ミニ・レビュー
ラブ・ソング・ベストが、イコール名曲集になってしまうのが、ほんとにCharaらしい。嬉しくなる。あまい幸せな気持ちを綴った“A Sweet Love Song Collection”と、ほろ苦い気持ちを綴った“A Bitter Love Song Collection”の2枚組。どちらも甘く切ない楽曲のオンパレード。
ガイドコメント
ラヴ・ソングを集めた2枚組べスト・アルバム。女性の恋する気持ちを表現した独創的な名曲の数々が、“SWEET”と“BITTER”というテーマ別に収められている。彼女の魅力が凝縮された好企画盤だ。
収録曲
[Disc 1]〈DISC SWEET-A Sweet Love Song Collection-あまい幸せな気持ちを綴ったラブソングディスク〉
01しましまのバンビ
一見いじけた子供の気持ちのような歌詞だけど、実は女心が見え隠れする意味深な内容。プロデューサーTOWA TEIの手により、打ち込み音が含まれているにも関わらず、温かみの伝わってくる楽曲になっている。
02やさしい気持ち
97年当時、映画出演やユニットへ参加した後、2年の間を経てリリースしたシングルで、タイトルに違わずやさしいメロディのキュートでスウィートな曲。ティセラのCFソングとしても注目を集めた。
03レモンキャンディ
2001年4月にリリースされた25thシングルで、7thアルバム『マドリガル』に収録。岡村靖幸作のポップなメロディとCharaのキラキラした言葉の魔法がひとつになった、甘酸っぱい胸キュンのラヴ・ソング。
04ミルク
デズリーのプロデュースで知られる、アシュレイ・イングラムとの共作曲。タイトルどおり「ミルク」のようなやさしいメロディに、アコースティックへのこだわりが感じられるインストゥルメンタルが見事に溶け合っている。
05愛の自爆装置
92年11月にリリースされた5thシングルで、2ndアルバム『Soul Kiss』に収録。Charaの瑞々しい歌声とローリーのファンキーなコーラスの掛け合いが聴きどころ。愛の自爆装置とは“一瞬で「さよなら」できる”言葉のこと、らしい。
06恋をした
Charaソングとしては希少な、低音のハウス・ビートが効いたダンス・ミュージック。Charaのウィスパー・ラップも聴ける。93年9月発表の3rdアルバム『Violet Blue』のリード・トラックで、8thシングルとして同時リリースされた。
07大切をきずくもの
ちょうど寒くなる季節にオンエアされた『午後の紅茶』CMソング。どこまでもやさしいメロディとアコースティックで静かな伴奏に、CHARAの包み込むような歌声が合わさった一曲。ぽっと心が温まります。
08Happy Toy
94年10月発表の4thアルバム『Happy Toy』タイトル曲。ファンキーなブラスやパーカッションが乗った緩いグルーヴとCharaの泣き出しそうなヴォーカルが、じわじわと胸に迫る。初期Charaの最高傑作のひとつといえる楽曲。
09大きな地震がきたって
チープ・テイストの打ち込みサウンドと恋する女の子の独り言をそのまま書きとめたような歌詞がキュート。92年7月にリリースされた4thシングルで、2ndアルバム『Soul Kiss』に収録のミッド・ポップ・チューン。
10Duca
歌詞の中で印象的に使われる「コンクリート」。だが、この曲からはアフリカの太陽に焼けた大地のにおいと手触りが感じられる。このアーシーな仕上がりは、ASA-Changのパーカッション&ドラムさばきの賜物。
11スカート (album version)
2001年7月にアルバム『マドリガル』と同発されたシングルのアルバム版ロング・ヴァージョン。永遠の少女・Charaの歌声と歪んだギターが絡み合う、夢見心地のミッド・ロック・チューンだ。作曲・プロデュースは、ジェイムス・イハ。
12Tiny Tiny Tiny
95年7月にリリースされた12thシングル。揺れるオルガンの音色、Charaのソウルフルなヴォーカル、女性コーラスの“I'll be there for you”のフレーズに思わず感涙。Chara史上に残る名バラードだ。
13Junior Sweet
強烈にスウィートな曲の世界に、R&Bテイストのアレンジがスパイスとなった、絶妙な仕上がりの一曲。ホーンの音が耳に心地よく響く。女性シンガーを輝かせる天才、MONDO GROSSOこと大沢伸一との共作。
[Disc 2]〈DISC BITTER-A Bitter Love Song Collection-ほろ苦い気持ちを綴ったラブソングディスク〉
01Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜 (YEN TOWN BAND)
02Break These Chain
シンプルなピアノのサンプリングを主体にしたミッド・バラード。“いいの? はなれてもいいの? 会いたい でも”。ひらひら可憐なファルセット・ヴォイスで歌われる、切ない恋の結末は? 91年11月発表の1stアルバム『Sweet』に収録。
03月と甘い涙
2000年、TVドラマ『リミット』のために書き下ろされたナンバー。第2子を出産後にリリースされたもので、「やさしい気持ち」にも通じるキュートで切ないポップ・チューンになっている。ストリングス・アレンジも優しく響く。
04タイムマシーン
14thシングルは、とても切なくて、とても素直で、恋する女の子の気持ちを真っ直ぐに描いた歌。ゆったりとしたテンポで、ファルセットを効かせ、やるせなく、でも可愛く歌うCHARAがとてもよい。
05Sweet
Charaのガーリーな魅力満載のラヴリーなポップ・チューン。シンセ・ブラスやヴォコーダーを多用した80年代風エレポップ・サウンドが楽しい。1stアルバム『Sweet』に収録され、92年1月に2ndシングルとしてカットされた。
06あれはね
厳粛なパイプ・オルガンで幕を開け、清らかなア・カペラ・コーラスで終わる悲しいラヴ・ソング。David Motionによるデジタルな打ち込みとCharaの繊細な歌声が好対照をなしている。92年9月発表の2ndアルバム『Soul Kiss』収録。
0770%-夕暮れのうた
99年発売のシングル曲。全体的にR&B調のビートが効いてるため、アーバンな印象。だが曲が展開するにつれて広がる、メロディの切なさや美しさは鳥肌もの。無敵の組み合わせ、CHARAと渡辺善太郎の共作。
08罪深く愛してよ
10thシングルは、まるでジャクソン5! と叫びたくなるような、イイ意味でベタなキーボードやホーン・セクションがアメリカン・ポップ風な演出。恋愛モード全開のグッとくるラヴリーな歌詞が“うっとりさせて”くれます。
09あたしなんで抱きしめたいんだろう?
長いタイトル、キャッチー&キュートな曲調と歌唱法、あらゆる面で強烈なインパクトを放つ、CHARAの11thシングル。片思いの女の子の気持ちがCHARA独特のファニー・ヴォイスで弾けるように歌われている。
10Heaven
91年9月にリリースされたデビュー・シングル。女の子の心情をストレートに綴った詞とブルー・アイド・ソウル風のサウンド・アプローチはとても斬新で、後のガール・ポップ・ブームの礎を築いた。1stアルバム『Sweet』に収録。
11初恋
惜しげもなく愛をメロディに込めるCHARAの歌声は、水面に浮かぶ花弁のように繊細ではかない。誰かを思いやる自分に戸惑い切なくなるときの、まさに恋心が芽生えようとする瞬間を語る。心安らぐスロー・テンポの柔らかい音色とも相性はぴったり。
12Violet Blue
“優柔不断が 横ぎっていく”の名文句で始まる、メランコリックなロスト・ラヴ・バラード。ジャジィなピアノとメロウなサックスが、夕暮れ色の切なさをさらに盛り上げる。93年9月発表の3rdアルバム『Violet Blue』タイトル曲。