ミニ・レビュー
再結成後の3作目のアルバム。新メンバーを迎えての初めての作品で、ワイルドなロックンロールはもちろん、新メンバーも曲作りに参加したポップで覚えやすい作品など、フレッシュだ。前2作以上にがっちりとした本格的なバンド演奏を聴くことができる。
ガイドコメント
マイケル・モンローとアンディ・マッコイという2大ヒーローを擁し、数多くのバンドに影響を与えたロックンロール・バンド、ハノイ・ロックスの復帰第3弾アルバム。グラマラスかつパンキッシュな魅力は健在だ。
収録曲
01HYPERMOBILE
“いかにもアメリカンな100万ドルの微笑だってモノともしない、ハイパーな車みたいな俺の生き方!”というマイケル・モンローの叫びが痛快。フィンランド人としてのプライドとアイデンティティを高らかに歌い上げたロックンロール・ナンバー。
02STREET POETRY
“俺は部外者、俺は傍観者。おまえらには無意味でも、俺にはこれがすべて”と歌う。ロックンローラーというヤクザな職業を選んだことに対する誇りを、そこはかなとない孤独感をにじませながら歌った、ワイルドなハード・ロック・ナンバー。
03FASHION
往年のハノイ・ロックス節が完全復活した、キャッチーなロックンロール・ナンバー。グラマラスなタイトルとは対照的に、歌詞の方では“本当に大切なのは生き方だ”と、ベテラン・ロッカーから若者たちへの熱いメッセージが歌われている。
04HIGHWIRED
夢を実現したいのならハッピー・エンドにこだわらず、なり振り構わずに行動するんだ! という厳しくも真摯なメッセージが込められた、力強いロックンロール・ナンバー。マイケル・モンローのまっすぐな歌声が胸に響く。
05POWER OF PERSUASION
エレクトリック・ギターのリズミカルなコード・カッティングによって構築された、グルーヴィなジャングル・ビートが印象的なミディアム・チューン。ホーンがド派手に鳴り響く、ダイナミックなスタジアム・ロック・サウンドだ。
06TEENAGE REVOLUTION
全盛期のT.レックスを思わせるきらびやかなグラム・ロック・サウンドに乗せて、タイトルそのままに若者たちに“革命”を呼びかける、キャッチーなロック・チューン。野暮ったいグルーヴが楽曲に人懐っこさを加味している。
07WORTH YOUR WEIGHT IN GOLD
ハノイ・ロックスらしい泣きのメロディが全開のハード・ロック・ナンバー。マイケル・モンローの吹くサックスが大々的にフィーチャーされ、アンディ・マッコイのエレクトリック・ギターとも抜群のコンビネーションを見せている。
08TRANSCENDENTAL GROOVE
“身をまかせなよ、この吹っ切れたグルーヴに”と、リスナーを刹那の快楽へと誘うロックンロール・チューン。ブレイク部分ではカリプソ風に転調したり、リード・ギターが中東テイストなメロディを奏でたりと、遊び心が満載のアレンジだ。
09THIS ONE'S FOR ROCK'N'ROLL
ジョーン・ジェットの「アイ・ラヴ・ロックン・ロール」を思わせる、ライヴでは大合唱必至のロックンロール・アンセム。チャック・ベリーからラモーンズまで、ロックンロールの偉大な先達への愛にあふれた歌詞が泣ける。
10POWERTRIP
性的な隠喩が満載の詞を歌い上げる、マイケル・モンローの艶やかな歌声がセクシーなロックンロール・ナンバー。豪快なスライド・ギターがフィーチャーされた、ハード・ドライヴィンなバンド・アンサンブルが聴きものだ。
11WALKIN' AWAY
ヘヴィでブルージィなギター・リフを中心に構成された、ミディアム・テンポのロック・ナンバー。マイケル・モンローの息遣いまでもが伝わってくるダイナミックで隙間の多いサウンドが、バンド各人の演奏力の高さを実感させてくれる。
12TOOTIN' STAR
新生ハノイ・ロックスの瑞々しい魅力が凝縮された『ストリート・ポエトリー』の実質的なラスト・ナンバー。リード・ギターとユニゾンで奏でられるブルース・ハープがアメリカンな印象を強く与える、ポップなロックンロール・サウンドだ。
13FUMBLEFOOT AND BUSY BEE
アンディ・マッコイが全編にわたってエレクトリック・ギターを思う存分弾きまくるインストゥルメンタル・ナンバー。タイトルに引っ掛けて蜂の飛ぶ音がSEとして使われるなど、サウンドは全体的にユーモラスでとぼけた味わい。
14SELF DESTRUCTION BLUES
“自虐のブルース”と名付けられた、破れかぶれな勢いが痛快なハード・ブルース・ナンバー。アンディ・マッコイの奏でる自由奔放でワイルドなエレクトリック・ギターの存在感が圧倒的で、ほとんど彼の独擅場といっても過言ではないほど。
15WORLDSHAKER
“俺は俺なりに、世の中を騒がせてやるさ”と、中年にさしかかった自分たちを認識しながらも、それでもロックし続けようとする力強さに感服。ハノイ・ロックスの“生涯ロックンローラー宣言”ともいえるアンセム・ナンバー。