ミニ・レビュー
アニメ・ソングのテーマ曲にもなった「Rolling star」を含む全13曲を収録した2作目。タイトルはビートルズをパロッた感じで、おやじも思わずニンマリだ。ドライヴ感あるロック・サウンドが風を感じ、バラードではYUIのしっとりしたヴォーカルがコケティッシュ。
ガイドコメント
「Good-bye days」「CHE.R.RY」などヒット・シングル4枚を含む、YUIの2ndアルバム。彼女独特のコード感が光るストレートなロックを披露。ひとりの女性として、アーティストとして大きな成長が感じられる一枚だ。
収録曲
01How crazy
路上ライヴを続ける少女の葛藤を描いたロック・ナンバー。激しいドラムとギター・サウンドに絡め、大人に向かって“分かった風に言わないで!”と叫ぶ詞が潔い。一方で“でも、いつも夢に純情じゃいられない”と複雑な現実も語っている。
02Rolling star
元気いっぱいにエレキ・ギターをかき鳴らす、ロックンロール・テイストの応援歌。“本気なら戦おう! そういう部分も必要だよ”というポジティヴな思いを込めている。体の中から勇気と自信が湧き上がるような、縦ノリの激しいリズムが気持ち良い。
03It's all right
瞬きをする間に消えてしまう“真夏の流星”に日常をたとえたギター・ポップ。恋人に別れを告げ電車に乗った少女が、彼の大切さに気付き途中下車するまでを描いている。車窓から吹き込む風や少女の甘く切ない心までもが伝わってくるよう。
04I remember you
「季節はずれの海岸でひと夏を過ごした彼女をいつまでも憶えている」と歌う男性が主人公のフォーク調バラード。YUIの幼さと一途さが共存するヴォーカルが「僕」の決意をより強固に感じさせる、6thシングル。
05RUIDO
よくライヴハウスに出掛けるYUIが、さまざまな音楽から受ける心地よい刺激を歌ったギター・ロック。ライヴ感あふれるノイジーな音楽に乗せて、ギターが上手な女の子の虜になったと歌う。“自分も頑張る!”と宣言する彼女が眩しい。
06CHE.R.RY
甘酸っぱくて楽しい恋の始まりを描いたギター・ポップ。“恋しちゃったんだ”という女の子らしいかわいい感情を、春らしい陽気なメロディに乗せて伸びやかに歌っている。時折、耳元でささやくように声を潜める歌声がラヴリー。
07Thank you My teens
20歳を迎えた彼女が“10代よ、ありがとう!”という思いを込めたミディアム・ギター・ポップ。これまでの順調な音楽活動を振り返り、“夢をたくさんの出逢いが支えてくれた”という周囲の人へ感謝の思いを歌っている。
08Umbrella
昭和歌謡を思わせる、切なくドラマティックな曲調が新鮮なアコースティック・ポップ。雨の夜、黒い傘を片手に駅で彼を待つ女性の切ない思いを描いている。帰ってこない彼に募らせる虚無感を、サビの切ない転調で巧みに表わしている。
09Highway chance
荒っぽくかき鳴らされるギターが心をかき立てるギター・ロック。“環状線から高速に乗り込むイメージ”を人生にたとえ、“チャンスは必ず来る! 腐っちゃダメ”と力強い応援歌に仕上げている。“頑張ろう”とやる気が湧いてくるナンバー。
10Happy Birthday to you you
ロック・バンドがディスコで演奏するイメージで作った、4つ打ちのパーティ・ソング。彼女が“想い出を刻んでくれる曲に”と願い、大切な人を祝う場面を歌っている。疾走感たっぷりのギター・リフが刺激的だ。
11Winding road
彼女の日常を切り取った日記のようなポップ・ソング。渋谷で渋滞に遭い、行きたいライヴに遅れそうな夕方5時。恋人のことや年末の街並みについて気休めに友人と話しながらも“ライヴ行きたい”と歌う姿に、普段のYUIの姿が見えてくるようだ。
12Good-bye days
13Why?
“どうして人は言葉を持ったのだろう?”と疑問を投げかけるアコースティック・ナンバー。恋人を思えば思うほど募る猜疑心を、切々と静かに綴っている。言葉があるから本当の心が見えなくなるんだと嘆く、純粋な少女の心が痛々しい。