ミニ・レビュー
芸風異なる個性派たちとの実験的共演を収めた意欲的企画作。精一杯黒っぽく歌うさまが可愛らしい4曲目、大人びた5曲目、ファンクでポスト・ロックな9曲目、自然体で歌う12曲目などなど、共演者の芸風に積極的に染め上げられた彼女が、新生面を立て続けに表出させるのが魅力的。企画大成功。
ガイドコメント
2007年3月発表のアルバム。Buffalo Daughterやキリンジらとのシングル曲に加え、NORTHERN BRIGHTやつじあやの、カジヒデキとのナンバーも収録した、コラボ中心の注目作。鈴木亜美の歌手としての強い意欲が感じられる。
収録曲
01青空とWater (joins カジヒデキ)
小山田圭吾、小沢健二と並んで渋谷系シーンを牽引したポップ・スター、カジヒデキが作詞・作曲を担当。鈴木亜美の伸びやかな歌声が清涼飲料水を飲み干したような爽快さを感じさせる、ノリのいいギター・ポップ・ナンバー。
02Alright! (joins H∧L)
03Peaceお届け!!♥ (joins THC!!)
ストリート感漂うポップなサウンドが特徴の、THC!!とのコラボレーション・シングル曲。鈴木亜美のキャッチーなエネルギーを生かした、元気いっぱいの応援ソングで、4つ打ちのロックをベースに、リレー・ヴォーカルでスピード感を、ラップでストリート感を演出している。
04Dancin'Little Woman (joins SCOOBIE DO)
スクービードゥーが仕掛けたソウルフルでグルーヴィなトラックが、鈴木亜美の新たな魅力を引き出した! 鋭角的なカッティングが気持ちいいファンキーなリズム・ギターをバックに、彼女のシャウトが高らかに響く。
05ハレもよう。 (joins キハラ龍太郎)
鈴木亜美作詞、ムラマツテツヤ作曲によるミディアム・スロー・ナンバー。彼女らしいポジティヴな姿勢が表現された歌で、ヴィブラフォンを効果的に採り入れたサウンドをバックに、落ち着いた歌唱を聴かせてくれる。
06To Be Free (joins H∧L)
J-POP屈指のヒットメイカー、原一博が作曲し、サウンドクリエイター・チーム“H∧L”が編曲を手がけたナンバー。Aメロ、Bメロのバラード調から一転して、サビになるとロック調へと変わる、スケールの大きな作品だ。
07スコールにぬれて (joins 上田ケンジ)
恋愛を成就させた男の子が抱く大きな喜びとちょっぴりの不安をテーマにしたラブ・バラード。渋いイメージに仕上がった曲を聴いたアミーゴが、「Like a Love?」に続く物語として男性の視線で歌詞にしたという、興味深い1曲。
08EVERYTHING TO me (joins NORTHERN BRIGHT)
下北沢を中心に活動中の3ピース・ロック・バンド、ノーザンブライトの手による軽快なポップ・チューン。骨太ながらスタイリッシュなサウンドが心地よく響く。鈴木亜美のちょっとアダルトな歌声にも注目だ。
09O.K.Funky God (joins Buffalo Daughter)
鈴木亜美のコラボレーション企画“join”シリーズの第1弾となった9thシングル。ポスト・パンクシーンを牽引するバッファロー・ドーターをフィーチャーしたひねくれファンキー・チューンだ。フジテレビ系『魁!音楽番付』オープニング・テーマ。
10Fantastic (joins 原田憲)
エイベックス移籍後5弾目となるシングルで、アニメ『ブラック・ジャック』のオープニング・ナンバー。本人いわく「好きだ! というピュアな気持ちをアピールする曲」だそうで、いかにもアミーゴらしい疾走感溢れるダンス・チューンだ。
11Crystal (joins 菊池一仁)
2005年12月リリース、エイベックス移籍後4枚目のシングル曲。優しげなバラード系の楽曲で、素敵な出会いと幸せな情景を描いたクリスマス・ソングに仕上がっている。温かみのあるアレンジと、芯の強いヴォーカルが絶妙にマッチ。日本テレビ系『落下女』のエンディング・テーマ。
12それもきっとしあわせ (joins キリンジ)
ウェルメイドなサウンド・プロダクションを創造する兄弟ポップス職人キリンジが手掛けた、コラボ企画“join”シリーズの第3弾。「十年後も亜美さんに歌って貰えるように」との思いでつくられたという、ミディアム・スロー・ナンバーだ。
13Like a Love? (joins 大塚愛)
「愛」名義で大塚愛から楽曲を提供された、鈴木亜美の作詞によるラブ・ソング。“甘くてほろ苦い”という等身大の恋愛を描いた詞が、優しいメロディに乗るポップ・チューン。“愛しくて、すきだよ”とつぶやく鈴木亜美の優しい声が清々しいほどに伝わってくる。
14愛してるきっと (joins つじあやの)
つじあやのらしい、ほんわかとしたスウィートネスが全編を包み込む、ハートウォーミングなウクレレ・ポップ。シンプルなメロディ・ライン&楽曲構成ゆえに、その優しさと温もりがリスナーにじかに伝わってくる。