ガイドコメント
シングル「ユア・ビューティフル」とアルバム『バック・トゥ・ベッドラム』がメガトン級のヒットを記録したジェイムス・ブラントの2ndアルバム。前作同様、独自の音世界と心に染みるハスキー・ヴォイスが冴えわたっている。
収録曲
011973
切なく清らかなピアノの演奏に始まる、哀愁のミディアム・ナンバー。タイトルはスペイン・イビサ島にあるナイトクラブの開業年から取ったという。70年代を意識した郷愁感漂う美しいメロディが、スモーキーな歌声にマッチしている。
02ONE OF THE BRIGHTEST STARS
70年代ポップスのテイストを取り入れた、哀愁漂うミディアム・バラード。ピアノとギターのシンプルな演奏が、彼の温かな歌声と絡み、親密で安心に満ちた雰囲気を作っている。ポップス時代のビージーズを思わせるメロディが懐かしい。
03I'LL TAKE EVERYTHING
“人は皆死ぬのだから、限られた命の輝きを祝福したい”という思いを込めたミディアム・ナンバー。NATOの平和維持軍の一員として、コソボで3年間の戦地生活を送った彼。人の失望や死を見つめてきた男の、誠実な心が詞に宿っている。
04SAME MISTAKE
穏やかなギターの爪弾きを背景に、優しくなめらかな歌声が揺らぐバラード。自身が抱く心の闇に目を向けた、謎めいた詞に引き込まれる。後半、詞に映された感情の高ぶりとともに、ドラマティックに盛り上がるメロディが熱く切ない。
05CARRY YOU HOME
美しく透明感のあるギター・バラード。人の別れと死という人生の深い部分を見つめ、彼なりの思いを切々と綴っている。高音域で優しくささやくように歌う声が、情感に満ちたギターとピアノの演奏と重なり、エモーショナルに揺らいでいる。
06GIVE ME SOME LOVE
“僕に少し愛をわけてくれよ”と切なくつぶやくように繰り返すミディアム・ギター・ロック。他人の無関心や自身の孤独、ギターと音楽を愛する心が、ストーリー性にあふれる詞の中で語られていく。巧みに差し込まれる男性コーラスも美しい。
07I REALLY WANT YOU
民族楽のテイストを取り入れたリズムが、緊張感と熱情を漂わせるラヴ・ソング。人を癒す楽園に思いを馳せる一方で、自身の過ちと狂おしいまでの愛を語る詞が情熱的。“僕の音楽は自伝風”と語る、彼の経験に基づいた詞が胸に突き刺さる。
08SHINE ON
アコースティック・ギターの優しい調べに癒される、美しく清らかなバラード。“もっと輝いて”と歌う明るく幸せな詞が、キラキラとした夢のようなノスタルジーを作っている。気持ち良さそうに歌うジェイムスの歌声にも、しっかりとした温度がある。
09ANNIE
富や名声によって人を判断する世間の軽々しさを、彼なりの視点で描いたナンバー。“世界的に成功を収めたアニー、でも彼女が探すものは他にあるんだ”と語る彼。コソボで従軍経験をした彼の、真の幸せを探す詞には重みがある。
10I CAN'T HEAR THE MUSIC
哀切と郷愁が切なく伝わってくるバラード。彼が“本物の音楽が存在していた時代”と語る、70年代的な雰囲気が濃密なサウンドで渋みを持たせている。音楽をこよなく愛する彼の素直な思いをしたためた詞も、日記のように親密。
111973
イビサ島のクラブの開業年をタイトルにした、哀愁漂うミディアム・ナンバーのアコースティック・ヴァージョン。クラブの夜を思い出す詞は、古いレコードを聴くような不思議な懐かしさを持つ。繰り返される“シモーナ”は、彼がクラブで出会った女性の名前。