ガイドコメント
日本でもコアなファンが多いアメリカの4人組ポップ・ロック・バンド、ファウンテインズ・オブ・ウェインの4thアルバム。崇高な美しいメロディとリスナーの共感を得るセンシティヴな歌詞が魅力。クリスとアダムの強力コンビも健在だ。
収録曲
01SOMEONE TO LOVE
4つ打ちビートとチープ感のあるキーボードのフレーズが印象的なディスコ・ポップ・ソング。キャッチーなメロディは勿論、ニューウェイヴ・フレイヴァーが随分と増している。バック・ヴォーカルに元ホールのメリッサ・アウフ・ダー・マウアが参加。
02'92 SUBARU
ストレートなアメリカン・ロックに挑戦した疾走感のある爽快なサウンドは、タイトル通り車のドライブを連想させる。力強く前向きなメロディも楽しいが、ハンドクラップやピアノの音色が楽曲のさらなる高揚感を煽る。
03YOLANDA HAYES
ヨランダ・ヘイズという架空のキャラクターを主役にしたナンバーは、ブラスなどをフィーチャーした1960年代ロックのように軽やかなナンバー。ポップなメロディに乗せて紡がれるロマンティックな物語は、恋の高鳴りが聴こえてきそうな甘さだ。
04TRAFFIC AND WEATHER
情報社会に疑問を投げかけるようなシニカルさが漂う一曲。デジタル・ビートと歪んだギターをフィーチャーしたサウンドは、デジタル期のプライマル・スクリームを彷彿とさせる。シリアスなのに、その重さを感じさせないサウンド・メイクはさすが。
05FIRE IN THE CANYON
アコースティックなセッションをフィーチャーした軽やかなナンバー。フォーキーでノスタルジックなメロディの心地良さも然ることながら、そよ風のように吹き抜けていく歌声とコーラスのハーモニーの美しさが、うっとりするほど素晴らしい。
06THIS BETTER BE GOOD
センチメンタルな木琴の音色とへヴィなギターという両極端なサウンドが同居した、切なくも甘いパワー・ポップ・チューン。サビで絡み付くビーチ・ボーイズ風のコーラスが、切なさに拍車をかけている。
07REVOLVING DORA
ギターの逆回転から始まるイントロや色彩鮮やかなバンド・セッション、粘っこいギター・ソロなど、全体的に1960年代サイケ・ロックを彷彿とさせるナンバー。あっけらかんとしたヒッピー的なサウンドが現代風アレンジで甦っている。
08MICHAEL AND HEATHER AT THE BAGGAGE CLAIM
バンドの長年の友人である夫婦を題材にしたナンバー。空港を舞台にしたささやかなラヴ・ストーリーを、アコースティック・ギターとロマンティックなコーラスが彩る甘いメロディに乗せて、優しく聴かせてくれる。
09STRAPPED FOR CASH
借金取りに追われる男を歌った詞に、昔のTVドラマの一幕を思い出す。印象的なホーン・セクションを取り入れた、シンプルでありながらも洗練されたサウンドには、スタイル・カウンシルなどからの影響がうかがえる。
10I-95
真夜中の95号線を一人車で走っていく男の歌。アコースティックでもの寂しいメロディが、夜の孤独感とセンチメンタルな心情を見事に体現している。胸に染み入るようなサウンドで心がいっぱいになる一曲。
11THE HOTEL MAJESTIC
80年代のニューウェイヴ系キーボードのフレーズが、ひねくれポップ感を演出するパワー・ポップ・チューン。勢いのある上向きなサウンドと甘いヴォーカルが太陽のように輝いており、聴いているだけで気持ちをポジティヴにしてくれる。
12PLANET OF WEED
間の抜けたギター・リフとハンドクラップ、バーの喧噪やグラスがぶつかり合う音などが随所に盛り込まれており、脱力したサウンドに思わずにやりとさせられてしまう。ラフなセッションながら、芯となっているメロディは揺るぎない。
13NEW ROUTINE
細かく刻まれるリズム・ギターときらめくギター・リフがサビで一気に弾けるグルーヴィなポップ・チューン。ひねくれたキーボードのフレーズや能天気なコーラスも相まって、すべてがカラフルな音の渦となって迫ってくる。
14SEATBACKS AND TRAYTABLES
ハーモニカのイントロがもの悲しい旋律を奏でるアコースティック・ナンバー。カントリー&フォークの色濃いサウンドとセンチメンタルなヴォーカルが融合し、メルヘンチックな世界を生み出している。
15SENSE INTO YOU
ディストーションの効いたヘヴィなエレクトリック・ギターとブギー調の泥臭いリズムが豪快に鳴り響く、ファウンテインズ・オブ・ウェイン流グラム・ロック・ナンバー。クリス・コリングウッドのオーヴァーダビングしたヴォーカルが力強い。