ミニ・レビュー
ハードコアの枠組みを超え、メジャー・アーティストとしてブレイクを果たしたアルバム。さまざまなスタイルを飲み込んでの変幻自在なサウンドと、四者四様の歌声が織りなす、めくるめくマキシマム ザ ホルモンの世界は、馬鹿馬鹿しくもシニカル、そして濃いめである。
ガイドコメント
前作『ロッキンポ殺し』から約2年ぶりとなる、マキシマム ザ ホルモンのアルバム。前作でもその実力を遺憾なく発揮していたが、本作に漲るエネルギーは間違いなく前作以上。キャッチーにしてクセのあるサウンドで、存在感にも磨きをかけている。
収録曲
01ぶっ生き返す!!
「ぶっ殺す!!」ではなくて「ぶっ生き返す!!」。マキシマム ザ ホルモン独特の言語感覚が見事に活かされたパワフルなポジティヴ・チューン。チョッパー奏法のベースを大々的にフィーチャーし、強靭なグルーヴを築き上げている。
02絶望ビリー
日本テレビ系アニメ『DEATH NOTE』のエンディング・テーマとして書き下ろされたヘヴィ・ロック・ナンバー。マキシマムザ亮君入魂の歌詞は、同作の登場人物である“L”の名前が密かに織り込まれるなど、奥行きのある凝った作りだ。
03糞ブレイキン脳ブレイキン・リリィー
マキシマムザ亮君曰く「メルヘンホルモン」な、バンドのポップな側面が強調されたメロディアスなパンク・チューン。ナヲの柔らかい歌声とダイスケはんのデス声シャウトのミスマッチが妙に癖になる。オルゴールの儚い響きが切ない。
04ルイジアナ・ボブ
目いっぱいディストーションを利かせた超ハイ・スピードのロック・サウンドをベースに、ポップなメロディ&コーラス、お経風フレーズなどをミックス。何が飛び出してくるかわからないスリリングさがたまらないナンバー。
05ポリスマンベンツ
「パトカー燃やす」「ポリスマンファック」に続く、マキシマムザ亮君の警察への屈折した想いが歌い込まれたロックンロール・ナンバー。権力に対する反骨精神が強く感じられるエモーショナルなバンド・アンサンブルだ。
06ブラック¥パワー Gメンスパイ
ヴァイオレンス映画をイメージして作られたミクスチャー・ロック・チューン。マキシマムザ亮君とダイスケはんの掛け合いラップと、エレクトリック・ギターとベースによるチョッパー合戦がフィーチャーされたファンキーなサウンドだ。
07アカギ
マキシマムザ亮君のお気に入り漫画である『アカギ』のアニメ化に際してエンディング・テーマとして書き下ろされたハード・ロック・ナンバー。マキシマムザ亮君が珍しくほぼ全編にわたってメイン・ヴォーカルを担当している。
08恐喝〜kyokatsu〜
絶望を乗り越えるためのパワーを徹底的に詰め込んだポジティヴ・ロック・チューン。テーマ的には「ぶっ生き返す!!」の続編ともいえる内容だ。上ちゃんのメイン・ヴォーカルをバンド史上初めてフィーチャーしている。
09ビキニ・スポーツ・ポンチン
中学生の猥談をそのまま歌詞にしたかのような強烈な下ネタのオンパレードに爆笑必至の男根賛歌。グラム・ロックとディスコを融合したかのようなド派手なサウンドと超キャッチーなメロディ・ラインが艶っぽく絡み合う。
10What's up、people?!
日本テレビ系アニメ『DEATH NOTE』のオープニング・テーマとして書き下ろされた高速スラッシュ・メタル・チューン。ささやくような歌声からデス声シャウトまで、バンドのヴォーカル・レンジの広さが存分に発揮された力作だ。
11チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロンヌルル レロレロ
ガールズ・ロック・サウンドをイメージして作られたポップ・パンク・ナンバー。ユーモラスかつ異様に長い楽曲タイトルはインパクト抜群。中年男性の卑猥な妄想をキャッチーなメロディに乗せて、ナヲが楽しげに歌い上げている。
12シミ
怨念や恨み、悲しみなんかに負けないようなポジティヴで強い感情を、この世界生きた証=“シミ”として残していきたい! そんなマキシマムザ亮君のまっすぐで熱い想いが刻み込まれた、エモーショナルなヘヴィ・ロック・チューン。
13恋のメガラバ
ポップなメロディ&コーラスや軽快なビートに、デスメタル風の怒鳴りヴォーカルとラップを融合した、ユニークなロック・ナンバー。次々と飛び出してくる変幻自在なフレーズの連続に、引き込まれ圧倒されること間違いなし。