップのネタが満載の、ちょっぴりせつないサマー・ダンス・チューン。
04このままずっと朝まで
ダンスホール・レゲエの大ヒット曲「Everyone Falls in Love」をサンプリングしたダンス・チューン。クラブで出会った素敵な彼といい感じに……というシチュエーヨンを描いた歌詞も、快楽的な曲想にぴったりだ。
05LuvSong
青山テルマの制作でも知られるプロデュース・チーム、3rd Productionsが手掛けたミッド・スロー。少女から大人になる多感な時期の恋愛を歌ったラヴ・ソングで、はちきれそうなほどの気持ちを歌ったミリヤの切実な感情表現が素晴らしい。
06FAMILY
母へ電話をかけるというシチュエーションからスタートする、家族に対する愛情と感謝を綴ったパーソナルなミッド。“普通じゃない家庭環境”に育ちながら、母と弟との暖かくて最高な家族についてラヴリーに歌っている。制作はMaestro-T。
07Caught up
サンバを思わせるファンキーなリズムを軽快に取り入れたR&B。“上に上に行ける”とどこまでも上を目指す上昇志向を、自分自身を奮い立たせるように歌う。無鉄砲とも言える若さが感じられる、小気味良いナンバー。
08My soul
若くして注目を浴びた自身への酷評や妬みに対して、“ただの小娘じゃない”“批評は中身を見てからにして”と痛烈に宣告するシリアスなナンバー。批判に真っ向から対峙する強い気概が、アッパーでクールなR&Bトラックの上の歌唱にも表われている。
09Cry no more
SOULHEADらを手掛けることで著名な、OCTOPUSSYのメンバーの制作によるミッド・スロー。いつか切れる関係とわかっていても別れを告げられない、辛く切ない女心を綴っている。琴や尺八を思わせる和風のアレンジが詞世界をより深いものにしている。
10I WILL
人を愛することにともなう苦しみや悲しみに惑わされながらも、“あなたのために生きていきたい”と歌い上げる、ダイナミック&エモーショナルなバラード。(この時点で)まだ10代とは思えない深さと普遍性をたたえたヴォーカル力など、驚かされることばかりだ。
11ソツギョウ
切なく苦しげに“たった一つ見つけ出す”と歌われる、繰り返されるキャッチーなサビが印象的な卒業ソング。“うるさい”や“わかる訳ない”といった歌詞から、苛立ちにも似た、行き場のない想いが伝わってくる。
12忘れないから
しっとりとしたキーボードとギターが先導するメランコリックなミディアム・ソウル。愛する人との別れを前向きにとらえようとする切ないナンバーで、胸を引き裂かんばかりの感情を押し殺す心境をコーラスのファルセットが絶妙に表わしている。
13So special
フェンダー・ローズの幻想的なリードに乗せたヴォーカル・エフェクトから幕を開ける、DJ Mitsu the BeatsとJazzy Sport Productions制作のミッド・スロー。人はみな特別な存在なんだというミリヤの想いが込められている。
14Paradise
競争社会や現実に疲れた人たちへ、私がパラダイスに連れて行ってあげるという癒しソング。3rd Productions制作によるソウル・ポップで、過度なアレンジを避けたライトなサウンド・ワークによって心地よさと癒しを生み出している。
15Wonderful
3rd Productionsによるオールドスクール・マナーのミッド・ソウル。いつも笑顔や感動で迎えてくれる全国各地のファンへ向けて、感謝の気持ちを綴っている。“右に左に”“ナナナナナナ”など、ライヴでのコール&レスポンスが期待できる曲だ。