ガイドコメント
“ニュー・レイヴ”を標榜する英国のトリオ、クラクソンズのメジャー・デビュー・アルバム。先行シングル「マジック」を含め、レイヴを生演奏のギター・ロックで表現したナンバーの数々が楽しめる。本盤はビデオ・クリップなどを収めたDVD付き。
収録曲
[Disc 1]
01TWO RECEIVERS
グルーヴィなエレクトロ・ビートが疾走する、SFチックでトランシーなダンス・チューン。ジェイミー・レイノルズのくぐもったファルセット・ヴォイスとピアノのマイナー調のアルペジオによって、ディストピア的な雰囲気が強調されている。
02ATLANTIS TO INTERZONE
ビッグ・ビート・ムーヴメントの系譜に連なる極太のビートとベース・ラインが“ニュー・レイヴ”を見事に体現したダンス・ロック・ナンバー。絶え間なく鳴らされるサイレンのSEが、楽曲の狂騒的な雰囲気を煽りまくっている。
03GOLDEN SKANS
クラクソンズのメロディメイカーとしての側面を押し出した、甘いハーモニーがチャーミングなポップ・チューン。「将来のプランなんて何もかも忘れていいんだ。とにかく今を楽しもう」。そんな刹那的で若さあふれる歌詞も印象的。
04TOTEM ON THE TIMELINE
ストロークスやリバティーンズなどの2000年代以降のロックンロール・バンドからの影響も感じさせる、シンプルでソリッドなガレージ・パンク・チューン。ディストーションによって極限まで歪ませた荒削りなサウンドがクール。
05AS ABOVE, SO BELOW
ベルリン時代のデヴィッド・ボウイを彷彿とさせるスペーシーなロック・ナンバー。モノラル風なサウンド処理もレトロな雰囲気満点。ウィリアム・バロウズのカット・アップ技法に影響を受けて綴られたという詞は、文学的で意味深だ。
06ISLE OF HER
クラクソンズのメンバー3人も特に気に入っているという、サイケデリックでドラッギーなロック・チューン。トライバルなドラム・ビートがゴシックな雰囲気を醸し出し、ひきつったような電子ノイズが不気味な余韻を残す。
07GRAVITY'S RAINBOW
トマス・ピンチョンの同名小説からタイトルを頂いた、クラクソンズの記念すべき1stシングルのタイトル曲。強烈なダンス・ビートが全編を貫く、クラクソンズのすべてが集約されているといっても過言ではない代表曲だ。
08FORGOTTEN WORKS
メロディアスでグルーヴィなベース・ラインと幻想的なファルセット・コーラスが前面に押し出された、ダークなディスコ・チューン。中世的な世界観の中で墓堀り人夫や死んだ恋人が登場する、思わせぶりで不気味な歌詞が怖い。
09MAGICK
英国に実在した魔術師、アレイスター・クロウリーへのオマージュともいえる、オカルト風なサイケデリック・ロック・チューン。複雑なリズム・チェンジを繰り返しながら高揚感を増していく、バンドの演奏能力の高さが顕著に表われた曲構成だ。
10IT'S NOT OVER YET
グレースの95年のヒット曲をパンキッシュにカヴァー。音楽史に残るような偉業的な存在ではない楽曲をカヴァーしてしまうところに、クラクソンズの90年代のダンス・ミュージックに対する深い愛情が垣間見える。
11FOUR HORSEMEN OF 2012
『近未来の神話』の本編ラストを締めくくる狂騒的なレイヴ・ロック・ナンバー。「僕たちはケンタウロスじゃない。クラクソンズだよ」と歌うなど、殺伐とした楽曲の雰囲気に反して、歌詞は意外と呑気でユーモラスだ。
12HALL OF RECORDS
グルーヴィでスピーディな16ビートに乗せて“さあ、俺と踊ろうぜ”と繰り返し歌われる、ニュー・レイヴ・ムーヴメントを体現したダンス・アンセム。ロック・バンドならではのラウドなエレクトリック・ギターも刺激的。
13ATLANTIS TO INTERZONE
イギリスのレイヴ文化のメッカの1つであるマンチェスターでのライヴの模様を収録。観客の熱狂的な反応からも、彼らの現地における人気の高さがうかがえる。スタジオ・ヴァージョンよりもパンキッシュなノリを強調した演奏が熱い!
[Disc 2]〈DVD〉
01グラヴィティーズ・レインボー (Music Video)
02アトランティス・トゥ・インターゾーン (Music Video)
03マジック (Music Video)
04ゴールデン・スキャンズ (Music Video)
05グラヴィティーズ・レインボー2007 (Music Video)
06イッツ・ノット・オーヴァー・イェット (Music Video)
07日本独占インタビュー
仕様
エンハンストCD内容:ゴールデン・スキャンズ (ビデオ)