ミニ・レビュー
ファースト・ソロ・アルバム『主義-Ism』以来16年ぶりのソロ。ヨーロピアンな前作に比べ本作はとにかくバラエティに富んでいる。あえてバラードを収録せず、ロック&ポップスに徹した姿勢は見事。豪華な作詞陣やゲストが話題になりやすいけど、内容もかなり充実の力作!
ガイドコメント
91年発表の『主義-ism:』以来、約16年ぶりとなる高見沢俊彦のフル・アルバム。豪華な作家陣やバンド・メンバーらとの多彩なコラボレーションが楽しめる。幅広い層にアピールできる一枚だ。
収録曲
01禁断の果て
つんくが「ラブレターを書くつもりで」作詞しコーラスを担当したハード・ドライヴィング・ナンバー。ドラムとギターはほとんどヘヴィ・メタルながらメロディはポップでキャッチーという高見沢節が炸裂して、つんくの個性的な詞に負けていない。
02愛の偶像 (ラブ・アイドル)
曲調は「メリーアン」風だが、「森を抜けたら城があった」ならぬ「森を抜けたら寺があった」のシチュエーションの歌詞は、『見仏記』などでおなじみのみうらじゅん作。サビでの「阿修羅」の連呼は、ミノタウロス“阿修羅・原のテーマ”(「阿修羅」)以来では!?
03騒音おばさん VS 高音おじさん
社会現象にもなった“騒音おばさん”から発展させたテーマについて、宮藤官九郎がコント&歌詞を書き下ろし。そういえばアルフィーがブレイク以前はコントもやっていて、高見沢俊彦が台本を書いていた事実がある。コントではグループ魂が客演。
04Super Star
Elvis Woodstockことリリー・フランキーが高見沢俊彦の持つパーソナルな感性をそのまま受け継いで書き上げた、未来の大人たちに送るポジティヴなメッセージ・ソング。無垢な子供たちの合唱に心が洗われるようだ。
05千年ロマンス (Album Mix)
アルフィーのもうひとつの顔、BEATBOYS(第二期)のコンセプトはGSだが、GSの雄ザ・タイガースのヒット曲といえば「十年ロマンス」。知ってか知らずか綾小路翔作詞のタイトルはその100倍! もちろん“十年”より100倍派手な歌&ギターと衣装でタイトルに偽りなしだ。
06Kaleidoscope- KALノIDOSCOPE -
SEX MACHINEGUNSのAnchang、元ラクリマ・クリスティーのKOJI、ルーク篁、高見沢俊彦の4人の早弾ギタリストたちによるギター・バトル・ナンバー。全編タッピング、スウィープ、マシンガン・ピッキングと誰かしら弾きまくっている。
07Techno Glamorous ('59 LP Standard)
高見沢俊彦と岸利至で作ったデジロック・スタイルのインスト・ナンバー。タイトルの「'59 LP Standard」とはオールドの1959年製ギブソン・レスポールのこと。オークションで数千万円の値がつくこともあるギターで弾きたおしている。
08Endless Dream 2007
宝塚の真琴つばさに提供した「Endless Dream」のセルフ・カヴァー・ヴァージョン。「DNA Communication」や「ARCADIA」など、80年代後半のアルフィーの雰囲気を持っているハード・ロック・チューンに仕上がっている。
09けだるい色の花
ZAZEN BOYSの向井秀徳が作詞を担当。彼いわく「けだるい色の花の中にかこまれている高見沢俊彦をイメージした」とのこと。モータウンのような雰囲気も漂う、高見沢俊彦のポップ・センスが見事に発揮されたナンバーだ。
10若者たち
カレッジ・フォークを代表する1966年のザ・ブロードサイド・フォーの大ヒット曲をカヴァー。1973年にコンフィデンス名義でデビューした当時はフォークをやっていた彼だが、ハード・ロックにリアレンジするとはさすが!
11LONELY LONELY
高見沢俊彦が吉田太郎のスネアのロールを除くすべての演奏を担当したミディアム・ポップ・ナンバー。つんく作詞だけあって自らの詞ではまずでてこない「母ちゃん」という二人称とサウンドとのギャップがユニークだ。
12洪水の前
『YAWARA!』『MONSTER』などで知られるマンガ家、浦沢直樹が作詞したミディアム・ポップ・ナンバーで、しっとりと温かみのあるヴォーカルで歌い上げている。アルフィーでは坂崎幸之助が担当するフラット・マンドリンも披露。この楽器を高見沢俊彦が弾くのは珍しい。