ミニ・レビュー
脈々と続く英国ヘヴィ・メタルの伝統を21世紀型にチューン・アップした新世代の旗手。前作に続いてコリン・リチャードソンを迎えた2作目からは、すでに牽引車としての貫禄も。よりアグレッシヴかつエモーショナルに研ぎすまされた姿が生々しく刻まれている。
ガイドコメント
2007年10月発表の2ndアルバム。ツイン・リード・ギターやヘヴィなヴォーカルなどに磨きがかかり、明らかにバンド全体がスケール・アップした力作。コリン・リチャードソンがプロデュースを担当している。
収録曲
01SCREAM AIM FIRE
哀愁を内包し、激しいギター・リフと性急なビートで駆け抜けるヘヴィ・メタル。彼らの持ち味といえる暗黒から沸きあがるような掛け声や咆哮を、随所にちりばめている。鋭くも流麗なツイン・ギターも聴きどころ。
02EYE OF THE STORM
メタリカをルーツに持つ、重厚なスラッシュ・ナンバー。ヴォーカルのマットが扁桃腺を切除したこともあり、より歌を重視したキャッチーなメロディに仕上がっている。快楽的なメタル・サウンドがめくるめく激しく吹き荒れる、ライヴ仕様。
03HEARTS BURST INTO FIRE
これまで避けてきたメジャー・キーを取り入れた、キャッチーな80年代風ポップ・メタル。豊かな表現力と陽気さが漂うツイン・ギターとはつらつとしたハーモニー&ヴォーカルが気持ち良い。爽やかな中に潜むヘヴィなスクリームが新鮮。
04WAKING THE DEMON
アグレッシヴでスラッシーなリフが強烈な、エモーショナルなヘヴィ・メタル。急上昇していくツイン・ギターの熱いリフと、獰猛的に突き進んでいくハードコアなサウンドに胸が騒ぐ。起承転結を意識した絶妙な曲構成が彼ららしい。
05DISAPPEAR
洗練された表情豊かなギター・リフがリードするピュア・メタル。喉の手術を受け力強さを増したマットの声が、曲全体に重厚なたくましさを与えている。伝統的なブリティッシュ・メタルのスタイルと、高度かつ個性的な演奏を確立したナンバーだ。
06DELIVER US FROM EVIL
哀愁たっぷりの清浄なギター・リフに始まるメロコア・ナンバー。メンバーが日常生活で体験した出来事を題材にした狂気的な詞が、心の内をえぐり出す。軽く取り入れたスクリーモと聴きやすいコーラスが、曲全体を端正にまとめている。
07TAKE IT OUT ON ME
“俺たちは本物のメタル・バンド”と語る彼らが放つメロディック・メタル。高度な演奏、闇を切り裂くような咆哮、歌心のあるヴォーカルに、高い音楽性がみなぎる。中盤に表われるもの悲しいギター・リフが、深く豊かな物語性を添えている。
08SAY GOODNIGHT
メタリカ風のゆったりとしたリズムを刻むメランコリックなバラード。冒頭の美麗なギター・リフが雄大な世界観を描き出し、漂い寄せるように優しく歌うヴォーカルが新鮮。中盤からハードなメタルにガラリと変わるさまも、鮮やかかつ巧み。
09END OF DAYS
スラッシーかつ攻撃的なギター音を前面に出したメタル・ナンバー。ソリッド&タイトに引き締まったオーセンティックなメロディからは、UKメタル・バンドとしての貫禄も漂ってくる。中盤で披露されるギター・ソロも素晴らしい。
10LAST TO KNOW
獣のようなスクリーモと攻撃的なサウンド、そこにエモーショナルなメロディを巧みに溶け込ませたスラッシュ・メタル。骨太なギター・リフを中心に据えた音が、詞に語られる怒りと激情を表わしている。打ち込まれる高速ドラムが熱い。
11FOREVER AND ALWAYS
80年代の香りを漂わせるポップなメロディと息の合ったコーラスが印象的なポップ・ロック。どこか往年のボン・ジョヴィを思わせるような、ドラマティックでワイルドな音構成が面白い。彼らの音楽性の幅広さをうかがわせる一曲。
12NO EASY WAY OUT
映画『ロッキー4』の挿入曲であるロバート・テッパーの名曲をカヴァー。彼ら流のアレンジを施した、80年代アメリカン・ロックの世界が懐かしくも新しい。躍動感に満ちたメロディと各メンバーの技を駆使した音作りが生きている。
仕様
エンハンストCD内容:スクリーム・エイム・ファイア (ビデオ)初回のみ特殊紙パッケージ仕様