ミニ・レビュー
映画関連の曲をパンクにアレンジするシリーズの第2弾。リサ・ローブ作品「ステイ」をポップにカヴァー、しかもその作者本人が参加するなど、ゴージャスな企画だ。アレンジも楽しめるし、ほかにも多くのゲストが参加しているので、付加価値もたっぷり。
ガイドコメント
エモ・パンク・バンド、ニュー・ファウンド・グローリーの映画音楽カヴァー集『フロム・ザ・スクリーン・トゥ・ユア・ステレオ』の第2弾。シックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの「Kiss Me」をはじめ名曲揃いだ。
収録曲
01KISS ME
シックスペンス・ノン・ザ・リッチャーのヒット曲のカヴァー。切れ味鋭いギター・サウンドが爽快な雰囲気を作り、疾走感に満ちたサウンドを生み出している。原曲の美しいメロディはそのままに、彼ららしいパンキッシュな味付けが楽しめる。
02IT AIN'T ME BABE
ジョニー・キャッシュとその妻ジューン・カーターによってヒットした、ボブ・ディランのナンバーをカヴァー。原曲の温かでノスタルジックなムードを大切にしつつ、持ち味であるノイジーでタイトなギター・サウンドを前面に押し出した、彼ららしい仕上がりだ。
03THE PROMISE
イギリスのエレ・ポップ・グループ、ホエン・イン・ロームの88年のヒット・ナンバーのカヴァーで、ジョーダンの味わい深いヴォーカルが際立った一曲。メロウなパートとポップなパートとをメリハリをつけて弾きわけた演奏も見事だ。
04THE KING OF WISHFUL THINKING
イギリスのブルー・アイド・ソウル・デュオ、ゴー・ウェストのカヴァー。ライヴで大合唱が発生しそうなドラマティックな展開と高揚感にあふれた演奏が魅力。パトリック・スタンプ(フォール・アウト・ボーイ)の客演にも注目だ。
05STAY (I MISSED YOU)
リサ・ローブのヒット曲のカヴァーで、リサ自身もヴォーカルで参加した楽曲。まるで自身のオリジナル曲かのように情熱的なパフォーマンスを展開するジョーダンの圧倒的なヴォーカルから、この曲に対する思いが伝わってくる。
06LOVE FOOL
映画『ムーラン・ルージュ』の挿入歌としておなじみとなった、カーディガンズのナンバーをカヴァー。テイキング・バック・サンデイのアダム・ラザーラを迎え、スウィートなバラードを彼ららしいメランコリック・パンク・ソングに仕上げている。
07IRIS
グー・グー・ドールズのヒット・バラードのカヴァー。原曲のノスタルジックで寂しげなメロディを活かしたヴォーカルを、破壊的で激しいギター・サウンドが包み込んでいる。ウィル・ピュー(カーテル)がゲスト参加。
08DON'T YOU (FORGET ABOUT ME)
イギリスのロック・バンド、シンプル・マインズの全米No.1ヒットのカヴァーで、重低音を効かせたギター&ベースがクールなポップ・パンク・ナンバー。楽しい雰囲気を盛り上げるバック・ヴォーカルもいい味を出している。
09J'Y SUIS JAMAIS ALLE
ヤン・ティルセン作曲による映画『アメリ』のオリジナル・スコアをカヴァーしたインストゥルメンタル・ナンバー。1分半の尺の中で息の合ったジャムが繰り広げられる。疾走するギターとそれをコントロールするかのような落ち着いたリズム隊との対比が面白い。
10CRAZY FOR YOU
マドンナによる全米No.1ヒットをカヴァー。セイ・エニシングのマックス・べミスを迎え、やや寂しげな雰囲気を残しつつも、ポップでキャッチーなアメリカ特有の青春パンクに仕上げている。ブレのないジョーダンのヴォーカルが見事だ。
11HEAD OVER HEELS
イギリスを代表するロック・バンド、ティアーズ・フォー・フィアーズのカヴァー・ソング。冒頭のハードで渋いギター・ソロが出色の仕上がりを見せており、全編にわたってギタリスト2人の掛け合いが見せ場を作り出している。
12HUNGRY EYES
映画『ダーティ・ダンシング』に使われヒットしたエリック・カルメンのナンバーをカヴァー。小刻みなギター・ストロークを中心に進行する典型的なポップ・パンクで、ヴォーカルも親しみやすくライヴでも盛り上がりそうだ。