ミニ・レビュー
ジェニファーの長年の夢だった、全曲スペイン語によるフル・アルバム。プロデュースは夫のマーク・アンソニーが担当。歌われるのはタイトルどおり、男女の愛。情熱的な愛の歌に、スペイン語はぴったり。全面、ジェニファーの魅力満載、新生面も見せてくれる。
ガイドコメント
ジェニファー・ロペスの初となるスパニッシュ・アルバム。ラテン界のスーパースターで旦那でもあるマーク・アンソニーによるプロデュースで、自身のルーツのラテンにじっくり取り組んだ意欲作だ。
収録曲
01明日に向かって〜ケ・イシステ- QUノ HICISTE -
ラテン・テイストの乾いたアコギがロマンティックなムードを醸し出し、自分を裏切った恋人への辛辣な言葉がシリアスなトーンのヴォーカルによって綴られる。その緊張感にあふれたスピーディなヴォーカルが最大の聴きどころだ。
02ME HACES FALTA
恋人に自分から別れを告げたものの、激しい後悔の念に襲われる女性の心理を描き出したラテン・ナンバー。悲しげに奏でられるアコースティック・ギターのアルペジオに絡むヴォーカルが、切実さを響かせている。
03COMO AMA UNA MUJER
大作映画のスコアを思わせる、深みのあるピアノの音色とストリングスの響きが効果的にフィーチャーされたスロー・ナンバー。ゆっくりと一語一語を噛みしめるているようなヴォーカルは情感たっぷりで、心を揺さぶるものがある。
04TE VOY A QUERER
男性に対する一途な想いを全編で熱く綴ったラテン・ナンバー。諦念を感じさせるヴォーカルと大きな盛り上がりを見せる展開が、詞に綴られた想いの強さを裏付けているかのよう。効果的なアレンジが施されたバック・コーラスも良い。
05POR QUE TE MARCHAS
“去っていくあなた”に対する悲しくも熱い想いが綴られるシリアスなナンバー。センシティヴなピアノの音色と哀愁を漂わせるラテン風のアコースティック・ギターが、曲のテーマに大きなリアリティを持たせている。
06POR ARRIESGARNOS
愛の偉大さ、愛し合うことの大切さが語られる幸福感に満ちたバラード。祝福ムード満点のシンセサイザーが効果的に鳴らされるなか、彼女の優しげなヴォーカルと男性コーラスとの美しいパフォーマンスが楽しめる。
07TU
「あなたを愛すること、それが私の目的」と情熱的な恋心が歌われるスロー・バラード。透き通るような美麗なヴォーカルが出色の仕上がりだ。シンセサイザーを効果的に使ったバック・トラックも、壮大な盛り上がりを演出している。
08AMARTE ES TODO
流麗なピアノのイントロに始まり、ロマンティックなストリングスが優しげにメロディを包む美しいバラード。「あなたを愛することこそすべて」とハイトーンで歌うジェニファーのヴォーカルはみずみずしく、まっすぐに胸に響く仕上がりだ。
09APRESURATE
渋みを効かせたアコースティック・ギターのストロークとドラマティックな響きを持ったピアノが、「このまま私と一緒にいて このまま一緒に」という詞の切実さを強調する。情感豊かなヴォーカルが魅力的なラテン・トラックだ。
10SOLA
くぐもったシンセの音やドラムのリズム、ゆったりとしたピアノの響きに、エレクトロ・ミュージックのテイストを感じさせるラテン・トラック。サイケなムードに包まれた展開のなか、「独りぼっちで、自分だけで歩いて行くの」という言葉が悲しく響く。
11ADIOS
「私はもう行くわ、さようなら」と恋人に語りかける詞が印象的なアコースティック・ナンバー。リリックとは対照的な幸福感いっぱいのアレンジが施されており、それが詞の持つ切なさに拍車を掛けている。淡々としたヴォーカルも絶妙だ。