ミニ・レビュー
好評を博したデビュー曲「シンクロ」(2006年)や2枚目「鱗(うろこ)」(2007年)などを収めた秦基博のファースト・アルバム。前向きな力強さと繊細さが微妙に絡み合った、青春の叫びとでも言える好盤で、清々しくロックするギター・サウンドも大きな魅力だ。
ガイドコメント
温もりあふれる魅惑の歌声と珠玉のメロディが人気のシンガー・ソングライター、秦 基博の1stフル・アルバム。亀田誠治をはじめ名うてのプロデューサーが他数参加し、良質で心地好い音世界を構築している。
収録曲
01色彩
疾走感と高揚感のあふれるギター・サウンドが気持ちいい、クールなポップ・ロック・ナンバー。渋めの低音から突き抜けるようなハイトーン、ハスキーから透明感に満ちた歌声へと目まぐるしく変容し続ける、秦基博の声という楽器の魅力に圧倒される。
02シンクロ
恋する二人の思いがシンクロしたときに生まれるエネルギーを表現したという、ポップなセンスにあふれたデビュー・シングル曲。鋼の強靭さと硝子の繊細さを併せ持つ声が、曲に豊かな感情の起伏と艶を与えている。
03鱗 (うろこ)
飾らない歌詞がストレートに胸に響くロッカ・バラード。アコースティック・ギター、ベース、ピアノ、そしてストリングスが一体となった穏やかでクリアなサウンドに、パワフルで伸びやかなハイトーン・ヴォイスが乗る。最高に気持ちよい出来栄えだ。
04君とはもう出会えない
別れをテーマにした詞が痛いほど切ない、フォーキーでメロディアスなバラード。アコースティック・ギターやオルガンを基調とした幻想的で郷愁的な音たちと、もの憂げでありながらもしなやかなヴォーカルが美しく溶け合う感動的な作品。
05トレモロ降る夜
ボサ・ノヴァのフレイヴァーとホーンやパーカッションによる陽気でカラフルなサウンドが心地よい、珠玉のポップ・チューン。クラヴィネットの音色と美しいファルセット・ヴォイスが鮮やかなアクセントとなり、楽曲の味わいを深めている。
06Lily
メランコリックなアコースティック・ギターのリフレインが印象的に響く現代風AOR。アンニュイさと爽快感、無機質さとポエジーを融合させてしまうソングライティング・センスと歌唱力を、心ゆくまで実感できる。
07青い蝶
ブルースのテイストをさりげなく取り入れたアレンジのなかで、スケール感のあるメロディが展開していくミディアム・チューン。“欲しかったもの”をテーマにした奥深い歌詞や、凛としたエモーションをたたえたヴォーカルも印象的。
08つたえたいコトバ
秦基博のポップ・エッセンスがギッシリと詰め込まれた、カラフルなパーティ・チューン。軽快にハネるビートに乗せたユニークでハッピーな歌詞が楽しい。ギターにホーン、パーカッション、クラップなどに七色のヴォーカルと、そのすべてが聴きどころだ。
09僕らをつなぐもの (Contrast Ver.)
愛する人との強い絆をテーマにした詞が胸を揺さぶる、感動的なバラード。アコースティック・ギターとストリングスによる内省的なサウンドが、繊細さと大胆さを持ち合わせたヴォーカルの魅力を最大限に引き出している。
10赤が沈む
反復するリズム、増幅するグルーヴ。タイトなベース・ラインとディストーションの効いたファンキーなギター・リフが印象的な、大人のロック・ナンバー。ブルース・ハープのフレーズやルーズ気味なヴォーカルも最高にクール!
11トブタメニ
ポジティヴなメッセージが込められた詞とワイルドで伸びやかなヴォーカルがピッタリはまった、パワフルなポップ・ロック・ナンバー。ノイジーなエレキ・ギターと重厚で美しいコーラスが絡み合うエンディングは圧巻。
12風景
花王「アタック」CMソングで話題を呼んだ珠玉のラヴ・バラード。風景が目に浮かぶような詞、繊細さに満ちた音、そしてバツグンの表現力を誇るヴォーカルは、どれもが最高に美しくどこまでも切ない。ファンならずとも、美メロ好き、バラード好きは必聴!