ガイドコメント
ブジュ・バントンを叔父に持つ若手レゲエ・シンガー、ショーン・キングストンのデビュー・アルバム。パトワ語のしゃべりとラップに、ソウルフルな歌声を持ち合わせた逸材で、ジョナサン“J.R.”ロテムのレーベルからのリリースという注目作だ。
収録曲
01INTRO
リアーナ、50cent、パリス・ヒルトンらを手掛ける万能プロデューサー、ジョナサン“J.R.”ロテムが全面的にバック・アップしたデビュー・アルバム『ショーン・キングストン』の幕開け。シリアスでシンフォニックなサウンドに、並々ならぬ意気込みを感じる。
02KINGSTON
きな臭いヒップホップに17歳のショーンが挑む。完成度の高い派手なサウンドだが、ショーンの一歩も引かないパフォーマンスが頼もしい。ヒップホップ伝統の地域密着&自慢のリリックだが、良い意味で威張っておらず娯楽作品として楽しめる。
03TAKE YOU THERE
歌メロとシンセのブレンドがとてもキャッチーな、80年代の香りが漂うポップ・チューン。奥行きを感じさせる歌メロは、繰り返し聴きたくなる出来だ。ショーンのジャマイカなまりが、ともすると小さくまとまってしまいそうな楽曲に新鮮な味付けをしている。
04ME LOVE
レッド・ツェッペリンのレゲエ挑戦曲「デイジャ・メイク・ハー」をサンプリングしたポップなレゲエ・チューン。サウンドの作り方は昔ながらのアプローチだが、ショーンの未開拓の音楽性が作品に新しい風を送り込んでいる。
05BEAUTIFUL GIRLS
「2007年の洋楽はこの曲」という人は多いだろう。街角で、ラジオで、クラブでボーダレスに受け入れられた曲だ。名曲「スタンド・バイ・ミー」を下敷きにしながらも、まったく新しいメロディ・アプローチを加え、原曲に劣らない仕上がりになっている。
06DRY YOUR EYES
美しいメロディのR&Bバラード。韻を踏んで進んでいくAメロに、ショーンのパフォーマーとしての懐の深さを感じる。控えめに施されたオートチューンのヴォーカル加工は大成功だろう。無垢なショーンの歌唱が胸に迫ってくる作品だ。
07GOT NO SHORTY
デイヴ・リー・ロスも拝借していたキャブ・キャロウェイの古典「I ain't got nobody」のタイトル・コールをいただいたアイディア・ソング。古いネタを拝借しながらも、新しい世界をしっかり聴かせてくれるショーンの才能に感服する。
08THERE'S NOTHIN
気持ちが沈んだときにはこの曲がオススメ。幸せな定番ゴスペル・コード進行をいただいた極上のポップ・ソングだ。美しいチカーノ娘、ポーラ・ディアンダの歌唱が鋭く心を揺さぶる、ティーンエイジャーの2人ならではの若さにあふれる曲だ。
09I CAN FEEL IT
フィル・コリンズの「夜の囁き(IN THE AIR TONIGHT)」のメイン・フレーズをいただいたアイディア作品。どうしても能天気に聴こえてしまうショーンの歌声だが、切ない原曲の雰囲気を味方にしながら、しっかりと切なく聴かせてくれる。
10DRUMMER BOY
南部ヒップホップ・サウンドがショーンの手にかかれば、底抜けに明るい作品になる。“ストリートのソルジャーよ、攻撃だ”というリリックでもどこか弛緩が見え隠れするサウンド・アプローチは、音楽の新境地かもしれない。
11YOUR SISTER
メロディの符割りといい、ヴォーカルのオートチューン処理といい、T-PAINの影響を色濃く感じるサウンドだ。2007年版“切ないR&Bの正しい作り方”が堪能できる。ミュージック・シーンを俯瞰させてくれるような奥深い作品。
12THAT AIN'T RIGHT
ピアノのリフにオケ・ヒットが歯切れ良く絡んでいく、シリアス・サウンドのポップ・チューンだ。古いブラック・コンテンポラリーの香りも漂うが、歌の世界は17歳のショーンらしい恋愛のジレンマ。艶っぽくならないところにオリジナリティを感じる。
13CHANGE
幸福感漂うポジティヴ・ソング。生っぽいピアノとドラムの絡みが心を明るくしてくれる。古いR&Bやゴスペルのサウンドをいただきながらも、それをまったく新しい音楽として自分のモノにできるショーンのパフォーマンスは特別だ。
14COLORS (2007)
ショーン、Vybz Kartel、Kardinal Offcialというジャマイカ系の3人が、南部のヒップホップ・サウンドをバックに泥臭いパフォーマンスを披露している。ラップをしないヒップホップもある、と教えてくれる曲だ。
15BEAUTIFUL GIRLS
仕様
CDエクストラ内容:ビューティフル・ガールズ (ビデオ)